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28.恋愛指導

「どうすればいいって、まずは好きになってもらわなきゃね。好感度の低い相手に恋愛感情を向けられて喜ぶ女性はいないもの。今まで無条件に令嬢に言い寄られてきただろうけど、それで慢心していけないよ」


 ファビアンはそう俺に釘を刺す。

 確かに俺は女性の方から言い寄られるばかりで、実際こちらから何かしたことはない。それに興味のない相手に言い寄られる事の不快感も良くわかる。


 だが、好きになってもらうとはどう言う事だろうか。今まで誰かに好かれようなどと考えた事もなかった。何をすれば彼女が俺に興味を持つのかなんてさっぱり見当もつかない。

 そんな俺の表情を見てファビアンはくすりと笑う。


「...君には難しい話だったか。まあそうだね、初歩的なところから行こう」


 そう言うと俺の方を向き直り、人差し指を立てる。


「まずは優しくすること!君は無愛想だからね」


 続けて二本目の指を立てる。


「それから素直に褒めること!褒められていい気がしない人間はいない」


 そして三本目の指を立てる。


「最後に相手の話をよく聞き、真摯に答えること!自分の話を聞かない相手を好きになるわけないからね」


 優しくする、褒める、相手の話を聞く...。

確かに的を得ている気がするが、最後の一つ以外はなかなか難易度が高そうだ。

 冷徹だ、無愛想だと言わる上に、たまたま誤魔化すために令嬢の首飾りに言及した以外に女性を褒めたことなど一度でもあっただろうか。そう考えているうちにもファビアンは話し続けている。


「慣れてきたら相手の悩みを聞いてみたり、また自分の弱点をあえて見せてみたりしてもいいかもね!あと贈り物はテッパンだけどいきなり高価なものを贈ってはいけないよ!気軽なものから始めるんだ。それから趣味を共有したり、小さな頼み事をしてみたり、普段とのギャップを見せてみたり、あ、あと相手の真似をしてみるのも意外と効果的だよ!それから...」

「待て、いきなり饒舌になるな」


 膨大な情報を聞いているうちに頭がクラクラとしてきた。世の中の人間はそんなに数多くの事に気を配って恋愛というものをしているのか。はっきり言って騎士団の仕事よりも難易度が高く感じる。


 ファビアンは普段から女性慣れしていると思ってはいたが、もしかしてこいつはその手の道の玄人なのか?


「あっはっは!ごめんごめん、まあ君はそもそも容姿に恵まれているから普通の男よりは勝ち目があるさ」


 そういうものだろうか。

 正直色々な事を言われたが、とりあえず優しくする、褒める、話を聞く...あとは贈り物ぐらいしか頭に残らなかった。うまくできる気もしなければ、好感度を上げた結果彼女とどうなりたいのかもまだ、わからない。


 だがパブで食事をした後に(よく食べる男は)“好きだ”と言われたあの瞬間、自分でも驚くほど心が躍った。何度もその言葉を反芻してしまうほどに。


 ...俺はあの言葉が欲しいのかもしれない。


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