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掌編小説集6 (251話~300話)

観る目

作者: 蹴沢缶九郎

とある美術館の壁に飾られた一枚の絵を前に、三人の評論家達がもっともらしい顔つきで語っている。


「この抽象画は大変素晴らしい。特にこの直線の力強さ、描き手の真っ直ぐな信念が伝わってくる」


その言葉を聞いた別の評論家が頷いて言った。


「まったく同感です。そして力強さだけでなく、曲線の繊細さ。描き手の心の優しさが表れています」


また別の評論家は、


「色の調和も見事です。ご覧なさい、黒と白の対比。互いに協調し合う事なく、微妙なバランスが保たれている。これは素人にはわからない、観る人間を選ぶ抽象画ですな」


と、褒め称えた。そこへ、絵を描いた本人が現れ、突然、飾られた絵の向きを上下逆さにして言った。


「すいません、飾る向きを間違えていました。因みにこれは抽象画ではなく、抽象的な人物画です」


見ればなるほど、確かに人の顔である。画家は付け加えた。


「タイトルは『価値のわかる人』」

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