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7話 聖女と最後の対話者

毎度遅くなってしまい申し訳ございません

 ジョー殿が去った後、私達は話し合った。

ひとまず大まかな事として、この部屋をロビーとして使い、迷宮を東西南の3方向に広げ、東はイジェスとジンの戦士のコンビが、西はリンとファムの斥候のコンビが、南は私とグリムの魔法使いコンビがそれぞれ監修し違う種類の魔物を配置する事にした。

あいている北側には農場など施設を置く事にし-これはジョー殿が置いていった水晶板に書いてあったものを参考にしている。-配下の食の管理をする事にした。

ちなみに、水晶板は当初ジョー殿が忘れていったのだと思っていたが、メモが残っており勝手に使って良いとの事だった。他にも注意事項やヒントなどが書かれていた。また、私が操作するシステム魔法の表示も行ってくれるので、ありがたく使わせてもらっている。

実際の構造は働き者のレイバースケルトンに任せる事にし、とはいえ労働力としては圧倒的に足りないので、レイバースケルトン1体につき、オススメ召喚からウッドパペット5体、ウッドゴーレム1体とデリジェンスゴースト1体を付け指揮をとってもらう事にした。

ゴーレムなど力が強く頑丈なモンスターのはずなのだが、レイバースケルトンよりMP消費が少なく召喚できた。レイバースケルトん2~3には地下5階層まで広げるよう命令し。(互いにぶつからない様ゴースト同士で連絡を密にとるように手配した)レイバースケルトン5には階段を作成後、ロビーを整備してもらう。ロビーは最終的に神殿のような造りにしてもらい、神の奇跡の象徴とする予定だ。

北側はレイバースケルトンに少し込み入った造りをお願いする。

基本的には農場スペースなのだが、カモフラージュとして礼拝堂を置き、その奥に私の部屋、さらに奥に進んだ先が農場となるように掘り進めてもらう事にした。念の為に礼拝堂から私の部屋に進むには地上一階にも施している指定した者しか入れないように魔法をかけるつもりだ。

農場の設置についてはジョー殿(迷宮作成師)にしかできないようだったので、スペースだけ確保する。


ちなみにウッドゴーレムとウッドパペットの能力はこの通りだ。


名前:ウッドゴーレム1(仮)

種族:ウッドゴーレム

稼働年数:0年

職業:なし【設定可能】

称号:なし

階位:G


名前:ウッドパペット1(仮)

種族:ウッドパペット

稼働年数:0年

職業:なし【設定可能】

称号:なし

階位:H


職業の項目が【設定可能】となっているが選ぼうとすると


◆ウッドゴーレムの職業を設定します。 以下の中から選んでください◆

現在設定できる職業はありません


 まあ、何も経験を積んでないのに、いきなり設定した職業の技能を使えないという事なのだろう。しばらく様子を見るか、ジョー殿が来たときに聞いてみる事にしよう。

あと、ジョー殿も気になっていたデリジェンスゴーストはこの通りだ。


名前:デリジェンスゴースト1(仮)

種族:デリジェンスゴースト

年齢:享年18

職業:アルバイター

称号:努力家

階位:E


 レイバースケルトンもそうだったが、職業がよくわからないので、確認してみると


〔サラリーマン:組織の為に、いかなる仕事でも一生懸命に勤労する志を持った者がなれる伝説の職業〕


〔アルバイター:目標の為に、どんな仕事でも高い適応力を持って勤勉に努力する者がなれる伝説の職業〕


 こういう説明が出てきた。これには「ジョー殿でも驚くわけだ」と感心する。これはジョー殿に急いで渡した方が良いだろうという事で言われた通りそれぞれ10体づつを出品した。


〔MP更新時刻になりました。収支報告いたします〕


◆◇MP収支報告◇◆

収入合計:20030P

・直入:10000P

・取引:10000P

・生命活動:30P

支出合計:1300P

・迷宮化:600P

・召喚:700P

配下維持:±0P

最終収支MP:18730P


 そうこうしているうちに日付が変わったようでMPメイズポイントの更新時間となった。

自分や配下の生命活動は配下維持で表示されるという事は収入の生命活動はジョー殿の分という事だろう。


「とりあえず、迷宮についての話はこれで一区切りかな。それじゃあ、さっき言ってた神に祝福された迷宮って話を広める為の作戦会議と行きましょう」

リンが張り切ってそう切り出した。今までおとなしかったから構想を練っていたのだろう。

「まず、なんと言っても十数日後に来る対話者に話を広めてもらわなくっちゃ話にならない。そこで、少しセンセーショナルな話をしたほうがいいと思うの」

なるほど、例えばこの左腕を見せたりすると驚くだろうな。

「私が考えたのはフォルト(勇者)の魂の浄化が終わった事を公表するって事ね。魂がつい最近まで呪われていた事を含めて…」

確かにまったくの事実だし、私達以外でフォルトの魂が汚されていた事を知る者は当時の王だけだ。

王族には伝わっているかもしれないが…そうか、それを利用するわけだな。

「王族を巻き込むわけか、上手くいくだろうか」

聞いた話では、今の王は幸いにして賢王だという事だ。こちらに合わせてくれればいいが…

「それはエリス次第かな」

リンがニヤリと笑って私の顔を覗き込む。

「言ってくれる。まあ、頑張るとするか」

その後数日に渡って話はまとまった。その間ジョー殿は来なかったが、『迷宮核コアシステムを改良するから一月後にまた来る』と連絡が入った。迷宮の方も地下3階まで完成し迷宮化している。農場だけでも早くできないか話をしているのが、『そこも含めて今回の改良でどうとでもなるから待ってほしい』と回答が来た。



 そして、その日が来た。

私が皆の墓の前で手入れをしていると一人の若者が入ってきた。

「よくぞ来た。少し待ってくれ、もう少しで終わるのでな」

「はい。わかりました」

若者は私の作業が終わるまで、黙祷を捧げていた。

殆どの者が手伝いを買って出る。しかし、墓の手入れ自体が祈祷の一環だと知っていて己も祈る者は稀有だ。この若者は良い英雄になれるだろう。

「待たせたな。奥に部屋を用意している。ついて来い」

若者を引き連れいつもの部屋へと向かう。ちなみに先日開けた迷宮に続く穴は既に塞いでおり、他の出入口を作っている。

私は自分の椅子に座り、若者にも座るように促す。

「さて、お主の名前から聞こうか…」

「僕はジェームスと言います」

その後は4年に一度いつもの通り、私達が魔王を倒した話と、魔物達の分布や討伐状況、世界情勢などを聞き、魔物と戦う際のアドバイスを施す。ここまではいつも通りだ。

「さて、次の対話者の事なんだが…」

「僕が次代の英雄と思う者に宝珠を渡すと聞いています」

宝珠とは言っても魔法的な物でどちらかと言うと祝福に近い。念の為にここへ来る前に奪われたりしたら私の手元に来るようになっている。そんなことは一度もなかったが。

「うむ…。実はな先日神託を受けた」

神からの言葉を貰えるなど光栄この上ない事であるから、私の言葉にジェームスは息を呑んだ。

「私の祈りでようやく勇者の魂の浄化が完了したという事と、2年後に私を使徒に迎えるという内容だった」

再度ジェームスは息を呑む。

「そ、それはおめでとうございます」

「うむ、私ももう98になるらしい。めでたい事に100歳までは生きる事を許された。だので、お主が最後の対話者となる」

きっと、ジェームス坊は混乱している。いや、きっとではない。彼の状態が混乱と表示されている事がリンの持つ水晶板から報告が上がってきているのだ。

「それは、光栄な事なのでしょうか」

「さてな、しかし私は光栄だと思う。まさか最後の対話者が私を洗礼してくれた。司教の子孫とはな」

教会側からもアクションをとれるのは僥倖だ。

「ただの一族のはみ出し者です。しかし、祖父からは伝言を預かっております」

彼の祖父は、先ほど話にでた司教の孫で、私の後輩として知らないわけではないくらいの関係だ。あまり話をした記憶はない。

「実は、先ほどエリス様からもお言葉があった件だと思うのですが『浄化の引継ぎが必要であれば我々にお任せください』との事でした」

「なるほど、その件は時の王シュバルト様にお伝えしただけだったのだがな。信頼おける司教様には話されたのだろう。しかし、神のお墨付きも得ているので『必要なし、お気持ちだけ受け取る』と伝えてほしい。」

「わかりました。祖父にはそう伝えます」

「既に終わった事だ。おおやけにしてもかまわない。でも、まあ現王に報告はしてからが良いだろうな。しかし、もう私には王都へ向かう体力がない。書をしたためるので持って行って欲しい」

「祖父から働きかけてもらえれば王様に渡す事は可能でしょう。わかりました。そちらも引き受けます」

血筋というのもあるだろうが、とことん誠実だな。好感は持てるが、魔族と対した時に上手く対処できるか不安が残るな。その辺りも伝えておこう。あ、その前にやってもらう事があったな。

「もう少し助言が必要なようではあるが、お主に手伝ってほしい事がある」

「なんでしょう」

「フォルトの墓を造りたいのだ」

配下やイジェス(兄者)達に手伝ってもらう事はできたが、それをやると左腕を失った老女が一人でやった事になる。それはあまりにも不自然な為に今までできなかったのだ。

フォルトの体は私が常に浄化していた事もあり腐ることもなく当時のままで残っている。

「きれいな顔をしているだろう」

「嘘みたいですね。お亡くなりになられているんですよね。それで…」

なにやらジョー殿の声が聞こえたような気がしたが気のせいだろう。

それからフォルトの棺を皆の墓の部屋の一番中央に収め、以前から用意していた墓を組み立ててもらった。

その間ジェームスには今までの対話者より多くのアドバイスをした。別に忌の際を演出したわけではない。ただ単に何か(フォルトの浄化)を気にしながら話すよりは口が軽くなっただけだ。

フォルトの墓が完成し、配置的に開いたスペースを眺め

「2年後には私はここに眠る」

と伝える。ちなみにこれは演出だ。

「その時にはまた手伝ってくれ」

ジェームスは複雑な顔をしながらも「はい」と答えた。

次回は外伝的なものになると思います。


ジョーの登場は来月?

いやいや…もう少し早く投稿を…したい…なぁ…と思う……今日この頃です。

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