19話 迷宮作成師と色々な依頼
少し時間を遡った話をしよう。冥王のバックストーリーを強める為にケロビン王国最後の王の魂を勧誘する為に冥界にアポイントを取ったのだが、セッティングに暫くかかるという事だったので、竜王やその迷宮を作ったり他の世界で仕事をしていたりした。まあ、冥王の出番は後の方でも問題はない。準備だけはしとくけど……。
って事で、俺はトリフネ様の紹介で迷宮で魔導力をあつめてる世界にいた。
「いやぁ~ありがたいよぉ。うちのDシステムじゃ時代に合わなくなってきてたからねぇ。かといってうちで新しく作ろうにもアイデアが無くてねぇ」
間延びした声の神様からの依頼はダンジョンのシステムが時代に合わなくなり魔導力の回収が停滞してきたので、新しいシステムを導入しようという事らしい。
「この世界独自のルールを入れるのに苦労しそうですが、やれない事はないですね。とりあえず迷宮核を20個作成という事で承ります」
この世界の独自ルールというのがダンジョンバトルに勝利した者は相手のDシステムの力をそのまま吸収できるというもので、これを組み込むにはわりと全般的な改修が必要だ。ちょっと手が足りないな…手伝ってくれそうなのは、弟子志望のエリックくらいか……手伝わせたら後戻りできないよな……覚悟決めるか。
「ところで、その迷宮核をつかう管理者はどうするんですか?」
「それはねぇ、別の世界から雇おうと思っているんだよぉ」
なに!?それは誘拐してくるって事か?いや、トリフネ様の知り合いがそんな事する訳ないか、だったら不本意な死者を?それも、当人の意見は無視されがちと聞くし、あまりやってほしくない。
「ごめんごめん。君にはこの手の話はちゃんと話さないとダメだよねぇ」
どうやら怖い顔になっていたらしく、神様に謝られた。
「僕も堕ちたくはないからねぇ。僕の知り合いの知り合いの所で人材を派遣して魔導力を稼いでいる世界があるんだよぉ。そこを利用させてもらう予定なんだよぉ」
「いえ、こちらこそ失礼しました。その様な世界もあるのですね」
「新しい風を入れる事で良い刺激になるからねぇ。1個の世界だけじゃ解らない事も多いしねぇ」
確かにそうだな…。流石は神様だ。これを機に他の世界の勉強もしていくかね。
「勉強になります。それでは、私はこれで失礼します。出来上がった頃にまた…」
「うん。ありがと。頼んだねぇ」
俺はムースガルドに戻り、ヤキヤンに相談したところエリックを正式に弟子に取るよう勧められた。一応先日成人したようだし、カールビンソン(エリックの親)を交えて話すっか。
という訳でカールビンソンも快諾したので、めでたくエリックも俺の一番弟子となった。Dシステムver.JCを造り。エリックに量産させてみたら、意外と上手く作りやがった。(納品するのに少し調整したが)
冥界のセティングはもう少し時間がかかるとの事なので、エリスの天界の事務所にモニターとかを作っていたら、天使からも依頼がきたので、いろいろ物を作ってた。良い小遣い稼ぎになった。
たまに息抜きに人間界で冒険者として体動かしたりもした。その時に香港のアクションスターの真似をして椅子とかその辺の物をつかってアクションしてたら、なんか変な二つ名を与えられそうだったので切り上げた。
そんな俺にリースバルド様から仕事を紹介された。冥界の件まではまだ時間があったので受ける事にした。
「ご苦労様であります。リースバルド先輩から御噂は伺っております。ようこそいらっしゃいました」
割と新しい世界の神で、意欲があるのか、やけに熱血な男神だった。
「ご丁寧にどうも…。依頼は信仰塔の建設と伺っていますが?」
この世界は、まだ魔導力の回収については指針を設けていないようで、とりあえず文明が進むまでは信仰心を魔導力に変換するようだ。
「お勧めは上る道順に意味を持たせて循環増幅できるタイプですね。ただし、デザインはずんぐりとした印象になります。シャープな方がよろしければ増幅はできませんが、周囲から集積する事ができます」
「では、シャープな方でお願いするであります」
「集積タイプですね。高ければ高い程、広範囲に集積できます。ですが、その代わりに御代も高くなります」
「では、このくらいの予算でお願いするであります」
提示された額は、まあまあだった。新興だとそこまでの予算はないか…。このまま地上に降り立って建築しても良いのだが、セレモニー的に聖遺物として降臨させ、信仰を稼ぐようだ。って事で、天界で建築する事になった。洞窟型と違い塔などの建築物になると迷宮核を弄ったらニョキニョキ生えてくるって事は無いので、ちゃんと建てないと迷宮として機能しない。そこで、俺一人で建築できないから、その為のモンスターを呼び出した。エリックも当然呼んだのだが…。あいつ、なんか爺さんに捉まっているな…。
その爺さん帽子を深くかぶっていたので、わからなかったのだが…おい、嘘だろ…。
「オーディン様!!?」
そこには地球の北欧神話の主神であるオーディン様がいらっしゃった。
「ん?…ああ、お主はムースガルドのジョーだったか。久しいのう。じゃが、この姿の時はヴォーダンじゃ」
それ、地域によって呼び方が違う程度じゃなかったですっけ?
「はい、その節はお世話になりました。奇遇ではありますが、なぜここに?」
「うむ、それはじゃな。この世界はうちの創造神が一緒なのじゃよ」
「なるほど…」
オーディン様は北欧神話では創造神とされているが、そもそもムスッペルヘイムとニブルヘイムという2つの世界があり、その中間に現れた巨人の死体からミッドガルドやアスガルドをお創りになられただけで、世界自体は別の方が創造されていたりする。そして、ここの神様達は同じ体系の世界に援助する事でも有名だ。ムースガルドも名前の通り同じ体系だったりしてそれなりの親交があったりする。中にはムースガルドの邪神みたいになっちまうのもいるが…ちなみに、色々言われる事が多いロキ様はギリギリのラインで遊んでるから邪神に堕ちていない。まあその結果始末に悪いとも言うが…。
「そういえば、最近リズティールを手伝っているそうじゃな」
「はい。でも、なぜそれを?」
「あそこも、同じじゃからの。まあ、少し実験的に創造されたようじゃがな」
え?マジっすか。ちょっと聞いてないんですけど…。ってか、そういえば戦乙女って北欧神話の使徒だっけ。俺も抜けているな…。って事は担当破壊神も同じ可能性が高いよな…。
「それ、初めて聞いたのですが、もしかしてうちとリズティールの担当破壊神様って……」
「ああ、あの方じゃな」
マジか…まあ、あの方は有能ではあるけど癖が強いからな。まあ面識がある分対処しやすいか…。いやそうでもないか…。
「ワシ等はあの方からGOサインが出たら、9つの世界で全員参加のお祭りをやるだけじゃがな。ホッホッホ…」
ミッドガルドが巻き込まれると他の地域も影響を受けるんでできれば簡便してもらいたい所だが、そうなる時には他の地球の終末が同時に実行される可能性が高いんだよな。
「それで、あの方は今どちらにいらっしゃるかご存知ですか?」
「さぁ、ワシにも把握出来ていない兄弟世界は沢山あるからのぉ。いずこかにいらっしゃるじゃろうが…」
つまりわからないんですね。なんにせよリズティールの破壊神が誰かが分かった。これである程度は対策が立てられるな。
その後、オーディン様と少し話をして別れた。エリックは放心状態になっていたが、俺の弟子になったならこれからも直接神様と接する機会はあるから慣れとけよ。
とまあ、半年くらいをかけて(その間リズティールやムースガルドと行ったり来たりとしていたが)塔を完成させ、納品した。
そしてようやく冥界の準備ができたとの事で、主要メンバー(俺、エリス、リリアーナ、サリーの4人)で出向いた。通された部屋は中華風の場所だったので、おそらく閻魔王が出てくるのだろうと思っていたが都市王がいらっしゃった。
「ヤヴキ・ジョーと聞いていたからもしやと思いましたが、やはり貴方でしたか」
もしやとは思っていたが、地球の仏様でした。
「なぜ、地球の仏様がここに?」
「オシリスさんからの働きかけで、いくつかの世界の冥界を束ねる冥界ファンドに参加しているのですよ」
話を聞くと閻魔庁みたいなシステマティックな冥界が固まって色んな世界の色んな宗教の冥界神として信仰を集めているらしい。ちなみにオシリス様は別の世界の冥界としてとても有名で、地球のエジプトでも信仰されていたそうだ。ギリシャのハデス様の所もシステマティックなのだが、断られたそうだ。ハデス様我が強いからなぁ…。
んで、閻魔王様ではなく都市王様が来たのは、目的の人物の境遇によるものだ。
シェニッチ大陸で最後まで魔族と戦ったケロビン王国最後の王は閻魔庁で審理を受けた。泰山王様までの7王の審理で結論が出ず。ひとまず修羅道に置かれており平等王様は戦死者の事なら都市王様に任せた方が良いと考えていたようだ。都市王様は三途(火途・血途・刀途)に散った者を救えないかで審理するからな。そういった意味で、俺の申し出は渡りに船だったらしい。しかし、ここまで時間がかかったのは、平等王様の持ち時間の経過待ちだったようだ。
「これは、どういう事ですかな」
連れてこられたケロビン王ことサリーム・アムル・ケロビンは、俺たちを見てそう言って眉をひそめた。そりゃ、人間(俺)と使徒と魔人と水麗人がいきなり面会を求めりゃそうなるわな。
「初めまして俺は迷宮作成師のジョーだ。アンタの世界の神から依頼されて…」
と棄種を根絶する計画を話した。
「つまり、我を、我が国を滅ぼした魔人どもを異世界の魔人殿と協力して打ち倒せという事か」
ああ、そうか彼に棄種とかの概念がないから魔人が居るって事でそんな顔をしていたのか。
「そういう事だな。リリアーナを見て同族を~とか考えているのなら改めてくれ。奴らは世界に蔓延る害虫に堕ちた奴等だ」
「その通りです。むしろその言い方だと害虫に失礼です。人に害があるだけであって、アレは世界に貢献しているのですから。私は魔人ですが、奴らは棄種です。リースバルド様もそれは認めていらっしゃいます」
俺の言葉をリリアーナが引継ぎエキサイトしている。まあ言っている事は全部正しいのだが…。
「まあ、アンタが参加しなくても駆逐する事はできる。しかし、奴等をのさばらせている事自体が世界の危機なのは確かだし、その時間が少ない方が良い。あと、人的被害も減るし、できれば参加して欲しい」
「私からも頼む。生前直接の面識は無かったが、ケロビン王国が滅んでしまう前に魔王を倒せなかった事は今でも悔やんでいるのだ。どうか、自身の仇を取ってほしい」
エリスがそう言うと少し驚いた様子だったが、改めてエリスに注目した彼は納得した表情に変わった。
「そうか、使徒様はあの聖女殿だったか…。わかりました。使徒様の事を信じましょう」
とすんなり了承してしまった。いや~、信心深いってある意味怖いですね。念の為都市王様に確認の視線を送る。
「では、審理の結果を申し渡す。リズティールのケロビン国におけるサリームよ。此度怒りに任せ憤死せしも、事情を考慮し、ヤヴキ・ジョーを監督としリズティールにおける問題を解決せんしんば人道における転生を認める」
サリームは深々と頭を垂れた。こうして、冥王が誕生する事になった。さて、彼の迷宮はどういう風に造るかな。
色々詰め込み過ぎたかな?と反省してます。
ちなみに、エリックの親の名前は某米空母から取っては居ますが、別にあの騒ぎを受けての命名ではありません。元の設定からです。




