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16話 迷宮作成師と海王と竜王の諍

今回は中途半端な感じで終わります

「敵襲!壱番艦への襲撃確認。全員戦闘配置に付け」

 見張り台にいた水夫がカンカンカンと鐘の音を鳴らし、船上の全ての船員と討伐者に知らしめる。

「やっとか、腕が鳴るぜ」

「海戦ではあなたの出番はありませんよ。私の魔法でイチコロです」

「おい、新入り。陸の上と海上だと勝手が違うからな、俺たちのフォローに回ってくれればそれでいいぞ。ガハハハ…」

「………ああ、そうさせてもらうよ」

 声をかけられ、俺は短くそういうと、壱番艦を襲っている魔獣を見た。

 体長およそ30m強、頭が9つ付いている蛇。多頭竜(ヒュードラ)だ。竜と付くがドラゴンではなく、恐竜に近い種と考える。先程俺に声をかけた討伐者達の言葉は強がりや侮りではなく、鼓舞だ。また肉眼ではみえないだろうしな。俺は単眼鏡を取り出し覗いた後、隣にいた戦闘リーダーに渡してやる。

「ちょっとまずい事になってそうだ」

「ん、お…おう……。あれか…おい!あれはヒュードラかよ!クソッ、船長、バリスタの用意だ。火の魔法が使える奴を準備させてくれ。新入り、いや助っ人のアンタは奴相手にどこまでできる」

「しゅん…あ、いや頭2つなら何とかなるが、アイツが言った通り海戦だからな1つと考えてくれ」

 あぶね、正直に瞬殺って答える所だったぜ。

「頭1つでも単独で引き付けてくれるだけありがたい。だが、キツイと思ったらすぐに言ってくれ」

「ああ、わかっている。それよりも、あっちの方は大丈夫なのか?」

 船尾の方にいる魔法使いの1団に一瞥する。

「アッチはアッチで何とかしてもらうしかないな。相手がヒュードラだと俺たちが気にいている暇はない」

 俺は黙って頷くと前方でヒュードラが上げている水しぶきの様子を見ることにした。

 壱番艦にも討伐者達が乗っており、そいつらが戦っておりいるのだが、中でも善戦しているのは3代前の対話者【守海】ミドーだ。しかし、体勢を整える前に襲撃された為にじわじわと押されている。

 カンカンカン…

「5分後に衝角をぶつける(ラムアタック)。衝撃にそなえ!!」

 船長の号令一下、船の速度がグングンと増していく、そしてドン!という鈍い音と共に船体に衝撃が走った。

()てー!!」

 次の号令でバリスタから杭が放たれ、魔法使いたちから火の攻撃魔法が飛ぶ。今の攻撃で壱番艦はヒュードラから距離を取る事ができ、撤退信号を送ってきた。まあしょうがないだろうな。彼らにはまだやるべき事があるのだから…。というわけでヒュードラはこの弐番艦が受け持つ事になった。

「お前ら出番だ。時間を稼げ」

 戦闘リーダーが全員を鼓舞し突撃する。俺もそれに倣い1つ頭に狙いを定め、鼻先を斬りつけてタゲを取ってやる。他の頭も数人一組でタゲをとっているが、どこも余裕はなさそうだ。

 その時、後方で魔法の光が周囲を照らしだした。照射された光が近くにいた魔族の船を暴き出していく。

「情報通りか、意外と近くにいたな。よし!ミッション完了だ。壱番艦が魔族船を沈めた後、我々も撤退する」

 船長がそう叫ぶが、誰も簡単に撤退できるとは思っていない。俺を除いては……まあそろそろくるだろ。

バン!

ゴヒュ!

 2つの音が鳴り響いた。1つは大きな水柱が魔族の船を貫いた音。もう1つは光線がヒュードラの胴体を蒸発させた音だ。

お嬢様(ミレディ)がもうすぐ起きられるというのに、(よこしま)なる者がこの海域を侵犯するなぞ許されない事です。しかも、トカゲごときに片方を持って行かれるなど私の恥です」

 声の主は大きな亀に乗った海人女王(マーメイドクイン)だった。

「ふん!恥とはこちらの台詞よ。邪なる者に(ドラゴン)になれると騙された愚かな蛇とだました卑怯者どもを焼き殺してくれるつもりだったのに…。御主人様マイロードに面目がたたんわ」

 もう片方の声は空の上でとぐろを巻く天竜だ。

 どちらもこの世界では伝説には残っている種だが、誰も見たことが無い種でありこの2人(体?)は迷宮の機能で作った奴等だ。その2人の威嚇合戦に船内は戦々恐々としていた。死を覚悟した戦いが目の前の2体によって一瞬でかたが付いてしまったのだ。無理もない。

 そこに「やめなさぁい」「やめよ」と、それぞれの背後から声がかけられ2人の人影が現れた。

「久しぶりですねぇ、5千年ぶりかしらぁ。空の管理者『竜王』」

 少し甘い声で船内を瞬く間に魅了したのは色白のゆるふわ系美女だった。まあサリーなんだが。

「5千年は言い過ぎじゃろ。海の守護者『海王』よ」

 それに答えたのは見た目は好々爺。しかし声には覇気を宿しサリーに魅了された船員たちが正気を取り戻す。一部倒れた者もいるが…。なんにせよ、こいつが竜王として作った竜人公(ドラグーンロード)だ。

「目覚めたのはワシ等だけか…。魔王がおらぬようだが。気配もせぬな」

「アーリエルちゃんが沈めた船にぃ、あいつの眷属がいたみたいだけどぉ邪に染まっていたわねぇ。ちょうど人間がいるし聞いてみましょう」

「なるほどの、それが良かろう。そこな人間。今、世界はどうなっているのじゃ。この数千年は覇王が治めていたのであろ」

と急に船長に話を振る。ってか、船長顔色が悪くなっているが大丈夫か?

「は?…は、はおう?あ、いえ、すいません。何の事かわりませんが、魔王は80年程前に勇者によって討たれました」

 そう、ここで出てきた覇王とは海王と竜王の設定を活かす為にリンシャルが旦那(グリム)と出逢ったと自慢していた帝国図書館の禁庫室になぜか保管されている童話『原初の四王』の登場人物で、実在した人物でもあるのだ。その物語では覇王を際立たせる為に他に「竜王」「海王」「幻王」の3人の王を立てライバルとしていた。最終的に覇王が勝利し帝国の基となった国を興すのだが、この物語は広まっていない為俺たち関係者以外はわからないだろう。しかし、この話が皇帝やこの物語を知る者に伝われば馬鹿にできない説得力を生むだろう。ちなみに、この話に「魔王」は存在しないが、「幻王」が「幻の大地の王」という設定の為、幻の大地=魔界→魔界の王=魔王という解釈ができるようになっている。

 閑話休題。船長の話を聞いた竜王と海王(とその部下の2人)に黙りこみ思案顔をしている。うん、いい演技だ。最初に口を開くのは竜王だ。

「ふん、愚かな奴め。自ら堕ちよったか…」

「馬鹿ですねぇ。でもぉそれだと奴の呪いが勇者にいって人類もまずい事になっていないですかぁ?」

「それは、大丈夫の様です。聖女エリス様が勇者様にかかった呪いを浄化されたと仰られています。神託の裏付けもあるようです」

 船長は先ほど目覚めたばかりだという2人が2年前に突如公表された勇者が受けた呪いの事をしっている事に驚きつつも答える。

「それは誠か!!?」「本当にぃ!?」

 2人に凄まれ、目を白黒させながら首をひたすら縦に振った。……本当に大丈夫かな?いざとなれば【守海】にバトンタッチさせるか。

「凄い人間もいるものだな。しかし…呪いが浄化されたとなると、後継者の問題が出てくるのぉ」

「そうよねぇ。誰かしらに憑いてるでしょうねぇ。あ、それじゃぁ今回はその後継者をどちらが多く潰せるかでぇ競いましょうかぁ」

 ここで、この2人は暴走するような言動を取り始める。まあ、演出なんだが…。

「よかろう、今度こそ我等竜族が最も優れている事を証明してみせよう」

「脳筋の竜族が優れているなんてぇ、ちゃんちゃらオカシイですねぇ。総合力なら海の民の方が優れているのですよぉ」

 この言動から2人の間に睨み合いが発生し某海賊王ばり覇気で水夫や駆け出しの討伐者達がバタバタと倒れていく。でも、実は手加減しているんだよな。目撃者はある程度いないと演技が無駄になる。

「ふ…魔王が居ないと張り合いが足りんのう。いずれにせよ結果がすべてじゃ」

「……貴方がまともな事を言うとは驚きですがぁ、同感です。それじゃ、とっととあの邪に塗れた大陸を沈めてしまおうかしら。ね、アーリエルちゃん」

 海王サリーは部下の海人女王(マーメイドクイン)を促す。

「ふん、その前に我等が焦土と化してくれるわ。行くぞゲンイチロウ」

 一方の竜王も部下の天竜に声をかけ去ろうとした所で、純白の3条の光が2人の間に降りてきた。エリスと戦乙女2人だ。

「お待ちください。原初の四王がお二方」

「お静まり下さい。海王「竜王」様」

まず、エリスが声をかけ、戦乙女2人がそれぞれに呼びかける。同等と扱うために完全にシンクロさせている。

「なんじゃ、戦乙女じゃと…神よりの使者か」

「大いなる方の使者ならお話伺いますよ。特に真ん中の貴女は私達と同等の力を感じますしぃ」

 実際は確実にエリスの力の方が大きい。比べるとすれば エリス>サリー>戦乙女>竜王>天竜≧海人女王と迷宮モンスター達が明らかに劣っているのだ。

「私は先程戦乙女の長として彼の方より任命されましたエリスと申します」

 その言葉に突如の事で茫然としていた船内の気を失っていない討伐者や船長などは目を見張りざわつき出した。

「なんと!使徒の長人だと…。覇王が天使長となった以来ではないか?」

 そう、実在した覇王は死後天使の長として天界の詰め所でせわしなく働いている。覇王の子孫である皇帝にしか伝わっていない事である。しかも皇帝の座に就いた時に本人から直接神託を降ろされるのだ。皇帝が地上の戦闘代行者として存在しているのにはこういうカラクリもあったりするのだ。ちなみに、この演出をするに辺り、元覇王こと現天使長に直談判に行き「名前は貸しても良いけど、俺は地上に降りないからな」と認めてはくれたものの演技協力はもらえなかった。

「有り難い事です。お二人の事は私も天使長様より先ほどお聞きしたばかりでございまして…。おそらく地上に現在原初の4王の事を記した書物は残っていないかと…」

 これは後で帝国図書館から発見された時に盛り上がる布石だな。

「そうか、我等の事は既に誰も知らないようになってしまったのじゃな」

「はい…。120年程前に魔王が地上に攻め込んできた時も、誰も魔王の事を知りませんでした」

 覇王が生きていた5千年ほど前も魔王なんてものは知られている事がないんだけどな

「そういえばぁ。さっきこの人が言ってた勇者の呪いを浄化したのって…エリスって名前でしたよねぇ」

「私です。80年程かかりましたが」

「まさか、そんな短期間で行ったのか!!」

「これだから脳筋は…。人間で80年は人生と同意語ですよぉ。それは是非どうやったのか知りたいですねぇ」

「わかりました。では、私が生前行った事を語りましょう」

 エリスはそういうと船の上にいる全ての者に自ら経験した事を語りだした。


天竜の名前はすぐに決まったけど、竜王の名前がいまだに決まらない…

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