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6話 迷宮作成師と進化と変位と成長と

仮タイトルの時点では『進化と変位と成長と部屋とYシャツと俺とお前と大5郎』でした

後半に絡めたギャグでも入れようかと思いましたが・・・・・思いなおしました

 すごいってもんじゃないな。低位のアンデットは基本的に言われた事をやり続けるだけで思考しないゴーレムやパペット等と同じで言われたことを言われたままやるだけで、自分で効率よく動くかなんて考えはしない。って事は低位ではなく進化した個体の可能性があるって事だ。

「レイバースケルトンってワーカースケルトンからの進化なのかもしれないな」

 ワーカー(労働者)スケルトンが聖別を受けるくらい勤労な事をスケルトンがしていると、レイバースケルトンに進化するのかもしれない。

「なあ、ジョー殿。進化とは?変位ではないのか?」

「ん?この世界には進化って言葉はないのか?より高位の種族に、例えばゴブリンがオーガに変化する事を指す言葉だ」

「いや進化という言葉自体はある。ただ、それは夢物語で語られる類のものだな。転生以外の方法で別の種に変質するなど世界の(ことわり)を歪ませる事だ。より高位の存在に変位する事はあっても種族が変わるわけではない。童話でホーンラビットに恋したウサギが頑張ってホーンラビットに進化する話があるが、実際はウサギがどう頑張っても進化する事はない。ただし脚力を上げたウサギが蹴りウサギやダッシュラビットに変位する事はあるし、極端な例としてホーンラビットが究極一角英雄兎アルティメットホーンラビットヒーローになった事はある」

 なるほど、限定的な成長で個々の種の幅が広がる世界って事だな。

うちの世界(ムースガルド)じゃホーンラビットの最終進化は月下の水兎だな。月が出ていると水の中に擬態して襲ってくる妖怪だ。月が出ていない時は巣穴に隠れてるから夜専門のハンターだったな」

 元ネタは『兎を月下に置くと水に変じる』という故事からだったと思う。

「完全に別の種になるというのは気持ちの良いものではないな。兎は兎のまま、ホーンラビットはホーンラビットのまま、人間は人間のまま成長し変位していくものだというこの世界の常識に囚われているだけかもしれないが…」

 そういや、さっき神格化の話の時に人間の変位の事を言ってた気がするな。

「人間も変位するのか?」

「ああ、私もいくつもの修行などを重ね聖女へ変位した。ああ、今はもうしていた(・・・・)だな。だから先程は戦乙女に変位したのだと思ったのだ」

「としたら、レイバースケルトン(こいつら)も、より頑張ったワーカースケルトンが変位したって事か」

「その仮説の正誤はわからんが、正しいのであればそれもあるだろう。だが、この者達の魂が生前清らかだった事も前提にあるような気がするな」

 なるほど、元聖女の視点っぽい視点だな。いや称号で『古の聖女』ってあるから一応今も聖女なのか?まあ聖女って事にしておこう。

「なるほどな。働き者の清らかな霊がスケルトンとして顕現したって言いたいわけだな」

「そうなるのかな。それより自分の左腕をツルハシ代わりにしている姿が痛々しい。そろそろ渡してやっても良いか?」

「ああ、配置→道具でピッケル→レイバースケルトン1~4って感じで念じればいい」

「わかった。こう…だな。5にもノミとハンマーを渡しておこう」

 1~4は鉱夫に5は石工として成長しそうだな。

 目の前のレイバースケルトンの前にピッケルが現れ、そいつは左腕を元に戻してからエリスに頭を下げ、ピッケルと手に取り壁を崩しだした。

「それで、今は彼らに任せて掘り進めているが、どういう風に迷宮を作っていくつもりだ?」

「そうだな。迷宮の構想ではないのだが、130年程前に魔王が蜂起する前まではこの世界は魔物というモノはとてつもない辺境で稀に出現する程度のモノだった。3,40年で世界が纏まりようやく私達が魔王を倒す事ができた。その後も魔物があふれているが、魔物と戦う事に慣れている者や戦い方について詳しい者は少ない。むしろ魔王まで倒した我々が一番詳しいと言っていいだろう。だから、魂の浄化が一旦落ち着く4年に一度、英雄候補と会ってアドバイスをし続けてるんだ。だから、まず魔物と戦うという事に慣れてもらい、そこから私達も苦労した徒党を組む魔物たちの対策、強大な魔族に率いられた軍勢への対策がとれるようになってくれればいいとは考えている。それをどう形にすれば良いかがわからない」

「テーマがあるなら、配下に任せるのも手だぞ」

「なるほど、全部私が考えなくても良いのか」

「決定は管理者マスターがやらないといけないがな。広く案を集めるのは良い事だ」

うちも迷宮の設計を配下に任せた事もあるし、正直俺が設計しても構わない。条件を出して聞いてみるか。

「俺が設計しても構わないが、その対価としてMPを貰う。MPは重要だからしっかり考えた方が良い。言ってなかったが、MPは迷宮内で生物が活動する事で得る事が出来る。死んだ時にも得る事が出来るが、累計で30日間迷宮で活動してもらった方が多く得られる。配下の活動でも得る事はできるが、迷宮の維持に優先的に回されるから±0で考えた方が良い。後は取引でモノを売った対価にMPを得る事もできる」

 取引はリンクを繋げないといけないから少し目減りするけどな。まあ手数料みたいなものだ。

「・・・・・ジョー殿に任せるのは心強いが、ここは私達でなんとかしてみようと思う。MPも心許ないしな」

 エリスは慎重に考えてから自分達でどうにかする方を選んだ。

「それで、取引と言っても何をしたらいいんだ?」

 そういや、まだ伝えてなかったな。ついでにレイバースケルトンを売ってもらうように誘導してみるかな。

「取引のメニューだしてみてくれ」


------ 取引 ------------


・販売 物やモンスターをリンクが繋がっている迷宮管理者へ販売できます


・購入 リンクが繋がっている迷宮管理者が出品している物を購入できます


・連絡 リンク先へ伝言を残し連絡する事ができます。


----------------------------



------- 販売 ------------


・出品 陳列販売とオークション販売から選べます


・オークション状況 オークションに出品している額と残り時間を一覧表示できます


・販売履歴 販売した履歴を確認できます


-----------------------------


 何も言わなくてもここまで操作したか、大分慣れてきたみたいだな。


◆出品 何を出品しますか?◆

・現在出品できるものはありません


「う…」

 そりゃそうだわな。

「さっきレイバースケルトンを召喚した直後みたいに配置前の状態じゃないと出品はできないんだ。とりあえず俺もレイバースケルトン欲しいから1体500Pで出してくれたら買うぞ」

「こちらは1体20Pで出せるのだが、良いのか?」

「もちろん。うちの世界じゃ見ない奴だし、それ以上の価値はある」

 この世界の固有種かも知れないなら尚更だ。アンデットだから繁殖もしないし生態系を壊す心配もないし、うちの世界で進化させる事が出来るかどうかも興味がある。

「とりあえず10体は買う。あーあとデリジェンスゴーストも10体同じMP数(カカク)で買う。それ以上出しても多分買うと思うが、出品前に取引メニューの中にあった連絡で伝言を残してくれ」

 俺の迷宮核オリジナル機能だ。まあ発想は留守電なんだけどね。どちらかと言うとメールに近いんだが…だって翻訳する魔導力を考えたら文字より声の方が安価なんだよ!ちなみに俺は『言語解析』ってスキルがあるので、2言3言話せば会話できる。はい、チートですね。

「ああ、すぐにやらんでも良いからな。じゃあ、今日はこんなもんかな。ゆっくり構想を練って頑張ってくれ。俺はリースバルド様に頼まれたもう一方の案件に取り掛かる」

「なんだ?完成するまで付き合ってくれるのでは無かったのか?」

「付き合うが、付きっ切りってわけじゃない。それに、お前たちの目的にも適う事だ」

「何をするんだ?」

 もっともな疑問だがこれは守秘義務だからな…。

「依頼主を差し置いて俺からは言えないな。まあ聞けば教えてくれるだろうから、どうしても知りたければリースバルド様に聞いてくれ」

「・・・・ジョー殿。我らにそれができると思って言っているのか?」

「それをしてくれる事を使徒には求めてると思うぜ。まあ、わからない事があればいつでも連絡していいからな。じゃあな」

 後はやれる所までやってくれるだろう。


 俺は自分の迷宮まで世界を渡った。一度天界を経緯した方が魔導力の消費は少ないのだが、天界に行ったらリースバルド様に挨拶もしなきゃいけないし、トリフネ様がまだ居たらもっと時間がかかるからな。

「グランドマスター。お帰りになりましたか。初仕事はいかがでしたかな?」

 声をかけてきたのは俺の腹心のウェアウルフロードのガルムだ。ちなみにガルムというモンスターも居るのだがウェアウルフに進化する前はコボルトだった為、当時は強そうな名前にしたんだけどな。

 今じゃガルムを左手だけで倒せる猛者だ。

「依頼元がしっかりしてるから問題はないさ。今までついてた方は最初で躓かなければ管理者の好きなようにして問題ないだろう。問題は次の方だよ。」

「グラードに会って相談されてはいかがです?」

「そうだな。あー後別件でアミネム(エンシェントリッチ)に話があるんだが…」

 レイバースケルトンとデリジェンスゴーストは奴に任せとけば問題ない。

「アミネムならいつもの所(研究塔)にいますよ。呼びますか?」

「すぐじゃなくて良い。グラードの所から帰ってから会えるようにしといてくれ」

「かしこまりました。執事長ヤキヤンに用意させます」

「で、うちの迷宮で問題はあったか?」

「エリックがまた弟子入り志願に来たくらいです」

 エリックか、対邪神戦での人間の協力者の息子で迷宮の小道具(アーティファクト)造りに魅入られてしまって俺を師匠と呼ぶガキだ。もちろん弟子入りを許可したわけじゃないが作業小屋を自由に使わせてやっている。まあ、半年後には成人するからその時には考えてやっても良い。

「それじゃあ、いつも通りって事だな」

 報告も聞いたことだし、仕事にうつるかな。

『魔王グラード。今時間あるか?』

 俺は念話でムースガルドの魔王を呼び出した。

次回は魔王が語り手?





たぶん、普通にエリスの話です

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