俺の夢はどこ?
夢を忘れた。
しかし夢を探そうともせず、酒を探しに出かけた。
独り暮らしのアパートには、脱ぎ捨てたままの背広が、しわくちゃになっていた。
そんな背広を見ていると、仕事のことばかり思い出してしまう。
誰かに愚痴りたい。
酒はその建前にすぎない。
居酒屋ののれんをくぐると、いつもの女将さんが、笑顔で迎えてくれる。
早速酒を注文して、愚痴をこぼす。
そうして、仕事で稼いだ金は、酒と愚痴に消えて行くのだった。
こんなことなら、酒じゃなくて夢を探せばよかった。
酒をたらふく飲んで、夢を見た。
違う。
俺が見つけたい夢は、現実で見る方の夢だ。
眠って見る方じゃない。
そしてまた朝が来て、出社しているんだ。
あーあ。