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13話 古の聖女の農場計画

ペースよく書けるようになる薬ってないっすかね


毎日更新していらっしゃる作家様のツメの垢とか効きますかね?

 先程、確かに魔界で潰したゴーレムと言っていたが。まさか、それが私達でも攻略するのを諦めた魔鉱石のゴーレムだとは思わなかった。有効な手段が私の神聖魔法とフォルテの『勇者』という属性を乗せた攻撃しかなかったからというのもあるが、魔王を前にそこで消耗するわけにはいかなかったからだ。それが、言葉通り潰されていた。そして嬉々としてジョー殿がそれを解体をしていく。

「兄貴、ジンどう見る?」

「俺たちが斬れないからと判断して無視したゴーレムに間違いないな。ほら、フォルテが付けた傷が残ってら。ああやって打撃でやるのは上手いやり方だと思う。イジェスにドワーフが作った神鉱石のハンマーで殴らせればあれくらいできたんじゃないか?」

 なるほどな。確かにあらゆる攻撃を防ぐ兄貴の膂力はとてつもなく高い。だが、3人の中でそんな膂力を持ってそうな者はいない。

 ちなみに神鉱石というのは(シュ)の力を通わせる事ができる幻の鉱石だ。魔鉱石は逆に魔王の力を通わせる事ができる鉱石になっている。

 閑話休題 私の視線を察した兄貴が言葉を出す。

「彼女だ」

 兄貴の視線の先に居たのはサリーだった。確かに腰には槌のような物は持っていはいるが、ウォーハンマーのような戦闘用ではなく、ただ実際に杭等を打ち込む時に使うような物でもない。何か近い物があるとしたら呪具だろうか。だとしたら納得はいくが、呪具を使うデメリットを考えると……

「素手だ」

「ああ、魔法で強化して殴った訳だな。彼女はグラップラー(組技格闘家)だったが、ストライカー(打撃格闘家)の真似事くらいできるだろう」

 なるほどジンのいう事は理解できる。やはり戦闘の件はこの2人が頼りになる。もう少し兄貴の口数が多ければと思う事はあるが、明朗快活な兄貴を想像できないから今のままで良い。

「本人から詳しく聞いた方がはやそうだな。……ジョー殿、サリーを借りていいか?」

「ああ、いいぞ。リリアーナも暇なら行ってこい」

 解体している様子を暇そうに眺めていた2人が近づいてきた。

「なにか御用ですかぁ?」

「今、ジョー殿が解体している物についてなのだが……」

「ああ、あれですねぇ。魔界に行ったときに門番みたいな事してたんでぇ。邪魔だっていうので潰しちゃいました」

 次代の破壊神の眷属候補だから実力はあるとは思っていたが、そんなに簡単な事なんだろうか?

「サリーはグラード様の配下の中でも2番目に怪力だから簡単に言ってますけど、魔法で倒した方が遥かに簡単でしたからね。ジョー様が『うほっ!いい素材』とか言い出さなければ溶かしていたのですから」

「その言い方だと魔法を使っていないような言い方なのだが…使っていたのだよな」

「ええ、手の保護は必要ですから、硬質化の魔法は使いましたが…ああ、そうですよねこの世界にはスキルという概念が無いのでしたね。……伯父貴殿私が説明しても?」

 ジョー殿はヒラヒラと手を振って「おう、お前に一任するわ」と答えた。

 リリアーナは頷いて返礼し、私たちに『スキル』という物について語ってくれた。


 曰く

 ・スキルとは多くの世界で見られる『世界の祝福』であり、文字通り技能を後押しする物

 ・『世界の祝福』とはその世界に住む者に等しく与えられる創造神が世界に施した加護である

 ・世界によって強弱があり、取得しているだけで知識が無くともプロフェッショナルになる所もあれば、ケアレスミスを防ぐだけの物もある

 ・この世界にはスキルは無いが、世界の祝福はある。少なくとも変位と職業補正は創造神の加護としか考えられない。しかしその他にあるか等詳しい事は不明。リースバルド様()なら知っているかもしれない


「サリーは【豪拳】というスキルをもっていて、素手の格闘に補正が入ります。そのスキルと種族特性でサリーの膂力はアマダンタイトの塊も潰す事ができます。」

「でもぉ、スキルで手の保護はされないんでぇ、魔法を使わないと私の腕が折れちゃうんですよねぇ。トビーさんみたいに【金剛豪腕】ならその心配はないんですがぁ」

「なるほど、技術スキルと思っていたが加護スキルだったか。兄貴は気付いていたのか?」

 イジェスはいつものように頷くも、表情から察するに何かの加護とは思っていたといった所だろう。

「あったー!これだ!」

 突如ジョー殿が大声をあげると、全員が振り向き言葉を飲んだ。視線の先には塊に成った魔鉱石と黒く光る珠を持った血塗れのジョー殿だった。

「ジョー殿大丈夫なのか?」

「あ?ああ…オイルっぽい物で汚れちまったがなんとも無い。それよりこれを見てくれよ」

 そういって珠を私に渡してきた。


守護者の職業石(ジョブストーン)

 管理神ルーシュフェルドが人々が魔界に迷い込まないように作ったゴーレム用の強化秘宝(アーティファクト)。進入してくる者は排除するが自分からは攻撃は行わない


「まだルーシュフェルドがちゃんとしていた頃に造った物だろうな。そもそもゴーレム自体が奴の造った魔法生物だった。リースバルド様も真似して簡易版を人間に与えていたようだが、バランスを考えてこいつみたいな強力な者はつくらなかったみたいだな」

 ちゃんとしていた時の魔王か…。実際に対峙した私たちとしては想像もできない。

「それはちょっと強力すぎて使えないが、大きなヒントになった。エリスこれを農場用のゴーレムに渡してみてくれ。あと、それは研究に使うから返してくれ」

 守護者の職業石と交換したジョー殿が渡した別の珠を見る。見た目は先ほどの物より明るい色をしている。


記憶の珠

 死者の記憶をコピーできる。ただし魂はコピー出来ない。

〔現在マークス・ギネシスの記憶がコピーされています〕


「それは畑一枚から大農場主に成り上がった男の記憶が入っている。これをゴーレムが読み込んでくれるといいのだが」

 それはとても役に立ちそうだな。農場作業用のゴーレムは作っていなかったので、新たに作り以前レイバースケルトンに道具を渡した時の要領で記憶の珠を渡す。


名前:ウッドゴーレム10(仮)

種族:ファームマスターゴーレム

変位元:ウッドゴーレム

稼動年数:0年

職業:農場主

称号:記憶を受け継ぎし者〔マークス・ギネシス〕

階位:G


「ふむ、どうやら成功したようだぞ」

「そうか、よかった。おい、マークス希望通り美人の管理者の配下にしてやったぞ。魂はあっち(ムースガルド)だけど約束は果たしたぜ。本当はコアのサポート人格プロトコルに用意してた物だけど使えて良かった」

 ジョー殿・・・こんな婆さんを美人と言ってくれるとは嬉しいではないか。

「よし、後はこれ(守護者の職業石)とデリジェンスゴーストのテスト結果を元に簡単な職業石も作れるようになるだろう。少し時間はかかると思うが希望があれば言ってくれ」

「ああ、助かる。それで、農場だがこれからどうすれば良い?とりあえず、私は今まで通り近くの村からの寄進された物を食べているし、エインヘリヤルは食わなくても良い種族みたいだし、その他の配下も食事がいらない者達ばかりだから何とかなっているが…」

「さっきのアップデートで食料も問題なくだせるようになったから、そこから種籾なり苗なり家畜を出してマークスに渡せばなんとかしてくれるだろう。農具と人手は必要になると思うが」

 なるほど農場はレイバースケルトンではなく、ゴーレムに指揮させてあとはパペットを補充させればいいと言う事か。まずは基本の五穀か、適度な量の種籾と4体のパペットを新たに作る。マークスの記憶を持つゴーレムよ後は頼んだぞ。

 ・

 ・

 ・

 ・

「なあ、あれは何をしているんだ?」

 号令一下パペット達が畑を耕しているのは良いが、ゴーレムは種籾を触りながら考え込んでいる

「種籾になにか問題があったか?そんなはずは無いんだが。せめて言葉が分かればな・・・」

 私も農家の出ではないし…

「もしかしたら、ヒエとアワをどうしたら良いか迷っているのではないでしょうか?」

 なに?言われてみればリリアーナのいう通り、稗と粟の種籾だけを触っているようだ。稲や麦や豆はわかっているようだ。

「なるほど、確かにムースガルドでは栽培されていなかったからな」

「なに?稗が無くては寒冷地で食う物が足りないではないか。粟も乾燥地で育つ良い穀物だぞ」

 なにより稗粥は私の好物だし、粟で作った酒はまろやかで飲みやすく女性に好まれるのだぞ。もちろん粟酒は私の好物だ。

むこう(ムースガルド)では麦が主流でついで豆類、後は俺が広めた稲だ。稗や粟は雑穀としての認識はあったが、わざわざ育ててまで食べる物ではなかったな。まだ黍の方が団子にして食べていたな」

 これが世界規模でのカルチャーショックというものだろうか…。なんにせよ理由はわかったのだ。なんとかなるだろう。

「稗も粟も稲と同じように育てれば良い。後は自由に工夫してくれ」

 私がそういうとマークスの記憶をもつゴーレムは納得したのか頷いて返答(?)した。にしても『マークスの記憶を持つゴーレム』と呼ぶのは長いな。後で考えるか。

「穀類はそれだけありゃ大丈夫だろう。他の野菜はどうするんだ?」

「正直誰かに任せたいが、どうにかできるものなのか?」

「コアシステム自体の一部共有は眷属からでないとできないしな。一応作っただけの機能だったけど、稟議機能が使えるかもしれないな。エリス『稟議機能設定』だ」

 ジョー殿に言われるまま言われた通りに念じてみる。


〔稟議機能を設定します。特殊な機能の為説明を受ける事ができます〕

 よろしく頼む

〔稟議機能とは特定の配下が迷宮運営に関する要望案を作り裁定者にまわし決裁・承認を得る為の機能です。裁定者は眷属以上の者でないと設定できません〕

 なるほど、なら皆を裁定者として設定すればいいのだな。

〔裁定者は『応』か『否』か『判断不能』で採択し重要度に対し設定されている必要数の『応』が集まれば管理者マスターに要望案が届きます。また、重要度は必要MPや、裁定者の判断によって判定されます〕

「要望案が私の所に届いたら、処理をすればいいのだな」

「そういう事だ。まあ管理補佐サブマスターを任命して任せても良いけどな。重要度がある程度高い物は管理者でないとできない物もある。稟議機能を使っているわけじゃないが、俺もガルムからせっつかれている要望がいくつかあるな。とりあえず、そのままやってみると良い」

「取引でやり取りさせてもらっているが、ガルム殿も相当な切れ者だと感じたが、彼が判断できない物とは相当な物ではないのか?」

「そうでもないさ。ただ、権限的に俺しかできないようになっているだけで…」

 ともかくよくわかった。まあサブマスターの事はとりあえず保留で良いか。先に進めてみよう。

〔まずは、裁定者を設定してください〕

 グリム、イジェス、ジン、リン、ファムの5人全員だ。

〔設定しました。次に稟議を出せる配下を特定してください〕

 まずはマークスゴーレムだな。後はレイバースケルトン全員も必要だな。とりあえずはそれで良い

〔マークスゴーレムが特定できません。称号から判断しウッドゴーレム10をマークスゴーレムと命名してもよろしいでしょうか?〕

 おっと、無意識のうちに略していた。だが、まあいいだろう。

〔ウッドゴーレム10をマークスゴーレムと命名しました。マークスゴーレムに命名ボーナスが付きました〕

 何か変な物が付いたようだが、今は農場だ。

「マークス。他に必要な物を稟議で提案してみてくれ」

〔マークスゴーレム:畏まりましたマスターエリス。少しお時間をいただきます〕

 ふむ、喋ったな。ボーナスってこれの事か?

とまあ、初めてのネームドモンスターはレイバースケルトンではなくウッドゴーレムが搔っ攫っていってしまいました。レイバー達も後々つける予定です。


そして予定は未定です。

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