116. 父親の影
※ここから先は直接的な描写はありませんが、軽い性的表現が含まれます。成人向けではありませんが苦手な方はブラウザバックをお願いいたします。
「かーしゃん!」「...かーしゃま」
ミラとセリウスはついこの間3歳になったが、相変わらずあたしのことばかり追いかけている。
「よし、二人ともおいで!」
「きゃあ!」「えへへ」
ぎゅう、と抱きしめると二人は嬉しそうに笑い声を上げる。
元気でおてんばなミラと、おとなしくて物静かなユリウス。笑い方は違ってもそれぞれに可愛らしい。
その様子を見てアイネス達とセリウスはやれやれと顔を見合わせた。
「やはり母親には敵いませんなあ」
「先ほどまで我らとあんなに楽しく遊んでいたのに」
「お前らはまだいいだろう。俺には抱きつきにすら来ない」
アイネス達が諦めたような笑いを向けるのに対し、若干拗ねたような表情をするセリウスにあたしは笑ってしまう。
「ほら二人とも。父さんが寂しいってさ」
そう言って背中をぽんぽんと撫でて促してやっても、二人はこちらにの胸元に顔を埋めたままセリウスを振り返らない。
「...とーしゃま、こわい...」
「とーしゃん、おこる!」
それぞれに彼のことをそんな風に言って、二人はむう、と膨れてしまう。
騎士の生活に馴染めるよう屋敷で過ごすようになったユリウスと、海賊となる為に船で過ごすミラは早くも父親の呼び方が異なっている。
それでも同じ事を言うのだから、よっぽどセリウスを怖い父親だと感じているらしい。
「だってよ。もうちょっと優しくしてやれば?」
「ステラさんが甘すぎるのです。早いうちから悪い事は悪いと分からせておかなければ」
あたしの言葉にセリウスは険しく眉を顰める。
それを聞いた子供達はさらにこちらへぎゅうと抱きついた。
かつて赤ん坊の二人に狼狽えていたセリウスは、子供達が喋るようになるにつれて、だんだんと関わり方が堅くなって行った。
自らが父親に厳しく育てられたおかげか、まだ幼い子供達にも厳しく接するように変化していったのだ。
「両手で持たないから溢すのだろう。同じ失敗をするな」
「泣くな。言いたい事があるなら言葉を使え」
「あれもこれも嫌だと?そもそも拒否権があると思っているのか」
...等々、まるで部下相手に言っているのかと錯覚するほどの鬼教官ぶり。
アイネス達に聞けば、まさに父親であるクラウス・ヴェルドマンそのままの叱り方ということで、まったく子は親の鏡とはよく言ったものだ。
対してあたしはひどいイタズラなどにはドカンと怒鳴ることもあるものの、そこまで普段から厳しくなんてしない。
むしろ子供達と一緒に少々危険な遊びをしたり、遊んだ玩具をぐちゃぐちゃに片付けているのがバレてまとめて説教をくらう方が多い。
そんなこんなでセリウスは、赤ん坊の頃から今まで甲斐甲斐しく世話を焼いているのにもかかわらず、なかなか二人に懐かれないのである。
「父さんだってずっと怒ってるわけじゃないよ。ああ見えて優しいんだ、ちょっと下手くそなだけで」
あたしはこちらに抱きついて離れない二人に、諭すように話しかけてみる。
厳しくなったとはいえ、セリウスも愛情表現をしないわけじゃない。
むしろ彼としては自分の父親よりもかなりやっている方なのだ。
食事の際には「汚しすぎだ」と叱りながらも口元を拭いて頭を撫でたり、眠る前に信じられないほどの棒読みで絵本を読んでやったり、怪我をしたら「そんな所で走るからだ」とあの痛い治癒魔法で治したり。
...ただ、すべて驚くほどに不器用過ぎるだけで。
どうしてあたしにはあれほど柔らかな笑みで抱きしめられるのに、子供達には素直に笑みすら向けられないのだろう。
「とーしゃん、やさしくない!」
「とーしゃま、やさしいの、かーしゃまだけ...」
「「きらい」」
拗ねるような二人の言葉に、セリウスはうぐ、と言葉に詰まる。実際、彼としても子供達にうまく優しさを向けられていないという自覚はあるらしい。
流石に二人にここまで言われたら、彼も少しは態度を柔らかくするんじゃないか。
あたしは微笑んでセリウスを見つめてみる。
だが彼はショックを誤魔化すように咳払いをすると、不機嫌に眉を寄せた。
「...今日の為に焼いたタルトは無かったことにする」
「やだーっ!」
「たると、たべたい...」
「嫌いな相手の作ったものなどいらんだろう」
「「うぁあああん!!」」
大きく泣き出した二人に、セリウスはつんと後ろを向いてしまう。
「旦那様...」
「これは酷い」
「まさにクラウス様の再来ですな」
アイネス達が遠い目をして彼の背中を呆れて見つめる。だがセリウスは「...やかましい」と言って歩き去ってしまった。
おいおい、父親が本気で拗ねてどうすんだ。
あたしは二人を撫でながらため息をつくと、セリウスに呆れた目を向けた。
————
「なーんであんなに不器用なのかね、お前は。嫌われたいわけじゃないくせに」
二人が寝静まった夜。ベッドでセリウスの髪を梳かしながら、あたしは優しく問いかける。
あの後、
「“きらい”は流石に可哀想だろ。父さんが厳しく叱るのはお前は達が大切だからだ。ごめんなさいしよう、な?」
とあたしが宥めて「ごめんなしゃい」をした二人は無事タルトにありつきすっかり機嫌を取り戻した。
しかしセリウスはその姿を仏頂面で見つめながらも、わかりやすく落ち込んでいたのである。
「...俺とて、もう少し態度を和らげたいとは思っています。しかしどうにも...」
もごもごと気落ちした声でそう言うと、彼は黙ってしまう。
あたしはあえて沈黙を待ってやりながら丁寧に櫛を滑らせる。風呂上がりの黒髪はしっとりと艶やかで、ミントの香りがふわりと鼻をくすぐった。
毛先から少しずつ、滑らかな黒壇で彼の髪を磨いて、耳にかかった髪を下ろして。
しばらくそうしていると、次の言葉が思いついたのかようやく彼の口が開かれる。
「その...父親であろうとすると、つい...」
彼は小さくこぼしてため息をつく。
そう言えば、あたしが双子を産んで連れ帰ったあの日。セリウスは“父親として恥じぬ男になる”と自ら言い立てていた。
だがそのおかげで彼にとっての“父親らしく”を意識すればするほど、かつての厳格な父親に重なってしまうのだろう。
「俺がしっかり育てねばと、子供達に関わらねばと思うほど厳しい言葉ばかり出て、嫌われる...」
彼はそう言ってしょぼんと背中を丸くする。
厳しく育てられる事が当たり前だった彼にとって、叱咤は父から向けられる関心や愛情であり、どこかで喜びを感じる部分もあったのかもしれない。
それゆえに、父親とまったく同じ行動をしてしまうのだろう。
あたしは櫛をサイドテーブルに置くと、セリウスを後ろから抱きしめた。
「...わかるよ。親の影響ってのは大きいもんだ。あたしだってきっと、無意識に母さんと同じようにしてるんだろう」
「でもさ、お前の方があの子達をよく見てるのに嫌われちまうのは惜しくないか。本当は抱きしめて可愛がってやりたいんだろ?」
そう言って頬を撫でてやると、彼は「...はい」と素直に零す。その素直さを少しでも子供達に向けられたら、きっと二人も甘えられるのに。
「ただ、そうしようと手を伸ばすと怯えられて、こちらも強張ってしまい...。そもそもよく考えれば、俺は...俺の父が幼い俺を抱きしめる光景を全く想像できないのです」
「たとえ抱きしめられても俺はきっと、意味がわからず硬直した。そう思うと...」
彼はさらに気落ちした様子で言って、頬に触れたあたしの手をぎゅ、と握る。
あたしはそんなセリウスに苦笑するともう一度軽く抱きしめて「ほら、こっち向け」と彼の身体をこちらと向き合わせた。
「じゃ、まずはあたしを抱きしめてみたら?」
微笑んで言うと、彼はいつものようにあたしの背に腕を回して優しく引き寄せる。
「貴女にはいつだって触れられます。たとえ拒まれても離したくないとまで思うのに...」
はあ...、とため息をついて寂しそうに零すセリウスの言葉にあたしはふふ、と笑う。
そして彼の腕の中で大きな背を抱きしめ返した。
「だからさ、まずはあたし越しにしてみたら?簡単に触れられるあたしごとだったら二人を抱きしめてやれるだろ」
そう言うと肩越しの彼が「それは...、確かにそうかもしれませんが」と考え込むようにつぶやく。
「要するにきっと慣れなんだ。あと先入観だよ。自分が父親って事を意識しすぎずに、愛情だけ向ける練習をしてみたらいい」
彼の背をぽんぽん、と叩くとセリウスはこくりと頷く。
「...努力、します。あの子達に嫌われたくはない...」
呟くようにおずおずと言う彼は、まるで小さな子供のようで。
そんなセリウスがなんだかものすごくいじらしくなって、あたしはそのまま彼に向かって体重をかけ、ベッドへと倒れ込んだ。
シーツに押し付けた彼から少し身体を起こして、唇に口付けを落とす。
枕の上に広がった黒髪の内から、彼の金の瞳が愛おしそうにこちらを見上げた。
「こんなに優しい目ができるんだ、大丈夫。あたしが二人に教えてやる。お前のいいところは全部、あたしが聞かせてやるからさ」
「お前の感情は、慣れてる人間からすりゃすごくわかりやすい。気付き方さえ教えてやれば、あの子らもきっと不器用な優しさに甘えられるようになる」
あたしがそう言ってにっこりと笑いかけると、彼は少し驚いたような顔をしてから釣られたように微笑んだ。
「...まったく、貴女と言う人は...」
彼に抱き寄せられ、優しく唇を開かれる。
吐息混じりに舌を絡め合って、梳いたばかりの黒髪をくしゃりと撫でた。
彼の大きな手が背に滑り、長い指がゆっくりとくびれに沿って撫で下ろしていく。
腰をなぞる手のひらの熱に蕩かされ、身体の芯が切なく震えた。
・・・
結婚してからというもの毎度余裕なくこちらを抱き潰してきたセリウスだが、この頃は時々こうして、あえて時間をかけてあたしを確かめるようになった。
まるで舌の上で氷を溶かすように、じっくりと波打つ内側を味わって、下から腰をぐ...と押し上げる。
最奥まで達した熱に、低く深い吐息を漏らした。
しばらく馴染むのを待って、とん、とん、と優しく奥を穿たれる。その甘い振動はあたしの感覚を昇らせて、ゆるやかに痺れへ導いていく。
「...っ、は、ずい、ぶん、楽しげだな...」
迫り上がってくる感覚に耐えながら彼を見下ろすと、嬉しそうにセリウスは口の端を上げる。
「ええ...、普段のあなたが母親らしく変わったおかげで。より一層、女の顔にするのが楽しい」
意地悪な笑みを向ける彼に揺さぶられながら、あたしはなんとか言い返す。
「んっ、変わったって、言うなら...っ、お前もだろ」
出会った頃より四つ年を重ねたセリウスは、あの頃よりさらに厳格で重々しい雰囲気を纏うようになった。
輪をかけて年相応には見えなくなってしまった彼は、はっきり言って28歳のあたしより年上に見える程である。
圧倒的な実力はそのままに威圧感を湛えて軍の頂点に君臨する姿には、アイザックのように盲目的に憧れる騎士も少なくない。
屋敷に戻ればあたしから離れず甘えてるようなガキだってのに、何をそんなに肩肘張ってるんだか。
「お前、最近...っ、あの肖像画に、そっくりだよ」
あたしは与えられる感覚を逃しつつ、身を屈めて彼の眉間にキスを落とす。
「親父殿みたいに、取れなくなるぞ。これ」
そう言ってうっすら刻まれた皺をなぞる。
そして反撃とばかりにずっ、と勢いを付けて腰を落としてやった。
「っ!!そ、れはいささか...、嫌ですね...っ」
そう言いながらもセリウスは耐えるように眉をぎゅ、と寄せる。
「ふふ、また寄ってる」
あたしは気を良くして腰をくねらせ、ゆっくりと身体を持ち上げた。
「...っ、く」
「ほら、こわばらせない」
彼の眉間から眉尻までを親指でそっと撫でながら、体重をかけて、また持ち上げてを繰り返す。
そこが熱を持って硬さを増すのを感じながら、何度も、何度も、浅く、深く。
ペースを上げて彼を攻め立ててやる。
腕を掴み、指を絡ませて、彼が抵抗できないように。
「お前が大人ぶってるだけってこと、あたしにはお見通しなんだから」
「っう、......は、あ...」
あたしを見上げる彼が恍惚として、のぼり詰めていく熱に小さく低い声を漏らす。
部下や子供達の前ではどんなに冷たい仏頂面でも、険しい顔をしていても、あたしにとってはまだまだお前は年下の坊やなんだ。
そういう蕩けた表情も、潤んだ瞳も、上気した肌も、隠さず見せて甘えればいい。
彼の指の力がほどけていき、形の良い顎がのけぞってうっとりと長い睫毛を閉じる。
短く発された熱い息が、低く、深さを増していく。
...さあ、そろそろかな。
そのまま最後まで達せるように、あたしは追い討ちを掛けてやる。
「そう、それでいい...そのまま素直に、あたしのとこへ、おいで、ほら!」
「...ステ、ラさ...、ッーーーー〜〜〜!!」
声にならない声とともに彼の鍛えられた大きな身体が、あたしの下で耐えきれずに小さく跳ねる。
シーツに戻った背中がびくびくと余韻に震え、黒髪から覗く赤く染まった耳と、情けなく下がった眉が愛おしい。
「可愛い顔もできるんだから、考えすぎずに力抜け。な?」
なんて眉間にキスを落としてやれば、彼は「...負けました」とこぼしてふにゃりと笑う。
外で肩肘張ってるぶん、あたしの前では解けばいいさ。
————
「かーしゃんだっこ!」
「ねえしゃまずるい、ぼくも...」
「はいはい、ほらおいで!」
ミラとユリウスにせがまれて、あたしは二人を同時に抱き上げてやる。
「まったく、可愛いやつらめ」
そう言って頬擦りしてやれば、二人は嬉しそうにあたしにぎゅうと抱きついて笑い声を上げた。
そしてあたしは顔を上げると、そのまま二人を抱いて執務室へと足を運ぶ。
「どこいくの?」
「とーしゃまのおへや...?」
「もう一人可愛いのがいるからな」
「「?」」
首を傾げる二人に笑って、扉を足で引っ掛けて開ける。すると長机で書類に向き合っていた彼が顔を上げてこちらに微笑んだ。
「...ステラさん」
「見ろ。笑ってる父さん、可愛いだろ?」
あたしが二人にそう言うと、ミラとユリウスは同時に「かわいくない」なんて頬を膨らます。
セリウスは誤魔化すように咳払いをして、またいつもの仏頂面に戻ってしまう。
あたしはそんなセリウスに近づくと、彼の頬にキスを落とした。
「お前に抱きしめてもらいに来た。今すぐハグしろ」
「い、今ですか」
「そうだ。練習のタイミングを逃すなよ」
若干狼狽える彼に微笑みかけると、彼はハッと気付いたように椅子から立ち上がる。
立ち上がって急に見下ろされた双子はひく、と怯え、セリウスは一瞬こわばって、それから困ったようにあたしを見た。
「大丈夫。いつも通りでいいんだから」
彼の胸に少し寄って促せば、セリウスはおそるおそるこちらに腕を回す。そしてあたしごと二人をふわりと抱きしめた。
彼の香りと服越しの柔らかな熱が身体を包み込む。
「ほら、あったかい。あたしはこのおっきな腕の中が大好きなんだ。あたしの好きな場所が怖い場所なわけないだろ?」
そう言って話しかけれてやれば、彼とあたしの腕の中で顔を上げた二人は、柔らかな抱擁にきょとんとした顔であたし達を見比べる。
「ほら、キスも。全員分」
なんて頬を差し出せば、彼はあたしにキスをして、それからそっと二人の頭にキスを落とす。
ますます目を丸くした二人は、微笑むあたしと少し気恥ずかしそうにするセリウスをじっと見つめた。
「本当は、寝静まってからいつもこうしてくれてるんだよ。お前達が気付かないだけで、父さんは二人が大好きなんだから」
「そーなの?とーしゃん」
「...ああ、...まあ、そうだ」
ミラに聞かれてぼそぼそ答えるセリウスに、ユリウスが「なんでねてからなの?」と首を傾げる。
「それは...その...」
ますます気まずそうにする彼に目で助けを求められて、「父さんは恥ずかしがり屋なんだ」なんてあたしは答えてやる。
「とーしゃん、はずかしい?」
「...ああ」
「ぼくたち、きらい、ちがう...?」
「違う」
ユリウスにおずおずと聞かれて、彼は焦ったように答える。
「嫌いなわけがない。お前達は、何よりも大切だ」
「かーしゃんより?」
「...それは」
「家族はみんな1番ってことだよな、セリウス」
困ってしまった彼に助け舟を出すと、セリウスはこくこくと頷いた。
そして二人にまた不思議そうな顔でじーっと見上げられて、意を決したように口を開く。
「...その、...いつも、叱ってばかりですまないとは思っている。だがそのぶんお前達を愛している。ずっと変わらず、間違いなく」
二人を見下ろして真面目な顔でゆっくりと言葉を紡ぐ彼に、ユリウスとミラは目を見開くと顔を見合わせる。
そしてようやく伝わったのか、同時にやわらかな頬をふにゃっと綻ばせた。
「そっかあ、えへへ...」
「とーしゃんがすきなら、あたしもすき!」
あたしの腕の中で向きを変え、二人がセリウスに抱きつく。彼は目を見開いて微かに頬を緩ませた。
そして慌てたようにぐ、とまた顰めっ面をするので双子は「わあ、またこわい...」と彼を見上げた。
あたしは吹き出しそうになりながらその顔の理由を教えてやる。
「ちがうよ、これは嬉しくて泣きそうなのをこらえてんの。よく見とけ、こういうとこが可愛いんだ父さんは」
「...おやめ、下さい...」
「あっ、ほんとだ!とーしゃんおめめあかいよ!」
「...とーしゃま、なきそう」
二人にますます見つめられて笑われて、彼はひたすら困ったように目をぎゅっと固く瞑ってしまう。
...ほんと、可愛いやつだよお前は。
「愛してるよ、セリウス」
そっと頬にキスを落とせば、双子も顔を見合わせておもむろに背伸びをする。そして彼の両頬に「ちゅ!」と口で言いながら二人も真似してキスをした。
「「あいしてる、よ!」」
「...っぐ」
途端に決壊した彼の涙腺から、ぽろぽろぽろっと涙が落ちる。
「ないちゃった!」
「とーしゃま、なかないで...」
「よしよし、とーしゃん!」
「っ...見る、な...」
顔を背ける彼にあたし達はあはは!と笑って、もう一度ぎゅっと抱きしめた。
ついに双子が喋るようになりました。2話ほど挟んでまた成長、みたいな感じで進めようかなと思っています。ずっと二人を書いてたい気持ちと、子供達が立派に成長して完結させたい気持ちがせめぎ合う〜!
あと伝わりそうで伝わらないギリギリ健全えちち描写が書きやす過ぎて、読者様の反応が嬉しくて多めになっちゃいました。求められてなかったらどうしよう...こわいな...。




