初めての氷の上、失敗した
「ほわぁぁぁぁ。」
今私は、氷の上に立っている。
やりたいと言ってから既に1ヶ月は経っている。なぜならやるからには如月家の跡取りとして最高水準の教育をと父母が張り切ってしまったから。つまり、スケート靴、練習着、コーチ、リンクを用意しようとしてた。
そんなことより、私は早く滑りたいなと思いながら。ちなみに1ヶ月でリンクを建てるのは無理だった。
ただ、屋敷の敷地内に専用のトレーニング施設と、リンクを2年以内に完成させると言ってきた。凄すぎないか。我が家は。
私は4歳にマイリンクを得たのだった。
コーチを自らやるって立候補してた父はあげなく母に却下されてた。私を親の七光りとして目立たせたくないらしい。まぁ、自分の実力で上へ行けと言う実力主義の家訓に沿ったものである。
今立っているのは長野のスケートリンク。一般開放ではなく、貸切にしている。親が権力で… ほんとに勘弁して欲しい。
とりあえず立ってみた。うん。問題なし。
今日は貸切でも両親とあとは現役時代父のコーチをしてたレスリー先生の4人という人口密度がとてつもなく低い。貸切とはこういうものなのかもしれないが。
レスリーコーチの手を握って滑ってみた。なんというか、滑ってるの?これ。みたいに感触があんま無かった。ただ綺麗に滑れてるから、私って才能あるのでは天才なのではと自画自賛を心の中でしていた。
2、3周ぐるっと滑って、その後レスリーコーチはそっと、手を離した。するとどうだろう。とても安定せず、すんごい勢いですっ転んで頭をぶつけた。幸いヘルメットを着けていたため大事にはいたらなかったが、まだ2歳。大泣きした。痛くはなかったのに。いや、あったと思い込んでたのだろう。というわけで泣き止まないものだから、続行不可。1回目のレッスンは開始20分でリタイヤしたのだった。
ちなみに後でレスリーコーチは母遥乃にコテンパンに怒られてた。コーチの言い分としてはこんな小さい子を教えたことがないというものらしい。これに対し母ではなく父が激怒してたらしい。しかし母に
「あんたは、だまってて」
と除け者にされたと聞いた。父さん、怒りの矛先を自分に向けるなんて愚かな行為はしない方がいいと思うよ。
雛です土日1話ずつのペースであげてこうと思います。高校生としての勉強と部活があるのでテスト期間や大会前は前もって連絡するつもりです。