三話β 一紀の意外な才能?~視点・霊夢~
この話は霊夢視点での話になります
ハーメルンの方では一紀視点での三話になります
つまるところ、ある意味半なろう専用話です。
あ、別にハーメルンのほうで三話見なくても次話にいけますよ。
「…ん」
誰かに見られたような気がして私は起きる。目を開けたら何故か一紀がいた。顔はまだ寝ぼけているからよくは見えない。でも少し待って。今の状況は?ゆっくりと顔を動かす。
左手は私の胸の上、体は私と、多分水平。
目が覚めた。そしてやることは一つ。この破廉恥な男を退治せよ。そのまま立ち上がる。そして右手に霊力をこめる。
「封魔陣!!!」
素早く霊力の結界を張って一紀を吹き飛ばす。そしてスペルをうちこもうとする。…今ちゃんと目が覚めていたら攻撃はここでやめてたはずね。でもそんなまだ眠っている脳がうまく働かず、またスペルを撃ちこもうとする。と、その時だ。
「すいませんでした!!!霊夢を起こそうとしたら運が悪すぎました!!!!でも朝食作ったんでそれで勘弁してください!!!!」
一紀が必死に土下座。でもそんな…
…ちょっと待って?朝食?こいつが?私の神社で寝ていて勝手に落ちたこいつが?このとき鏡を見たら多分私は驚いている顔をしているわね。
「…アンタ、作ってくれたの?」
「……あ、あぁ…。とりあえず食ってみてくれ」
「………分かったわ。でも今すぐ出ていきなさい。着替えるから」
そう言って一紀はすぐに部屋を出て襖を閉めた。一人となった私は一紀の出ていった方向を見ていた。
「…人は見かけによらないものね」
そういいながら私は着替えを始める。おっと―――
スペルカード「覗き見防止札」
よし。着替え終わりっと。襖を開けて部屋を出る。足元で一紀が息をついていたような体勢をとっていたけど、気にせず、ちゃぶ台に置かれている朝食を見つけてそっちに近づいて座る。一紀もすぐに座った。
「「いただきます」」
合わせたつもりはないのに何故か合った挨拶。私は一紀が作った朝食に目を向ける。白いご飯に、わかめと豆腐の味噌汁、おひたしに焼き魚と、シンプルで見た目も悪くない。問題は味。不味かったらすぐにスペカ撃とう。そう思いながらまずご飯を食べる。
―――美味しい。心からそう感じた。まさかこいつにそんな才能があったなんてね。
「まぁまぁね」
そう言った。だって、普通に面と向かっておいしいなんて、言えなかったし。黙々とご飯を食べる。
「おかわりあるぜ。残したらもったいないからな」
そう言われて私は小さくうなずいた。今ご飯に夢中だったから一紀の表情は見えなかったけど、嬉しかったんでしょうね―――。
少年少女朝食中………………
一紀と朝食を食べ終わった私はお茶を汲んで縁側に座る。近くでは一紀が桶で食器を洗っていた。まぁ、勝手に借りたし、ちゃんとそれくらいしなくちゃね。
平和すぎる空に私は思わずため息をつく。まぁ、平和なことはいいこと。異変が起きなければいい。と、思ってたけど・・・
おー……夢……
…声が聞こえた。あいつだ。魔法使いの霧雨魔理沙。聞こえた方向に顔を上げる。あぁ。来てるわね。魔理沙。…でもなぜかしら。少しあわてているようにも見えるのも。……どうやら異変がやってきたらしい。面倒ね…
―――多分、始まりはここからだったのよ。幻想郷を巻き込む異変が―――