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のんびり気ままな二人旅

 帝都の崩壊を回避することができた俺たちは、必要なものを集めてから気付かれない内にその場を離れた。

 集めたものは兵器の資料に、一部の報告書。ついでに服だ。

 兵器の資料と報告書は、どうもアッシュさんがとある所に送り付けるらしい。

 報告書には今回の事件のことも勝手に付け加えるため、その兵器の危険性について大議論が発生すること間違いなしなんだとか。

 アッシュさんの読みでは十中八九その兵器が使用できなくなり、それに付随して今回の大目的である、争いを止めるということが達成できるらしい。

 アッシュさんが掴んでいた情報は、この兵器を利用した陰族領土への大侵攻が肝だったみたいだ。

 他にも細々としたのがないわけではないが、ここさえ潰してしまえば後は軽い掃除程度のものというのがアッシュさんの言である。

 あ、ちなみに服をもらった理由は凄く単純で、俺が全裸だったから。

 いや、結構真剣だったから気付いてなかったんだよね。俺の服が光に変換されてるってこと。

 普通気付くとは思うんだけど、気付かなかったんだから仕方がない。

 そういう意味ではあの時、アッシュさんの姿で良かったよ。

 アッシュちゃんとかアッシュにはちょっと見られたくなかったし。


 目的が達成できたという観点からすれば、今回の件はシャーロットの暴走から生まれた災いが転じて福と為したようなものだったよな。

 終わり良ければ総て良しってわけじゃないけどさ。

 ある意味でシャーロットのお手柄みたいな部分もあったのかもしれない。

 もっとも、アッシュさんはシャーロットを許す気がないみたいだけど。

 そうそう、部屋に俺たちが戻ったとき、そこにはシャーロットは既にいなかった。

 どうやったのかは知らないが、自力で魔法から抜け出して逃亡していたのだ。

 元々シャーロットはいなかったんじゃないかと思えるくらいに、その場には何も残っていなかった。

 反省してくれているといいんだが。

 まあ最悪、俺たちにトラブルを運んでこなければ、どこで何をしててもいいけどね。


 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 帝都崩壊計画を食い止めた日から、一ヶ月ほどが経った。

 今でも俺はアッシュちゃんと一緒に、のんびりと旅をしている。

 別に帝都にいても良かったんだけどね。

 幸いにして、アッシュちゃんの正体がばれたりすることもなかったんだし。

 ただ、それでも帝都に陰族が潜んでいるって噂が出てきてちょっとピリピリしてたから、状況が落ち着くまでは帝都から離れることにした。

 念には念をって感じだ。

 アッシュちゃんの目標は達成されているので、今の目標は本当にただ楽しんで旅をすることとなっている。

 適当に依頼を受けたりして日銭を稼ぎつつも、気の向くままに足を進めるというのは結構新鮮な感覚だ。


「えーと、そろそろヴァローナ王国だっけ?」

「うん。陰族領土と隣り合っている国で、陽族対陰族の最前線みたいなところだね。もっとも、最近は小競り合いをたまにする程度みたいだけど」

「じゃあ今は比較的安全な時期ってこと?」

「そう思ってくれていいよ。お国柄、結構強い人とかいるし、武器防具の性能も良いのが多いね。実力を鍛えたいなら、ちょっと留まってみてもいいかも」


 あー、悪くはないなぁ。

 なんでも一人でできるくらいに強くなりたい、とかは思わないけど、やっぱりアッシュちゃんの足手まといにならない程度には強くなっておきたい。

 幸いにして時間はあるんだし、そういうのもありかな。

「三本の矢」のメイヴォスさんには向いてないって断言されちゃってるから、あんまり期待はできないんだろうけど……。

 ま、別にそうしなきゃならないってことはないんだ。

 ダメそうなら観光して楽しんでもいいし、飽きたなら他の場所へ行ってもいい。

 そういう意味では、ここの次にまたトラモントに行くってのもありだな。

 ……あ、そろそろアリスとイリスに手紙書かないとまずいか。

 ネタは――この前の依頼で見つけた、珍しい薬草についてでも書こうかな。

 アリスとイリスのことだから、普通に知ってそうだけど。


「あ、望! 見えてきたよ!」

「おお! デカいな!」


 かなり遠方にだが、周囲に見える木々から察するにかなりの大きさの砦がそこにはあった。

 武骨とも言えるような外見だが、きっと機能面を大事にしているんだろうな。

 実際、あの砦が落とされるようなイメージは全く湧いてこない。

 難攻不落。そんな言葉がよく似合う印象の砦だ。

 あの砦を越えてからがヴァローナ王国の国土となっている。


「楽しみだな」

「うん。それじゃ望、行こうっ!」

「おう!」


 テンションが上がったのか、急に駆け出したアッシュちゃんの背中を追いかけて走る。

 この先に何があるのかは知らないが、せっかくここまで来たんだ。

 楽しまなきゃ損だろう。

 まだ見知らぬ何かを思い浮かべながら、俺とアッシュちゃんは笑い合っていた。


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