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10話 破壊神の眷属候補の異世界探索記(リリアーナ著)

遅くなりました。(え?いつもの事?失礼しました)


夏バテ気味でキツイっす。

 リズティールを旅しはじめて3日。色んな事があったので、初日から遡って日記をつける事にした。特に最初の2日間は怒涛だった。


初日

 ジョー様の魔王城への来客から3日後。私はサリーと待ち合わせをして『ヤヴキの複合迷宮』に向かった。そう、ジョー”様”だ。本人の前で言うと嫌な顔をされるので、普段は”伯父貴殿”と呼ぶが、本来は我が主グラード様と同等の存在だ。その執事長である鳥人族のヤキヤン殿の誘導で客室に通されると、魔王グラード様の腹心のひとり羅刹鬼のトビノさんがいた。サリーが「あれぇ?トビーさんなんでここにいるんですかぁ?」なんて暢気な様子で聞いたのだが、「おう!お前ら早かったな。準備は万端に出来てるんだろうな」と答えになっていない回答をされてしまった。ヤキヤン様に視線を向けたがそらされてしまった。

 ようやくジョー様が部屋に入ってこられたが、トビノさんが居る事に驚き「お前なんでいるの?」と聞いていた。私達も聞けるかと思ったんだけど、「ちょっとコトヅケがありやして、お耳を拝借いたしやす」と耳打ちをされ私達はなにも聞けなかった。それよりも、トビノさんの話でジョー様の顔がどんどん怖い顔に変わっていくのが恐ろしかった。

 トビノさんの要件は終わったらしく、私達に「頑張れよ」と声をかけると部屋を出て行った。本当に何があったのだろう。

 改めてジョー様からリズティールの天界でリースバルド様に謁見をし向こうの地上に降り立つ事を聞いた。

 うちの世界(ムースガルド)の邪神戦の時には、サリーは天界に上がったそうだけど、私は後方支援だったから異世界といえど天界に行くのは始めてだ。

 ジョー様の魔法(?)によりあっという間にリズティールの天界『喜びの苑』へ到着した。間近に見たのにどういう構成の魔法なのか全然わからなかった。『喜びの苑』は色鮮やかな花が咲き誇り、少し離れたところに小さな神殿があり、私達はジョー様に続きその神殿の中に入っていった。神殿の中にも花が咲いており、その世話をしている方がいらっしゃった。「リースバルド様。先日言っておりました者を連れてまいりました」とジョー様がいうので彼の方がこの世界の神という事がわかり、急いで跪き頭を垂れた。ジョー様、事前に言ってください。リースバルド様は私達を一目で魔人と水麗人と見抜き、「珍しい」と評された。あれ?こちらの世界(リズティール)にも魔人はいたのでは?と思ったが、「邪神に堕された者達と君を一緒にするものではないよ。そもそも、うちのはこんなに綺麗な純血種は居ませんからね」と返された。 褒められた様なので、更に頭を垂れたが、これって、ジョー様が前に言っていた土下座って奴かしら?しばらくお二方(片方が神で在らせられるのでお二人では変だよね?)で話された後、ジョー様が「それじゃ行くぞ」と声をかけられ地上へ降り立った。


2日目

 地上に降り立った時、太陽が真上に昇っていた。私達が出たのが夕方だったが、これは時差の様な物だとジョー様から説明を受けた。そして、ここはエリシェールという町のほど近くの森で、その町は邪神を―この世界では魔王ね―倒した勇者のパーティの生き残りである聖女が住む洞窟の最寄りの町という事で、その聖女の名前にちなんだ名前にしているらしい。そして、これから1か月くらいをかけてこの世界を(魔界を含めて)廻るとの事。ちょっと日数が少なくないですか?…せめて80日間は欲しいよね。とサリーと話してたら「お前らどこからそのネタを…」と突っ込まれたけど、落ち着いたら気になった所に転移門を敷けば良いって事を教えてもらった。なるほど、そういう方法もあるんですね。

 まずは見て回るのに必要な身分証を作るといって連れてこられたのは討伐者ギルドという、うちの世界(ムースガルド)で言うところの冒険者ギルドみたいな所だった。ジョー様がテンプレがどうのと言っていたので、「武芸百般の伯父貴殿に絡む馬鹿は居ないんじゃないですか?」と言ったら少し落ち込んでいた。何故だろう。だって、オーラ凄いですよ?ちなみに登録料はジョー様が持っていた宝石のイミテーション(ガラス玉)を換金した。

 ひとまず、割と高級な宿のスイートルームを取り、それぞれの個室に荷を下ろしリビングルームに広げられたプロジェクターでこれからの事を説明された。大きく映し出された地図には2つの大陸が描かれており、ジョー様の説明だと、アースのアジア大陸とアフリカ大陸に似ているとの事だった。アースの地図も映されたが、アメリカ大陸やオーストラリア大陸、ヨーローッパと呼ばれる地域がゴッソリなかったり、インドの東から東端まではノッペリとしていたり、ジョー様の故郷の島国も無かったり違いはあるものの確かによく似ていた。ただ、形が似ているだけで、地形(山岳だったり川だったり)はかなり違うとの事。まあ、説明されても私達アースの事はわからないんですけどね。北回りでぐるっと一周してこの世界の様子見や迷宮を設置する場所の選定などを行っていくという事だ。


3日目

 ひとまず、この国、トスロン王国をよく知るために首都に向かった。普通馬を使っても10日間くらいかかるそうなのだが、それは人間の足での話だ。私達は本気を出して3時間で到着できた。このトスロン王国という国は正教会というリースバルド様の教えに沿って正しく生きていくという教義の宗派の信徒が多い国だった。教義で他の宗派を拒むこともないので、西隣の神聖ラーゼル教国の国教ともなっているラーゼル教会の信徒や、北西に住む獣人達もよく見かける。また、農作物としては穀物が多く、五穀(稲、麦、粟、稗、豆)はもちろんキビ蕎麦ソバなども栽培されているようで、市場に多く出回っていた。

 ひとまず、今日まで起こった重要走な出来事や今後に必要になりそうな事を書いたけど、ここまで詳細に書かなくてよかったかしら?まあ、明日書く時にでも考えようっと



<中略>



8日目

 流石に北端は寒い。獣人達もモコモコした姿の人が増えてきた。そしてどこに行っても獣人達は優しい。魔人王はやめて獣王にでもなろうかしら?と言ったら、獣王は既にいるそうで、千年に一度生まれる獣人族の勇者的な存在だそうだ。残念


9日目

 サリーが北の海の魔物の状況を調べてきた。やはり寒さからここを通ったり、住んだりする魔物は居ないようだ。

 明日には獣人国を去り一度ラーゼル教国へ入る。どんな国かな?



<中略>



13日目

 明日ようやく教国を出られるという事で、私は飛び上がって喜んでしまった。肌の色だけで判断して監視してくる衛兵とか死んでしまえばいい。差別主義の癖して『神聖』とか名乗ってるんじゃないわよ。まったくこの国にきて始終腹立たしかった。割と内部にも魔物が入り込んでたりするので討伐者ギルドにだけ期待をしておこう。


14日目

 到着したのは、アークルシト帝国。邪神の残党と真っ向から立ち向かう最前線の国という事で、これから西は邪神の残党が居座っている地域という事になる。はやく懲らしめてやらないとね。帝国はせわしない国の様だ。聖威軍(魔物や魔族に対する連合軍隊らしい)の最前線があるという事もあり、他国から支援の物・人・金が流れている。だけど、この国の負担は莫大な物だ。よく耐え続けていると思う。迷宮設置する時はこの国の負担を軽くするように考えた方がよさそうね。そういえば、最前線だから西への出国はできないけどどうするつもりかしら?ジョー様がなにか考えているようだったけど…



<中略>



17日目と18日目

 昨日は海の中にいたので書けなかった。なんかもう疲れた。詳細は夜に書こうと思う。

 今日もつかれた…。けど記録は残さないとね。昨日、夕食をとった後、私達は海に向かった。また海の調査をするのかと思ったら、海を通ってアフリカ(に似た大陸)に入って言われた。サリーは種族的に海中でも平気だし私も魔法で何とかなるけど、ジョー様はどうするのかな?って思ってたら、以前アースの映画で見た潜水服のような恰好をしていた。どうせならノーチラス号を出してほしかったです。ジョー様が言うには機械ギアゴーレム改と言ってたけど、絶対趣味ですよね?海の魔物はそこそこいたが、全部蹴散らした(主にサリーが)。空腹になった時は(サリーが)魚介類を獲って、空気が通っている洞窟を(サリーが)探してそこで調理して食べた。サリーが大活躍だったわ。

 夜通し移動したおかげでアフリカ似の大陸に上陸できた。少しだけ変装(角とか付けた)してこの大陸を見て回る事にした。まず最初の目的地は最後まで抵抗していたというケロビン王国に向かう事にしたのだけど、完徹した事と偽魔人どもの態度の悪さに辟易して夕方まで進んで休む事にした。

 リースバルド様の仰られた「邪神に堕された者と私達魔人族は違うもの」という言葉と「きれいな純血種」とお誉め頂いた言葉が無かったらこの町を壊滅させていただろうな。



<中略>



21日目

 魔界最後の日。また偽魔人どもがいる土地に行かなければならないというのは苦痛だ。でも、魔界で一定以上の成果が得られたから無視して明日中には魔大陸(偽魔人がそう呼んでるらしい)を出れるとの事。明日まともな魔人族に別れを告げなければならない。よし、決めた!私はここに迷宮を設置して魔物達を魔界に還すように動こう。偽魔人どもも「自分達を選ばれた種族で、魔人族でなく魔族だ」と頭のオカシイ事言ってるから切り捨てやすいし。サリーがどこに設置するかわからないけど、私とサリーと人間たちで偽魔人どもをつぶしていこう。


22日目

 今、魔界を抜け魔大陸の東側の海岸にいる。ここから諸島国家群を船で突っ切り、教国の南にある小国群を通ってトスロン王国に戻ってくる予定だという事だった。大きな街は無いので魔物の調査をしながらの移動との事だ。船旅は初めてなのでゆっくりしようと思う。


23日目

 船酔いキツイ。もうダメかも


24日目

 ジョー様から酔い止めの薬を貰って幾分楽になった。島に上陸しても横になって動けない。サリーは海がキレイだと言ってたけど私には見る余裕がない。明日大陸に到着するらしい。


25日目

 やっと船旅から解放された。できるなら3日前のはしゃいでいた私の首を絞めてやりたい。とりあえず、移動しながら船旅の疲れを取る事に専念した。



<中略>



29日目

 噂は本当だった。王都の至る所で王名が入ったお触れが公布されている。彼女が翌日に会う人だという事だ。でも、制限されているけどどうやって行くのだろうか?寝る前にでも聞いてみよう。


「伯父貴殿。彼女にはどうやって会うおつもりですか?」

「ん?ああ、俺も予想外だったし、こりゃあっちを通るしかないわな」

 ジョー様は上を指しながらそう仰られた。天界を通り道にされるおつもりですか!!

次回エリス編

エリスの迷宮はどこまでできたかな?

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