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2話 迷宮作成師の迷宮講座<迷宮とは・・・>

もう一人の主人公ジョーのストーリーです

 俺は仕事場で神託を受けていた。(神様からの思念通信だから神託で間違いないだろう)


「それで、その知り合いの神様が依頼者と言うわけですか」


「ああ、ひとまず可能かどうか確認して欲しいということでな」


 ようは仕事の斡旋である。話を聞く限りメンドクサイ事この上ない依頼なのだが


「話はわかりました。貴方様には故郷の地を踏ませて頂いたお礼も有りますし協力させてもらいますよ」


「なあ、そんな丁寧な言葉では無く、友人として接してくれ」


「無理ですよ。貴方がどう思おうが、私にとっては恩人、いえ恩神です」


 どんなにメンドクサかろうが、この神には返しても返しきれない恩がある。


「まあ、時が経てば変わってくれると思おう。何にせよ話がまとまったら呼ぶから来てくれ」


「わかりました。その間に用意でもしておきますよ」




「えーっと、話がまとまってから呼ぶのでは?」


 俺が恩神から呼ばれて渡った先は混乱した男女が6人いた。


「すまない、端的に説明したらこうなってしまった」


 端的って、迷宮運営しろとだけでも伝えたのだろうか?

 とりあえず呆然としている一番前にいた女に声をかけてみることにした。


「おい、あんた大丈夫か?」


「え、ああ、貴方様も神なのですか?」


「へ?いや違う俺は人間だ。リースバルド様、後は私が引き継ぎますので、トリフネ様と話でもしといて下さい」


 俺はこの世界の神にそう言うと後ろに下がってもらった。

 神の視点からだと、大雑把になりがちだからな。




「えー、まあ大体の事はトリフネ様から聞いているんだが、どこから説明した方がいい?」


「すまない、まず確認したい事がある。私の信仰にとても関わりある事なんだ。……神は複数おわすのか?」


 ああ、精霊信仰とかもない完全な一神教だったわけね。


「そうか、まあ解脱まで行ってるのであれば説明しても構わないだろう。この世界の他にもいくつもの世界があるんだ。俺やトリフネ様は異世界の存在という訳だ。安心して良い。現状この世界の神様はリースバルド様1柱だけだ」


「すまない、そのリースバルド様っていうのは…やはり、その…」


 そりゃ神様が1柱しかいなければ名前なんていらないよな。


「ああ、この世界の神様の名前だな」


「「「「「!!!!!」」」」」


「ファム、神様は神様だと思ってたよ」


 後ろにいた獣人の子以外は言葉を失ったようだ。


「1柱しかいない場合は信仰の対象が一つだから、名前を呼ぶ必要もないし、そういう世界は多いから気にしなくて良いと思うぞ」


「なあ、エリス。信仰の事も大事だが、今は話を進めよう。彼…あーすまない名前を聞いてなかったな。俺はグリエール・フォスターだ。生前は魔法師をやっていた」


 いち早く回復した30手前の黒髪のイケメンだった。ってか、ここにいるの全員美男美女だよな……。

 フツメンの俺は肩身が狭いぜ。……気にしないけどな。


「失礼した。俺はヤヴキ・ジョーだ」


「ヤブキj……」


「ヤ『ヴ』キだ間違えるな、大変なことになる」


 危ない……その発音はしちゃダメだ。まあ『ヴ』でもギリギリアウトのような気もするが……


「あと、ヤヴキが家名なので、ジョーと呼んでくれ。俺は迷宮作成師メイズクリエイターだ」


「わかったジョー殿だな。ついでだから自己紹介した方がよさそうだな。おい、エリス」


 促されて純白のローブをまとった20代後半の金髪美女一番前にいるからおそらくリーダー的な立場なのだろう。


「私は正教会から『聖女』位を受けていた司祭のエリス・リューカスだ。魔王戦で唯一の生き残りだ」


 自己紹介は続き、25歳前後の金髪のガタイの良い兄ちゃんは守護騎士でエリスの兄(死んだ時の関係だろうが、弟かと思った)のイジェス・リューカス、20代前半のちょっと斜に構えた栗色の髪の剣師(剣士ソードマンではなく剣師ソードマスターだそうだ)が『剣聖』と各国から認定されているジン、狸の様な見事なケモミミをピコピコさせていた10代後半の少女は狩人レンジャーのファムと、グリエールの奥さんで探索者シーカーのリンシャル・フォスター(享年26才)が斥候役として活躍していたとの事だ。

 ってか、なんでリンシャルさんは年齢まで言った?

 ちなみにグリエールも『賢者』と魔法学会マジックアカデミーから認定されているらしい。(リンシャルからの報告)


「それで我が神からダンジョンを運営するように言われたような気がするのだが」


 自己紹介が済んだ所で、グリエールが話を戻してきた。


「ああ、そう聞いてる。地下迷宮ダンジョンの概念自体はあるようだな。あれか、この世界には魔王が所持していた迷宮しかなかったとかか?」


「むしろ、それ以外にあるのか?」


「なるほどな…。よしまずは迷宮の事から説明しよう。……」




 迷宮とは所持者オーナーの意思の元で何らかの目的をなす施設の事を指す。

 目的は様々で「住居」「隠蔽」「信仰」「軍備」「試練」等々……

 とある地下迷宮ダンジョンでは魔王軍の拠点として、とある迷宮塔(はてなき塔)では神に祈りを捧げる為に、とある森林迷宮まよいのもりでは希少種族の住処として……

 所持者オーナーの目的によって正邪、善悪、天魔が異なる。

 しかし、ひとつだけ共通する目的がある。

 それが魔導力マナの循環だ。

 魔導力マナというのは力の総称だな。使い方によって魔法使いの魔力や、聖女や神官の巫力、神が直接行使する時に使う神力や、生物が活動する為の生命力も該当する。

 つまり、魔力や巫力の行使、生命活動を施設内で発散させて、魔導力マナを回収する。

 多くの場合はコアを配置し管理する。コアを通して所有者オーナーに還元する。

 稀に道具に力を籠める為に用いられる場合もある。

 そういう道具は所謂神具だったり、伝説の武具として名を馳せている事が多いな。

 で、所有者が直接管理する場合ももちろんあるんだが、所有者になるのって神様や魔王や大霊や大魔術師など忙しい立場の方が多い。

 そこで代理で運営をする管理者マスターが必要になるわけだ。



「それで、話を戻すがグリエール達がリースバルド様が所有する迷宮を管理するって話になるわけだ。目的から考えたら『試練』型の地下洞窟迷宮ダンジョンケイヴになりそうだな」


「なるほど、一応は理解した。が…納得するまで、待ってくれ。俺を含めて全員な……」


 俺の説明に答えたのはグリエールだけだ。流石は賢者って事なんだろう。エリスはいまだに固まってるしな……。


「はぁ……流石に異世界の神だな……ダンジョンを所有しててもおかしくないか」


「え?トリフネ様は迷宮所有者と違うぞ、確かにトリフネ様は俺の故郷の神話にも名を残す由緒正しい神で凄い実力を持ってはいるがな。俺は異世界の邪神に誘拐されてつい数年前まで迷宮管理者をやらされてたんだよ。出し抜いて戦争まで持ち込んで勝ったけどな」


「え!?邪なる神とはいえ神と戦って勝ったのか?」


「何を驚いてるんだよ。お前らも邪神倒してるじゃん」


「は?私たちが倒したのは魔王のはずだが」


「そいつだよ。……あー、そっか。その辺りもわからなくて当然だよな。よし、そこも説明するぞ……」




 世界はまず創造神が創り、管理神が管理し、破壊神が壊す。これを繰り返して魔導力マナを循環している。


 この世界でいうと創造神は去っている。まあ創った後は居ても暇なだけだし別の世界を創りに行ってるんだがな。

 で、管理神がリースバルド様と、先の魔王ルーシュフェルドだな。

 言いたい事はわかるが、ひとまず聞いてくれ。

 管理神は、創造神や破壊神の下位神で、2柱の神の指導の元世界を運営していくんだ。

 破壊神は「この世界は見込みが無い」と判断した場合、破壊する仕事をしている。

 破壊神も世界を兼任している事が殆どで、上手くいっているかどうか偶に視察に来られるくらいで、殆ど管理神や眷属にまかせている事が多い。

 ルーシュフェルドもそんな神の一柱だったんだが、極稀に暴走する奴もいてな。勝手に世界を壊そうとする奴がいたり、自分のおもちゃのように遊んだりする奴がいるんだ。

 そういう奴が邪神に堕ちる。邪神に堕ちた奴は神格がだだ下がりするんで、上手くやれば人間でも倒せる。

 腐っても神だからそう簡単ではないけどな。

 その辺は実体験してるからわかってるだろうけど。



「とまあ、こんな感じだ。グリエールは気付いたかと思うが」


 俺は頭を抱えそうになっているグリエールに話を向ける。


「ああ……迷宮の魔導力マナの循環システムは世界構成を真似しているって事だな」


「その通りだ。迷宮は世界の縮図と言っても良いだろう。俺のような雇われ迷宮作成師が作るような違いはあるけどな」


「迷宮作成についての説明がメインだとはいうのは解るが、俺達にとって、有耶無耶に出来ない所の説明をしてもらっていいか?」


 さっき全員の顔が変わったアレだな。


「ああ、破壊神が指示した後直ぐに行動出来るようにしておく事も管理神の仕事になる。ルーシュフェルドはそっちの仕事をしてたんだ。魔王としてな。だから信仰の対象とは成りえなかった。まあ、奴としてはそこが気に食わなかったんだろうけどな」


「なるほど…まあ結局魔王は魔王だったという訳か」


「だな」と肯定はしたが、俺が倒した奴の場合は堕ちたのが信仰対象の神だったから、余計にややこしかったんだが。


「それと、今のでダンジョンの事で気になる点が出てきた。破壊神の指示が来たら魔物が必要になるんじゃないのか?俺たちの目標とそぐわない気がするんだが」


「それについては心配ない。別口で残っている迷宮を活性化させるから、お前たちは魔物を迷宮に追い込むだけで良い。それとも絶滅させなければ納得できないか?」


「まだ先ほどの衝撃が抜けてないのだが、私は無秩序に魔物が暴れているよりもダンジョンに籠ってくれるのなら、それで構わない」


 うん、納得してもらえたようでなりよりだ。


「では、管理者マスターになって、人類の後押しをするんだな」


 エリスは神妙に頷いた。念の為、周りも見渡す。

 グリエールとイジェスは頷き、ジンはニヤリと笑った。ファムはジンとは対照的にニッコリと笑っている。リンシャルはサムズアップをしている。


「よし、じゃあリースバルド様を呼んでくるわ」


 俺はそう言って後ろでトリフネ様と話をしているリースバルド様を呼びに行った。

 って……なんでトリフネ様と大○海時代(スー○ァミ版)の話で盛り上がってるんですか?

ダンジョン作りは2話後になると思います


トリフネ様はもちろん天鳥船神(アメノトリフネノカミ)様です。

古事記の大国主命の国譲りの神話で出てくる神様ですね。

もちろん、ジョーも日本人ですよ

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