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チャイルドシートと返品

 結局、病院へは隆二の車で行った。

 美咲は、私が抱っこして助手席に座った……わけではなく、チャイルドシートを後部座席につけてそこに座らせて、私はその隣に座った。


「……ごめんね、隆二」

「謝るな。どうせ、必要になるんだ」


 なにが、どう、チャイルドシートが必要になるのか問い詰めたいのだが今回もこちらに負い目がある、黙っておこう。

 病院に連れていってくれると決まった時に、隆二は私と美咲をマンションにおいて近くのホームセンターにダッシュしてチャイルドシートを買ってきてくれたのだ。

 真新しいチャイルドシートを見て私は呆然として、即財布を取り出した。

 いや、手持ちでどうにかなる値段じゃないのはわかっていたけど、血の気がひいた。

 是非、一言相談してほしかったというか、なぜそんなものを買ってきたんだというか、よくぱぱっとそんなもの買おうと決断したなというか、やっぱり一言相談してほしかった。

 当然、お金は受け取ってもらえなかった上に、チャイルドシートなんかいらなかったのにと言った私の言葉に、どれだけチャイルドシートが必要で、これがあったから美咲は無事だったんだと大説教をもらった。

 病院に向かいながら、隆二がルームミラーごしにちらっとこっちを見る。


「美咲、きつくなさそうか?」

「うん、寝そうになってるけど……でもよかったー。車に乗るの怖がらなくて」

「怖い記憶にはならなかったんだろ」


素っ気なく言うだけだが、チラチラルームミラーごしに美咲を見てる。そして、おかしいなー、この男こんなゆっくり運転するような人だったっけー。初めて知ったぞ。

 ベビちゃんがいなくても、この運転を心がけていただきたい。あとだなー。


「チャイルドシートはいいにしよう隆二くん。オムツはねー、適当に買ってくるものじゃないんだよ、隆二くん。サイズもメーカーも違うんだ……せめてサイズくらいは聞いてくれ……レシート持ってるよね?返品してから病院いこうね」


 いくら見た目が小さいからって言っても新生児用のオムツ買ってこなくてもいいとおもうのよね。小さいのは美咲がベビで、他のベビも小さいのよ……

 隆二の鞄を断ってからあけて、レシートを取り出す。財布のお札入れのほうにレシートが束になって入ってる。捨てなさいよ、もう。

と、目当てのレシートを見つけた。あーチャイルドシート高えぇぇ。

わかったけど高いよ、こ……れ。あれ?


「隆二」


 隆二はルームミラー越しにこっちに視線を流してそれで答える。


「あんた、離乳食の缶詰めどこ」


 私の怒気を感じたのか、反応すらしない。


「だーかーらー!なんで聞かないのよ!離乳食はちょっとだけ始めたばかりだけど缶詰めなんて食べさせてませんー!それも返品!他になにか買ってないでしょうね!」


 油断も隙もない……

とりあえず、ホームセンターに返品のために行くのだった


「おい、おい香澄。お前デジカメ持ってるだろ」

「えへ。ダメ?」

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