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十三話β 神社の侵食影~1×1VS1+1~

かなり挫折して、そのまま小説おきっぱでした。

やっとかけたので投稿します。

おまたせしてすみませんでした

 神社から少し離れ、山の上空で一紀は引きつけて、戦闘態勢を取った。椛の剣を強く握り、ほんの少しだけ感覚を覚える。そしてまっすぐ、相手の偽雛と偽にとりを見た。やはりあの時と似ている。危険であると。


 「……いくぞ」

 『はい』


 一紀は自分の中にいる椛に話しかけ、椛はすぐに答える。もう一度、握りしめて突撃する。案の定、二人は弾幕を放って一紀を遠ざけようとする。すぐに一紀はブレーキをかけてすぐに回避行動に移る。


 「っ…!」


 だがさすがに二人同時の弾幕はきついのか、一紀は焦りの表情を浮かべていた。けれど、今は武器がある。すぐに一紀は剣ではじき、盾で身を護る。だがこれだけでは相手に踊らされるままだ。そんな状況でもどこかに打開策はあるかと探っていた。突然、椛が一紀に言った。


 『一紀殿。私の合図で飛び込めるか?』

 「頼む!」

 『了解。それまで耐えていてくれ』


 そう言って椛は黙り、一紀は椛を信じて防御行動をとり続けていた。一紀の方が、(絶対手加減されていると思われているとはいえ、)椛から少しだけ認められられているが、弾幕に関しては全く無知だ。とりあえず回避して殴る程度しか今の所持ち合わせていない。殴ると言うと今の所接近してとりあえず殴る程度。弾幕なんてもってのほか。

 だが今は椛もいる。椛のほうが弾幕ごっこに詳しい。だったらこういう弾幕にも慣れているはずだ。一紀は椛を信頼していた。別に共闘しているだとか、力を貸してくれているだとか、たしかにそれもあるかもしれないが理由も他にいる。


 「椛のためだ…。椛の大切な奴を真似ているやつが許せない。……だから精一杯信頼している。…俺ができるのはそれぐらいだっ!!!」

 『一紀殿!雛殿……赤いリボンの方の方向へ!!』

 「おう!!!」


 合図が来て、一紀はすぐに雛のほうへ突撃する。そして方向転換して、斬り上げる。だが、本気で斬り上げず、かすらせもしない。今の剣はフェイント。すぐに蹴りを加えるため。今は偽物とはいえ、さすがに殺傷は避けたい。一紀のそんな矛盾化した甘い考えが命取りとなった。

 ドスンと。一紀の脇腹に一瞬で重い一撃が加わる。横目で見ると、にとりのリュックから出ている鉄球が一紀の脇腹に当たっている。瞬間、制御できずに、森の中へと吹き飛ばされる。木枝を体に何発も撃ち、幹に激突してゆっくりと地面へ落ちる。


 『一紀殿っ!?』

 「……くそっ。やっぱ俺も甘ったれている…ガッ」


 脇腹を強く撃たれて痛めたのか、吐き気が治まらない。吐きかけそうになり、ぐっとこらえる。今椛がいる状態で吐くのは嫌だった。そして剣を杖としてガタガタと立ち上がる。……追い打ちは来ない。上空で待ち伏せているのか、偽早苗の援軍へと向かったか。どちらにしろ危険だ。一紀は急いでスペルを宣伝する。


 「魔走【ブレイジングアウェイ】……」


 ……できない。一紀は焦っていた。たしかに先ほどはできていた。だが今はできない。椛が一紀の中にいるせいか?だったらこれだと。一紀はすぐに思考を変えて手を頭におく


 「瞬間【突発的なインストール】」


 来ないでよかった。一紀は今の状況に安堵しつつ、スペルを使用した後見上げる。剣を強く握り、構える。そして勢いよく飛ぶ。木々や張り付いている葉っぱを蹴散らし、上空に姿を現す。すぐに守矢神社の方角を見る。それと同時に弾幕が一紀の真横から向かわれる。逆に好都合と一紀は笑って、すぐに真剣な表情で弾幕を回避する。

 回避しつつ、辺りを見渡す。……いる。ちゃんと二人が。律儀にも待ってくれていた二人が。あまりにも好都合すぎて体の力を思わず抜きそうになる感覚が襲う。だが、すぐに剣を構える。


 「椛!いくぞ!」

 『了解!!』

 『「牙符【咀嚼玩味】!!」』


 剣に弾幕を纏わせ、突きを放つことで一体化した弾幕を偽にとりへと撃ちこむ。集束弾幕は高速で一直線に向かわれ―――


 「弾けろ!!!」


 一紀の合図と共に弾幕が無数に拡散され、避けそこなった偽にとりに傷を負わす。さらに一紀は迷いもなく突進する。

 体をひねらせ、後ろ回し蹴りして突き飛ばす。飛ばされた偽にとりは空中でふんばり、反撃と言わんばかりに弾幕を発射する。その攻撃はとっくに見切っていたかのように一紀は回避してまた突撃する。

 この迷いのない行動に椛は感心していた。自分とは違った覚悟のあり、しかも赤の他人だというのにも関わらずここまで協力してくれている姿勢――――――。どこかまだ疑っていた一紀という存在を認めていた。


 「うおらぁ!!!」


 ザシュンと、突き抜けて一閃を放った一紀。手ごたえはあった。だからこそ、まだ確認をとろうとして後ろを向く。

 だがその隙をつかれ、偽雛から弾幕による腹部への攻撃をもらってしまう。しかも先ほど撃ちつけたところだ。ダメージは回復されてない筈だ。いくらなんでも隙はできるはず――――――だった。

 けれど、一紀はそれで止まることはなかった。姿を確認した後、左肩から右腰、右ひじから左ひざ、×の字に引き裂き、消滅させる。


 「……これが、『斬る』って感覚か……」


 ボソリとつぶやく。初めて手に味わった感覚は非常に息苦しいものだと、一紀は痛感した。そして二度と味わいたくないものとも認識する。けれども、


 「そんなわがまま言ってる暇……ないよな!!!」


 一回で仕留める。一紀の覚悟と共に最後の対象へと飛翔する。剣を構えて、展開された弾幕を回避しつつ、確実に大胆に近づいていく。距離はもうすぐそこだ。焦りの表情すら浮かべてない偽雛に気味悪く思いつつも、剣を構える。


 「終わりだ!!!」


 突き抜ける一閃。さらにそこからすぐにもう一度斬り抜け、さらに同じ動作を連続して空中からさらに上へと舞い上がる。


 「約束の地へ追放する…!!!」


 大きく飛び上がる。剣に自身の持っているすべてを込め、山吹色に光らせる。


 『「山窩【エクスペリーズカナン】!!!」


 急降下。連撃により、動かなくなった偽雛に止めの一撃を加えて、さらに剣のオーラを爆散させる。

 そのオーラがなくなったとき、そこにいたのは一紀だけだった。


 「……【共同解除】」


 一紀の宣伝と共に、隣に椛が出現する。手渡しで借りてた剣と盾を椛へ返す。


 「………」


 椛は遠くを見た。そして一点を見る。「どうした?」と一紀が訊ねると、椛は振り向かず、だが安堵の表情を浮かべた。その表情に一紀は「あぁ」と悟った。


 「無事だったんだな。よかった」


 でもそうするとおかしなことがいろいろある。それを考えようとした一紀であったが。

 突然、守矢神社側から何かが爆発するような音が響く。二人は急いで振り向いた。そして椛はすぐに一紀へ向く。


 「あちらも終わったようだな」

 「そうか……じゃあ行こうぜ」


 二人は肩を並べて守矢神社の方へと向かって行った。

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