五話 共闘せし身体
一紀「そういや作者は東方のキャラの中で何が好きなんだ?」
作者「ほぼ全部!(紅~心ぐらいまで。)ハズレなんてなかった!・・・強いて言うなら文、椛、魔理沙、白蓮、フラン、妖夢かな」
一紀「その中でって言ったら?」
作者「文!・・・でも椛も捨てがたいっ!あーでも妖夢も・・・」
一紀「分かった・・・分かったっての」
五話 共闘せし身体
「あそこだ!」
魔理沙が指差した先は森の中。―――確かにいる。何かは分からないが、一紀の体が危険反応を起こしていた。
「…やばいな」
「あぁ。やばいけど、やるしかない!」
「……すごいな。魔理沙」
魔理沙はそれだけを聞くと一気に急降下した。地面すれすれで急停止し、一紀は落ちかけそうになるが踏ん張った。そして前を見た。いる。魔理沙によく似た者が。でも全体的に暗めになっている。言うなれば、影に侵食されかけている魔理沙、と言ったところか。
「よぅ本物!またやられにきたのか?」
「違うぜ?次は助っ人を呼んだからな!」
戦いに助っ人ってありなのか?一瞬そう思ってしまった一紀。でも、たしかに危険だ。一紀は飛び降りて戦闘態勢を取る。と、この自分の行動に疑問に思った。
一体、記憶があるときの自分は何をしていたのかと。いつでも飛び込める体勢であり、本当に慣れているかのような構え。
「…おいアンタ。聞きたいことがある」
「ん?なんだよそこの男子」
「…何者だ?」
一紀の問いに、偽魔理沙は一瞬黙る。すぐに顔を上げる。
「本人が侵食されたから出てきた者。かな?」
「は?」
偽魔理沙の回答に驚いたのは魔理沙だ。いきなり自分が侵食されたから出てきた。答えになっていない。
「……イカれてんなこいつ」
やれやれとため息をつく魔理沙。でもすぐに笑みを浮かべた。
「ま、簡単な理由でよかったぜ?…つまり倒せってことだっ!!」
魔理沙は今まで乗っていた箒から降り、だが箒は持ったままロケットランチャーを撃つような構えを取る。
「ウィッチングブラスト!!!」
箒から魔法弾を飛ばし、偽魔理沙へとぶつける。爆発は起きたがすぐに偽魔理沙がつっこんでくる。
「させっかよ!!!」
そこに一紀が割り込み、叩き下ろそうとした偽魔理沙の箒を腕をクロスさせて防御する。
箒だったのかよくは分からなかったは、あまりいたくはない。すぐに一紀は反撃しようとして、右腕ではじいて左腕を振るってボディーブローをかます。
それよりも速く偽魔理沙はバックステップで距離を離し、一紀の反撃を回避する。疲れたかのように偽魔理沙は首を鳴らす。
「……ま。二人増えてもこんな感じだよな」
「なっ…んだと…!!」
「魔理沙!落ち着け!!」
偽魔理沙の挑発に魔理沙は怒り、懐からある道具を取り出す。
「こいつでどうだっ…!!」
魔理沙は道具に魔力をこめる。それを察した一紀は偽魔理沙にすぐに飛び込み、足払いで行動を制限させようとする。
だがすぐにジャンプでスカされ、反撃と言わんばかりに箒を叩き下ろす。そこを狙っていたかのように一紀は真剣白刃取りのような動きで受け止め、地面へ叩きつける。その勢いを利用して一紀は空中へ飛び込み、魔理沙の追撃が当たらないように避ける。
「恋符『マスタースパーク』!!!!」
それを見計らったかのように魔理沙が道具から強大な魔法レーザーを放ち、偽魔理沙を地面や木々ごと吹き飛ばす。魔理沙の近くで着地してその様子を見た。
「……嘘だろ」
分かっていた。この魔理沙の魔法でも倒せないことを。でも素直に認めない自分もいた。
偽魔理沙はまだ立っていた。
「いっちちち…ったく。手加減なしかよ」
「……おいおいおいおい……マジでか」
「んじゃ…ちょっと私も本気をだすぜ?」
偽魔理沙は先ほど魔理沙が出した道具を自分の懐から取り出す。それを見た一紀と魔理沙は、一紀は突撃し、魔理沙はその背後から弾幕を放つ。
「おっと。もう少し考えてくれよ?」
だが見計らっていたかのように、偽魔理沙は道具を上空へと投げ飛ばす。
「星符『サテライトイリュージョン』!!!」
偽魔理沙の周囲に色それぞれな球体が出現され、一紀は慌てて止まる。そして弾幕は球体に拒まれ、偽魔理沙は上空へと飛び、道具をキャッチする。
「星符『ドラゴンメテオ』!!」
上空から魔砲を放たれ、それが一紀に直撃する。さらに追い打ちをかけるように球体がはじき出され、一紀へ直撃する。そのまま一紀は吹き飛ばされる。
「お、おい!?」
「くそっ…痛ってぇ」
よく今のコンボに生き残れたな。と自分の体に感謝と感心をしつつまた偽魔理沙を見る。笑っていた。
「だからー。無理なんだって。……結局努力したって無理なんだぜ?」
「……何のことだぜ?」
偽魔理沙の言葉に魔理沙は反応してしまう。一紀は魔理沙を見る暇はなかったが、何か見透かされたかのような声を上げているように感じていた。
「お前知ってるぜ?…私が生まれた元だからな。……お前、努力しているところを見せられるのが嫌なんだろ?」
「………」
「で?」
そこに割り込んできたのは一紀だ。
「それがなんだ?努力ってそんなに悪いことなのか?……お前は本当に何が言いたいんだ?」
「あー…ちゃんと言ってなかったか。そういや。……特にないんだよな」
「……そうかよ」
「……でもまぁ、さっきも見たけどさ。本物の実力がないからー…」
偽魔理沙は両手を構える。道具は持っていない。その構えにあわてて一紀は両手を広げて魔理沙の壁になる。
「魔符『アルティメットショックウェーブ』!!」
連続で無数の衝撃波が発生させられる。その衝撃は一直線に一紀の方向へと飛んでいき、一紀の体をまた吹き飛ばす。その影響は背後の魔理沙にも喰らい、二人とも飛ばされ、木に激突し、倒れる。
「……こんな風に、私が本物になってあげるぜ?」
そんな言葉を聞きつつ、一紀は無理やり立ち上がりつつ、魔理沙を見る。目立った傷はない。だが―――
「………今の状況で、勝てるのか…?」
分からない。誰も教えてくれない。今の環境ではそんな暇はない。どうする?どうする?どうする?焦って焦って焦る一紀。思わず魔理沙の手を握る。その時だ。
「………何だ、これ…」
体の感覚がおかしく感じた。まるで同化しようと。そしてその力は自分にとってメリットとなり、倒せるかもしれない切り札となるかもしれない。
そして、忘れていた記憶をほんの呼び覚まそうとするのかもしれない。そうすれば―――。
「…魔理沙。しばらく体ごと力を貸してくれないか?」
「え?」
「勝つ方法はこれしかないと思う。…………信じてくれ」
「………」
いいのか本当に?魔理沙にその思考がよぎる。体ごと力を貸す。それがどんな意味か分からない。それに本当は自分が倒すべき自分だ。そんなのを任せてもいいのか。答えはNO。だ。
「まだ撃ち足りないかな?じゃあ……」
偽魔理沙は構える。先ほど魔理沙が撃ったマスタースパークの構えだ。……決めるのはほんの数秒。でも答えはNO。でも――――――
勝つ方法がこれしかないなら、信じるしかなかった。自分の偽物がいいように霊夢達を騙すのは魔理沙はそれ以上にNOだったからだ。
「……信じるぜ」
「あぁ!!」
一紀は魔理沙の手を強く握る。そして上空へと飛ぶ。攻撃の回避と同時に反撃へと移るためだ。
「『共同心身』!!!」
一紀と魔理沙の周囲が光る。すぐにやむ。そこには一紀のみだったが、一紀の髪の色は黄色、瞳は金色と、魔理沙と思わせる雰囲気だった。思わず偽魔理沙は攻撃を一旦中断して、構えた。どう出るのか、少しだけ見たかったのだろうか。
「じゃあ……いくぞ!魔理沙!!」
『あぁ…頼むぞ!一紀!!!』