BBAB②
噴水公園の真北にある配給センターは、大きな総合スポーツ用品店を思わせた。
剣や銃器、防具などを収めたラックやショーケースが何列にもわたって並んでいた。
武器の類は実際に装備出来るものの、防具やアクセサリーはカード化されており、使用する場合は上着のポケットに入れることで装備状態になるらしかった。
ちなみに左のポケットが防具、右がアクセサリーという具合だ。
「あのさ、もし攻撃を受けたら服がボロボロになっちゃうとかってないよね?」
花音が不敵な笑みでそう言いだした。
「えーさすがにそれはないんじゃないかな?恥ずかしいよ」と遥。
「キャラのパンチラとはいかがかと思うの」と詩織。
「好きな人もいるんじゃないですか?」と奏。
「調べてみましょうか?」と弥生までが会話に加わった。
当然コメント出来ない智志は、悟られないように静かに距離を広げ始めている。
「私の場合、リアル丸写しだから別に気にしてないけど。自慢できたもんじゃないし。でも遥は危険だね」
「そんなことないよ。確かにスタイルが本物に近いとは思うけど」
「コミケネタで人気が出ると思うの」
「それなら弥生さんも負けてはいませんよ。隠れ……」
「奏ちゃん情報公開はそこまでです」
防具コーナーに固まる女子連中を置いて、智志は武器コーナーに一人移動した。
「色気が少しくらいあってもいいと思うんだけどな。本物じゃないし」
「花音、ゲームの方向性が変わっちゃうよ」
「男子ならいいと思うの」
「あ~、確かにそれなら大丈夫じゃないでしょうか?弥生さんどう思います?」
「奏ちゃん、私は腐ではありませんよ。興味がないわけではありませんが」
「「「「ほほ~う」」」」
一通り装備を整えた智志は、出入り口でみんなを待つことに決めた。
「あれ?お兄さんは?」
「ほんとだ、どこに行ったんだろ?」
「逃げたと思うの」
「出入り口にいますよ。準備が終わったみたいです」
「私達も急いで準備しましょう。お兄さんさすがです」
智志はスリープモードのテストを兼ねて、デバイスを頭から外してトイレに行っていた。