17話 古の聖女の試練
体調不良、モチベーションダウン、新作ゲームなどの理由により、アップが遅れました。
本当に申し訳ございません。
ああ、慣れない。普段サリーと話す喋り方でないからな…。肩が凝りそうだ。まだ王侯貴族の前で演説してた時の方が楽だった。彼らの場合は彼らの人となりを知らないので、自然と丁寧な口調で話す事が出来る。これはフォルトの共をしていた時に慣れざるを得なかったからな。
「それでは、失礼します」
そう言って”光”の魔法を秘匿属性を付けて照射した。ジョー殿が言うには神秘的な光を効果的に使う事で、ある程度の短縮と説得力を持たせる事ができるとの事だ。言葉を濁していたが、どうやら邪神がそれを利用していたようだ。それに合せて海王や竜王が判ったような顔をしている。
「これは私の記憶の転写です。数十年間も同じ所にいたので、情報が偏っているかと…。ミドー来なさい。この者は私が祝福を与えた英雄の一人なので各地を巡っておりますので、私より細かな事を知っています」
私が来た事によりこの船に丁度移ってきたミドーを呼びつける。………そんな難しい事を聞く予定はないから、そんな顔するな。
「貴女の記憶でも十分わかりやすかったですよぉ。でもぉ確かにいくつか確認したい事はありますねぇ」
サリーはそういうと予め決めていた質問をいくつかミドーに投げかける。しどろもどろになりながらも答えていくミドーに心の中で「おちつけば簡単な質問だ。がんばれ」とエールを送る。
「なるほど、その人類の防壁となっている帝国というのが、覇王の子孫が治めている所じゃの」
これはミドーではなく、私に投げかけられた質問だ。まあ、これがキッカケで次の演出に移るわけだが。
「それは、私も天使長様からお聞きしましたので間違いないかと…」
「彼が私達に語ったなら疑わしいですがぁ、貴女に語ったのなら信憑性は高いですねぇ」
竜王が同意するように頷き、言葉を続けるように口を開く。
「では奴に関する書物などが帝国から発見されていないというのも変な話じゃな」
見る者が見たらわざとらしい誘導だと思うが、知らない者からしたら大きなヒントになるだろう。………とグリムが言っていた。
「そんな事よりぃ。魔王の奴が何を考えて地上に侵攻したかはわかりませんがぁ、残党は酷い有様ですねぇ。ここは私達2人が競い合う場として提供してもらいたいですねぇ」
「そうじゃな。2人となってしまったが、我等四王は常に競い合う事も、神が定めた理ゆえ」
「四王様の御意見も重要な事でございますれば、エリス様、ここは一考が必要かと…」
ベスの言葉に頷き少し考えたフリをして言葉を返す。
「これより私は人々に試練を与え、それを越えし者を祝福し邪悪なる者達に対応しようと考えております。そこで、お二方も人間と同等くらいの力の者達を指導し、邪悪なる者達を滅していくというのは如何でしょう」
「なるほどぉ、指導力で競うという訳ですねぇ。私はそれで構いませんよぉ。竜のもそれで...良いみたいですねぇ」
黙って頷く竜王を一瞥しサリーはそう答えた。
「じゃが、我等の縄張りは守らせてもらうがの」
「そうですねぇ、下賤な者共が海を汚しているのは我慢がなりませんしぃ」
私は困ったような顔をして「仕方ないですね」と答えた。
「では早速掃除してこようかの」
「焦って汚物を海に落したらひねりつぶしますよ」
「そんなへまはせん。心外じゃの」
私は目を伏せ、目についたミドーを手招きして呼びつける。
「海王に付き添ってフォローをしてくれ。お前も学ぶことがあるだろう。…海王様。この者は私が祝福した者の中でも特に優秀な男です。後学の為に連れてやっては頂けませぬか?」
最初は戸惑っていたミドーだったが、私が優秀と言った事で急に「エリス様の期待に応えたいので私からもお願いします」と言い出した。優秀なのは間違いないのだから、普段からそのままでも良いのだがな。
まあ、これは諸島国家群の信頼も厚いミドーから各国にサリーの事を話させる事で、原初の四王の信憑性を増してもらう事が期待できる。
「構いませんよ。私も情報が欲しいですから、丁度いいですねぇ」
「良かった。それでは、私は自らの葬儀の途中だったので、これにて失礼します」
私は、ジョゼとベスに支えられ宙に浮いた。見た目的には手を携えているように見えるのがミソだな……とジョー殿が言っていた。ミソって何だろうな。
「戦場で猛りし戦士達よ」
「穢れし魔物の血で汚れた兵達よ」
「我等、戦場で闘う者の守護者たる戦乙女が浄化の光を与えよう」
私たちから光が溢れ、人々を包んでいく。セリフは作った物だが、この光はサリーたちにやったような見せかけの光ではなく、戦乙女の権能として新生した私に備わっていたもので、戦いの疲れを癒し、今回の戦いで受けた穢れを散らす事ができる。また、今回の戦いの経験を詳細に思い出すことができるようになる。但し、次回以降に活かす事が出来るかどうかは、その者次第だ。
私は満足気な笑みを浮かべ「またな」と伝え海域を後にした。
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古の聖女エリス様を待つ事数時間。ようやく2人の戦乙女を引き連れて戻られた。最初に気付かれたのは、残っておられた戦乙女様だった。急に上空を見上げられたので、全員起立し出迎えた。
「人々よすまない。とても古い大いなる原初の四王のお二方が、目覚められたのでその対応をせざるを得なかったのだ。原初の四王の事は、私も先程知ったばかりなので、そこの皇帝の方が詳しいだろう。丁度第九海洋船団がその現場に出くわしているから聖威軍にも報告が入るだろう。私はこの件にあまり口を挟めない。皇帝が中心になってくれれば対処しやすかろう」
皇帝は少し顔を青ざめながらも「拝命しました」と頭を下げた。
「さて、私が大いなる主より与えられた使命は非常に単純≪シンプル≫であり、それゆえ困難である」
エリス様は祈るように手を合わせ、目を閉じられた。その後に起こった事に、その場にいた全員が驚愕する事になった。
それまでの英雄の霊堂とは、ある程度整備されているとはいえ岩山にある洞穴であり、入り口も木製の扉があるだけだった。それが、聖女…いや使徒様の祈りにより荘厳な白い石で出来た門扉がせせり上がりその場で彫られていくかのように装飾が施されていく。最後の装飾が終わった後、エリス様は4人の戦乙女様を引き連れ中に入っていく。
呆然と見ていた参列者だったが、戦乙女の一人マーガレット様が振り返り入るように促したので一番最初に我に返った【清祓】のジェームスが動き、それにつられる様に他の面々も中に入っていった。
そこには隻腕のエリス様を始め、勇者フォルト、守護騎士イジェス、剣聖ジン、獣王ファム、賢者グリム、そのグリムの妻リンシャルの石像が飾られた聖堂だった。エリス様は確かめるように周囲を確認していた。その時、最初に入った数名のみが「この像は少し恥ずかしいのだがな…」と聞いたとされている。
全員が中に入ったのを確認されると、この聖堂と2階にある部屋は自由に使って良いとの事。墓標についてはこれまで通り参拝は構わないが、節度を守るようにとの事だった。
「この程度で驚いてもらっては困るのだがな…。この施設の核心は地下にある。心せよ」
その時のエリス様の笑顔は、いたずらをする少女の様だったとされている。
おかしい。ここまでが、前半のつもりだったのに…
次回はジョーがこの2年間何をやっていたか書くつもりでしたが、急遽ジェームス君を語り手に予定していた後編を書いていきます。
↓のURLで競作で別作品を公開しています。
http://ncode.syosetu.com/n5945du/
べ、べつに…これが原因で遅れた訳じゃないんだからね。(割とマジで)




