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一話 目覚めた先は記憶喪失

 ふと、目を開ける。見た先は雲が所々にある晴天。そしてゆっくりと立ち上がる。体がグラリと傾く。


 「うおおおお!?」


 抵抗できずに声の人物はそのまま転がり落ち、地面に激突する。


 「イッチチチチ…くっそ、なんでいきなりこんな目に…」


 頭をさすりながら少年は立ち上がり、辺りを見渡す。どうやらそこは神社のようだった。しかもさっきまで寝ていたのは神社の屋根の上と、なんだかあまりにもアホなところにいたようだ。

 と、ふと疑問に思う。何で今まで神社の屋根で寝ていたのか。そもそもどうしてここにいるのか、そもそもここはどこなのか。


 「…んなアホな」


 さっき頭から盛大に落ちたせいでそれで忘れてしまったのか。そんなあまりにもアホすぎる展開は認められず、何気なく振り向いて賽銭箱を見つけて覗き込む。


 「入ってないな…。今持ち合わせあるかな?」


 ポケットに手を突っ込み、探るとあった。5と書かれたコイン5枚と500と書かれたコイン5枚、。それを500と書かれたコイン3枚以外全て放り投げて入れる。音が鳴る。


 「んじゃまぁ…。どっかn」

 「ちょっと待ちなさい!」

 「はい!?」


 突然横から声がして振り向く。見ると巫女がいた。


 「…アンタ、何を入れたの?」

 「…え?見てわからないのか?」

 

 巫女はすぐに賽銭箱のふたを取り外して確認する。


 「……名前は?」

 「名前?」

 「そうよ!名前よ!」

 

 巫女が詰め寄るように尋ねるので少し後ずさりながら答えた。


 「……獅綱しつな 一紀いっき


 名前すらも忘れた人物、一紀はとっさにそう答える。今『すいません。記憶喪失です』と答えても到底信じてくれないとおもった結果がこれだ。と、突然巫女が一紀を捉える。


 「ちょっと来なさい。少しおもてなししてあげるわ」

 「お、おもてなしっ!!?」


 まさかの御縁が働いたのか、どこかへと引きずられる一紀。と、すぐにたどり着く。どうやら小さな家のようだ。


 「そこに座ってなさい。お茶汲んでくるから」

 「…はぁ」


 と、縁側に無理やり座らされた一紀は空を見上げる。そしてどうして記憶がないのかを考えていたが、すぐにやめる。どうせ『ない』ものを考えても答えは『無い』。そのまま縁側に寝っころがって少し待っていた。と、


 「おーい!霊夢ー!!いるかー!」

 「ん?」


 突然遠くで声がしてふと起き上がる一紀。見ると、角が生えた少女がこちらへ向かっているようだ。


 「む?おぬし、だれだ?」

 「いや、君こそ誰だよ。…ってか、見た限り鬼っぽいけど」

 「おー。当たり」

 「まじで?…つか、待て」


 ふと、自分の言葉に疑問を持つ一紀。なぜならいきなりこの子のことを『鬼』と言ってしまったのだから。だとしたら、知らず知らずのうちにそんな常識を?


 「できたわよー。って、萃香、アンタもいたのね」

 「おうっ!霊夢、お酒あるか?」


 縁側から家へと向かう萃香と呼ばれた鬼の少女を霊夢と呼ばれた巫女はお盆を一紀の隣において萃香を追う。一紀はそのお盆の上のを見て、ため息をついた。湯呑と、その中に入っているお茶が2つあるだけだった。


 「…もうちょっと何か欲しかったけど、まぁ、いいか」


 湯呑を手に取ろうとして、少し火傷して手をひっこめる一紀。と、ふと最初にやることが思い浮かぶ。


 「……ここ、どこだろうな?」


 あまりにも当たり前で、記憶喪失に囚われていて忘れていたが、やることを1つ見つける。それはあまりにも簡単な事だった。

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