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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

巡り巡った輪の先に見る夢は

作者: ささみすき

なろう初心者です

元々はとある作品の二次創作として書き途中だった作品たちをいくつか集めてオリジナルに編集しなおした

全編ほぼシリアス 残酷な表現 無理矢理 暴力表現あり

心に余裕がある場合のみ読むこと推奨

ハピエンは目指した。

1

気に食わないのがうちに来た。

ーどうせ数年で壊れる偽りの和平ー

交換留学のためと称した生贄。

その生贄に選ばれた黒髪は張り付けたような笑顔で挨拶してきた。

「今度からこの部隊でお世話になりますーーと申します。よろしくお願いします。」

僕が尊敬している数少ないうちの1人、上官が答える

「ああAの。噂は聴いているよ。」

通常A部隊か。

敵国の特殊部隊で、表に出てる情報はほとんど何もなく、ただ()()()()()()()()()()()()()()と評判のーあの部隊か。

そうかこいつは切り捨てられたのか。

ここは祖国の精鋭部隊。精鋭中の精鋭が揃ってはいるがーー部隊には何度も煮え湯を飲まされた。

ー何度も、何度も壊滅させられ。

仲間も何人も死んだ。

もし他の仲間が知ればすぐにこいつを殺すだろう。

そのための生贄。


「おい、〇〇大尉。この方については極秘だ。他に漏れないように…な。」

最重要機密ということか。

この時の僕はわざわざ上官が同席を求めた理由もーーが薄っすら笑っていた理由も知らなかった。


これは始まり、()()と僕の巡る輪の中での話。


2

表向きには通常の部隊から来たことになっているーーは、驚くほど他の隊員とすぐに打ち解けた。

詐欺師の訓練でも受けたのか。その時だけは表情が良く変わる。目は笑ってないが。誰も気づかないんだろうか。

よく回る口で他の隊員を騙してー。どうせ和平が破られたらすぐに殺すだろうに…。

僕は非常に苛立っていた。


ずっとーーを見て苛立って、本当のことには気づかないまま。

気づくチャンスはいくらでもあったのに。


ある日休みの日にーーを見かけた。

全身黒で統一したーーはいつもの通り張り付けた笑顔で歩いていた。治安の悪い地区へ向かって。


何か企んでいるのか?

そう思い後をつけた僕は、間違った。罪を犯した。後から真実を知って後悔した。


ーーは迷いなく歩いている。ここに来るのは初めてだろうに…。

急に足を止め振り返った。

「〇〇大尉、いかがされましたか?」

「ーーか。いや、別に。」顔を背けた僕は知らなかった。なんともないように問いかけるーーは、彼女の目には感情があったことに。

「別に、はないと思いますが。私をつけてきたでしょう?」

「……」図星だったためーーの目を見れない。

「とにかく、だ!この国で何をするつもりか知らないが僕はお前を認めてない。」

「……でしょうね。私もそう思います。」淡々と答えたように見えたーーに僕は頭に血がのぼる。


「とりあえず付き合って貰おうか?」掴んだ腕は案外細かった。

ーーを引っ張りホテル街へ向かう。

逃げないように腰に手を当て抱き寄せる。

端にある宿の部屋へ入ると僕はーーを押し倒した。


「お前、A所属なんだろ?俺たちの仲間何人も殺してきた特殊部隊の。」上を脱がす。

無抵抗のーーの胸にはサラシが巻かれていた。

「……()()()()のか。」

無表情で僕を見つめるーー、は肯定も否定もしなかった。

「……ははっ!お前…その体で、男何人も骨抜きにして情報抜き取って仲間殺して……。返せ!返せよ!」顔を殴る。

A部隊はハニートラップも行うという話だった。

殴られても無表情のーーにさらに怒りが湧いてきた。

下も脱がしサラシも剥ぎ取り僕は。

ーーを犯した。最中も無表情のーーの中は思ったより濡れてないので宿のローションぶちまけたが終わった後のベッドの上には血がついておりー。その意味を知らずにいた。よく考えれば僕が殴る前から体中傷だらけで、その中には明らかに戦闘で付いたものではないものも混ざっていたことも。

終わったあと、急に罪悪感に苛まれた僕はーーに背を向けて着替え慌てて宿を飛び出した。彼女の目の中の感情を知らないまま。


ーーを犯した数日後。隣国で革命が起きた。

そしてその日、ーーは僕をかばって死んだ。


交流会として呼び出された隣国の練兵場で、僕らは隣国軍に襲撃される予定だったらしい、僕らが到着する前に隣国の圧政に耐えかねた市民が流れ込んできて隣国の軍人を取り囲んで殺し始めた。ーそうだ。


その頃僕らは国境越えたあたりで怒りで我を忘れている市民に襲撃されかけたが。ーーが僕の前にでた。そして、市民に撃たれて死んだ。

死に顔は笑っていた。


ーーがあっけなく死んで市民たちは僕らの方へ向かってきたけど。その時上官が「我々は△軍である!これ以上の攻撃は△への宣戦布告とみなす!」と宣言し、「我々は首都へ向かう!邪魔をするな!」と市民へ銃を突きつけ進軍した。

ーーの死体は死体袋に入れて連れて行った。

その目的も分からず、僕はただ袋を見ていた。


首都ではあちらこちらから火の手が上がり混乱している。


僕らは完全装備で首都へ入り、ある建物を制圧した。

反撃されたので無心で制圧したが…。

そこは何かの研究所で、中には…、中には軍服をまとった少年・少女の死体、白衣を着た人間たちと幼い子供たちの死体と標本が転がっていた。

「全員傾注!」上官が吐きそうな僕らを集める。


「ここが我々の宿敵、A部隊の本拠地だ。」頭が理解を拒んでいる。

「A部隊とは幼い子供を拉致、洗脳、改造して兵士に仕立てあげるための部隊だ。子供なら相手の油断を誘いやすい。接敵した相手はどんな犠牲を払っても全員殺すように命令されるそうだ。」

…まさか、…まさか!

「そうだ、実はーーはここの出身であり、我々に情報をもたらしてくれた。」

「この国での革命もーーと志を同じくする仲間が仕掛けたものだ。だから我々が無事にここまでこれた。」

「残念なことに仲間はーー含めて全員死亡したと諜報部から報告があった。…()()()()()()()()()()()革命を成功させるために。」

…嘘だ、…嘘だ!

「ーーは初めから死ぬつもりで我が国に来た。我々が受け入れたのは隣国との戦争を終わらせるため。…国が壊れればよそと戦争する余裕もないでしょう?どのような形でも終わりますよ。そうーーは言った。」

「そのためならどのような犠牲を払ってでも進む覚悟はあるか?少なくともーーはあった。自分の体を使ってでも。」

周りがざわつく

「ーーの死体は証拠になるだろう。この国が非道な行いをしてきた事の()()()()()に。」

「ーーの受けた処置についてはある程度情報はあるが詳細はここに来ないと。な。」中に入っていったのは諜報部の連中か。

「幼い子供の死体も証拠になるが証言の信憑性は……。」

じゃあ、ーーは。ーーは……。

「とにかく我々はここの警備に当たる!交代は2200に来るのでそれまでの間辛抱してくれ!」


僕は立っているのも辛かった。


しばらく経ってーーの死体が解剖されてあらゆることが白日の下に晒されてー。

僕は上官に呼び出された。


「〇〇大尉。すまないな急に呼び出して。」

「いえ。」あの日から僕はなんとか動くだけの状態で。

「実はーーについてだが聞きたいことがある。お前…。ーーを襲ったか?」

真っ直ぐ僕の目を見る上官の目には疑念の色が浮かんでいる。

「実は…諜報部から報告があった。革命の数日前お前がーーを宿に連れ込んで暫くしたら慌てて出てきた。と。遅れて出てきたーーは何も無かったと言っていたそうだが…。確証が無くてな。ーーには目に見える怪我が無かったと言うしー。」

怪我が無かった?顔を殴ったのに?

「何をするつもりか?と問い詰めても何も答えなかったのでーーの顔を殴りました。」後は犯した。

「そうか…。いつも冷静なお前らしくないがまぁいいだろう…………これは聞き流してくれても構わないんだが、ーーは欠陥品扱いだったそうだ。無茶な改造の結果感情を失い単純な戦闘にしか使えない。と。あの部隊は完璧な兵士を目指していたそうだ。圧倒的な戦闘力、人を騙す詐術、もちろん肉体関係も込みで情報を奪う術。ようは我が軍で言うところの特殊部隊と諜報部と外交官を兼ねた存在。を作りたかったと。そのために顔の整形も行って、だから施設にいた少年達は皆美形だっただろう?ーーは幼い頃に感情を失い片目の視力も落ちてその基準から外れたそうだ。本来であれば殺処分らしいが謀略に長けていたから特例で生かされたと。他の部隊からはA部隊所属というだけで煙たがられ避けられ…無理矢理体を求められることも自分から開くことも無かった、つまり処女ですねと笑っていたよ。目は笑ってなかったが。」

どう答えていいのか分からない。


……無理矢理体を開かせたのは僕だ。

あの時の血はつまりー。


上官の部屋からでた僕は。

その夜銃で頭を撃ち抜いた。


3

嫌な夢を見た。

本当に嫌な夢。白昼夢というやつだろうか。一瞬僕は意識を飛ばしていたらしい。

上官に呼び出されたから行かないと。挨拶らしいけど。面倒だ。

ー挨拶?まて、今日は何日だ?

慌てて確認したらその日はーーと初めてあった日でー。

嫌な予感がした。

上官の部屋へ行ったら…。ーーがいた。

最初のように張り付けた笑顔で笑う彼女がいた。

「おい、〇〇大尉。この方については極秘だ。他に漏れないように…な。」

同じ言葉が繰り返される。

「よろしくお願いします。〇〇大尉。」繰り返してる、あの日を。

「……一つ質問宜しいでしょうか?どうしてA所属の方がここへ?あとなぜ僕にも開示した?」僕の後悔から見ている夢なら、あの時聞かなかったことを確認する。

「ああ……それは…だな…。」口ごもる上官と

「……最重要機密です。」とだけ告げる彼女。

「まだ明かせませんがそのうちわかります。〇〇大尉は優秀と聞いていますので理由は明かせませんが私の秘密を守っていただけるかと思いまして。」初めてーーの目をまともにみた。

濁ったようなその目はー。だけど僕を真っ直ぐ見ていた。


寝て起きたら目が覚めると思っていた。

でも目は覚めなかった。こう認識しないといけないー時が戻っている。

前回と全く同じ会話で他の隊員と打ち解ける彼女。

あのあと他の連中もかなり精神的にダメージを受けていた。

死ぬつもりだなんて誰も気づかなかった。

仲間の仇ではあるものの、自分の死体すら利用して死ぬなんて。

そうまでして得たものは何もない。

僕はただ見ていた。

戦術も戦闘術も、人を騙すことすらも仕込まれた彼女は順調に部隊内で受け入れられた。


その日、僕が間違った日

同じようにーーを見つけ、後をつけ、声をかけられ。

「〇〇大尉、いかがされましたか?」

「気になっただけだ。」

「そうですか。……私は行くところがありますので失礼します。」足早に立ち去ろうとする彼女の腕を掴みこう言った。

「僕もついて行っていいですか?」と彼女の目に少しだけ感情が見えた気がした。


路地裏の空き地

そこが目的地だったらしい。

表情を変えないままそこを見つめている。

こうしてみるとあの施設にいたのよりは人間味がある。

……彼らは美形ではあったが人間離れした美しさだった。

「……私の顔を見てどうされましたか?」僕の顔を覗き込む彼女。

「……あー、人間だな…と…。」

「……はぁ…。人間ですが。」お互いに気まずい。

「…普通の顔だな…と。」

「……。」

「…僕はそれでいいと思う…。」何を言っているんだろう。


「……化け物って言われるかと思いました。元の国でも言われていたので。」こんな重い話を普通に話されるとなんて答えたらいいか分からない。

「……君は人間だよ。」

「…そうですか。私が人間…。」と表情を変えない彼女はポツリとこぼした。


しばし2人で黙っていると

「そろそろ帰りましょうか」と促され基地へと戻った。

なんでここに来たかとか、「祖国」じゃなくて「元の国」というのかとかは聞けなかった。


数日前、またーーは死んだ。

今度は呼び戻された隣国に処刑されて。

それでも革命は起きて、僕達が行って、施設のことも明らかになった後。

僕はまた頭を撃ち抜いた。

また彼女の死に顔は笑っていた。


4

また時が戻って彼女と出会って同じように過ごして。

その日が来た。

あの路地裏の空き地に先回りした僕は彼女と偶然会ったかのように振る舞う。

「〇〇大尉どうしてこちらへ。」目にほんの少しだけ前より感情がある気がする。

「猫を追いかけてた。ーーこそどうして?」たまたま側にいた猫を理由にする。

「はぁ…。猫…。私はたまたまです。」理由は言わないらしい。

「……そうか。」無言で見つめ合う僕ら。らちがあかないので話を変える。

「……一緒に歩かないか?ここに昔住んでいたことがあって地理感あるから。」

ただ無言で歩く。

今は治安が悪いけど、かつてここは穏やかな街だった。

僕は家族と一緒に暮らしていて、その時友達と遊んで毎日街中走り回って、追いかけっこしたりかくれんぼしたり。

幸せだった。

でも突然壊れた。

ある日隣国から突然空爆されて街が壊れて、家族も友達もいなくなってー。

僕は親戚に引き取られたけど中には孤児となった子供もいた。

ーその子供のうち何人があの研究所へ連れて行かれたんだろうー

ー何人が生き残ったんだろうー

ー僕らの遊び場だったあの空き地だけは残っていたんだなー

そういえば街の子供達の中で僕に一番懐いていた幼い子がいた。

たしかその子も黒髪でー

僕は立ち止まり頭を振る。


ふと隣の彼女の髪に手が伸びた。ーもう少し手入れすれば綺麗な黒髪なのに。すこし軋んだ髪をすく。長い髪の方が似合うと思うのに短いのがもったいなく感じる。軍人だからしかたないけど。

無言で彼女は僕を見つめていた。すこし悲しそうな目だった気がする。


暫くそうしていると

「そろそろ用事がありますので失礼します。」と踵を返した彼女は最後に

「……私…実はあの国出身じゃないんです……。」それだけ言って立ち去った

「……そっか……。」だから「祖国」じゃないんだ。


数日後またーーは死んで。僕は頭を撃ち抜いて。

繰り返す。


5

彼女はどうしても死ぬ運命なのか。

優秀だと言われても人一人助けられない。

繰り返しの鍵は僕の死

だからあの日に戻って彼女を助けられないかと思った。

佐官ですらない僕にできることなどたかが知れていて、でも繰り返すことですこしずつ彼女の寿命は伸びたけどこれは誤差の範囲だろう。


繰り返す中で気がついたことがあった。

死ぬはずだった彼女の仲間が生き残っている。


もしかして彼女も繰り返しているのか。

最早ルーティンと化したあの日

僕はかまをかけた。

いつもの路地裏の空き地で僕は彼女に

「ーーはここの出身なのか?」と尋ねた。

「……どうしてそう思うんですか?」彼女の目には困惑の色。

「……。それよりも…もし僕がこの先のことを知っている。と言ったらどうする?」そっと抱き寄せ耳元で囁く。

「……僕の勝手だけどきみを死なせたくないんだ。でも何度も失敗して…。失敗して。」

だからー

「もう君を連れ去るしかないと思ったんだ。」

突然のことに反応が間に合わなかった彼女を抱きかかえ走り出す。

後ろから諜報部が追ってくる。

用意していた車へ手錠をかけて押し込みエンジンをかける。

捕まるわけには行かないー諜報部にも隣国にもー

「〇〇大尉!」初めて声を上げたところをみた気がする。

「…、君を諜報部にも隣国の連中にも渡さない。だって死ぬだろう!いつも、いつも笑って死ぬだろう!?……もうたくさんだ……!、……お願いだから!…ねぇ……〇〇ちゃん!」何かが落ちる音がした。


「……いつ……なんで……どうして……。でも……。」

彼女は、あの街にいた黒髪の〇〇だ。

そう確信したのは数回前。

街を歩いていた時にすこしだけ懐かしそうな顔をしたから。


彼女は感情がなくなったんじゃなくって頭の中で切り離して俯瞰して見ている。多分そういう感じだったんだと思う。

でも僕に再会してすこしだけ動いた。

A部隊にいたから僕の部隊のことも知っていた。だからあの日僕が犯した日、何も抵抗しなかった。

何をされても仕方ないと思ったから。


どのみち数日後には死ぬと知っていたから。


隣国からもマークされていた彼女は革命の前でも後でも死ぬ。

前に死ねば仕込んでいた策で革命を起こす。

革命が始まった後は僕らを施設まで送るために全力を尽くす。


本当にどんな犠牲を払ってでも。

でも繰り返すことで仲間だけは助けられると思った。

彼女と違って革命の計画に深く関わってないから。

首謀者は彼女。

国内の反体制派・不満分子を扇動し、国外の犯罪組織に手を回し治安を悪化させ市民の不満を増大させる。

賄賂や不正の横行を利用し食糧価格を引き上げたり犯罪のもみ消しでも不満はたまる。

複数の策を用いて国を一つ潰したんだ。


革命の後も含めて。


最初のループの時

……政権打倒までは革命軍として協力していた各勢力もそれぞれの主張の違いから分裂、内戦に発展。

事前に打ち合わせしていた周辺諸国は国境を封鎖。

あの国を占領しても何も資源もないから市民ごと放置する。


ループ後にかろうじて助けた仲間はほぼ一般人と変わらない存在だったため被検体としての価値は低い。と監視付きでの生活。というか事実上の放置。

……その仲間以外は誰も何も得られなかった。

……何も得られなかった。

せいぜい彼女の遺体から何かしら得られたくらいだろう。


そもそも謀略って改造とかで得られる才能ではない。

そこまで考えて立てたんだろう。

気に食わない。


革命前に、全く関係ない大陸へ逃げ込む。

僕に取れる手段はもうそれしかない。

逃れなくてもー


事前に計画していた通り革命軍への支援物資を運ぶ為の飛行機をハイジャックし自動操縦で別大陸に向けて飛ばす。


「……。今度はうまくいくとでも?」副操縦士席に座らされた彼女はようやく口を開いた。

「上手くいかないだろうね。」

「……わかっていて?」

「…これで逃げられればラッキー…死ぬならせめて君のこと誰にも利用されずにって考えた。……これは僕の勝手な償い。……あの時痛くなかった?」本当に勝手だけど。

「………。別に…。感覚も鈍いので……。嘘じゃないです。」

「……そっか……。」


「……ただ、私の罪を自覚しました。……貴方の仲間も含め騙して、利用して、使いつぶして、殺して…。だから化け物なんです。……何故か貴方の写真を見て顔をみたいと思いました。……顔を見れたけど恨まれていて、何をされても貴方なら仕方ないと思いました。最初貴方を庇ったのは私も理由が分かりません。」

「……でも2回目は人間だと言ってくれました。国から貴方のことを持ち出されて帰ることになって……最後に貴方の顔が浮かびました。……次もその次も……。私の死がトリガーだと思ってました。でも違った。貴方だった。それに気づいた時どうすればいいのか分からなくなりました。再会した日に戻っていたんです。革命の火種を準備してました。……あの路地裏での一時は楽しかった…。昔みたいにただ笑っていたかった……。本当は全部どうでもいいんです。…全部どうでもいいんです。もう嫌なんです。あの時の自分みたいな子の死を見て、殺して……嫌なんです。」静かに涙を流す彼女の頭を撫でる。


頭がクリアになる。

「もし、…、もし僕と君が出会いの日から手を組んだら…もう少し上手くいく?」

もしもっと早く動いたら。

彼女を生かす道が見つかるかもしれない。

……全て軟着陸させればいいんだ。

「……かもしれません。うん……。いけるかも。」小さく頷く彼女。

ロックオン警報……確実に撃墜だろうな。

「……今回は一緒に死んでくれるかな?次で最後にしよう。」

「……はい。また次のループで。」

僕らは次の瞬間意識を失った。


6

またあの日に戻った。

僕は上官の部屋へ行き彼女に会う。

今度は一緒だ。諜報部も隣国も騙し抜いてやる。


彼女と一緒に計画の修正を。

もう少しだけ緩やかな改革を。

……結局確実性を求めてうちの諜報部は抱き込んだ。


鍵は隣国のとある少将。

ー施設から彼女を見いだし戦略、策略などを身に着けさせた。

敵国でスパイ網を張り巡らせ犯罪組織などとのコネクションを作り、ハニートラップが必要ならあの人間離れした兵士たちを使い、籠絡。それらを使い自国が不利になれば敵国内で暴動を起こす。自らの動きを悟らせずに動く。

それまで、できるように仕込んだ男。

うちの諜報部曰く探っても尻尾すら掴ませない隣国の謎のスパイ。という扱いだそうだ。彼女のおかげでだいぶ情報を得られたと言っていた。

……本人は楽しんでそれを行っているそうなので性格歪んでいる。趣味:謀略とかちょっと。

たまに彼女に近所に遊びにいく感覚で諜報勝負しかけてきたらしい。

よくこいつ今まで生きてるな。……邪魔なやつ全て消したのか……。そうだよな。


彼女は革命までの火種を起こせたのはこの人に教わったおかげですかね?なんて言っていたけど、僕は“おかげ”じゃなくて“せい”だと思う。


正直こいつのせいで彼女が泣いているのでムカつく。

圧政下の市民の不満を暴発させて私的に処刑や粛清まで騒動を大きくしないと失脚しなかったやつ。

革命時もこいつの殺害を最優先にしたと言っていた。


……暗殺する。

僕の身に着けた技術と彼女の知略とついでにうちの諜報部の力も使えば暗殺できる。


こいつを暗殺すれば政権が勝手に崩壊しますよ。というお墨付きも得た。

つまり激しい革命を起こさせず彼女の命を保証するための鍵。


暗殺の舞台までは彼女に用意してもらい、僕と彼が演じる。

確実に演じきらなくては。


舞台は合同演習の日、緩衝地帯で、と決まった。


「事故死の方がいいと思うんですよね。……あの国の地雷で爆死とかでしたら国内問題のままですから。」

彼女の発案で地雷が埋まってそうな場所という指定を


「でしたら和平、両国が協力してという理由がいいかもしれませんね。」

諜報部からは演習の理由と具体的な設置の場所を

提案され


僕が隣国の旧式地雷……に見せかけた高性能爆薬を設置する。


爆破の威力で疑問に持たれるかもしれないが、彼女がそれごと吹っ飛ばす、とっておきを用意している。


後はうちの諜報部と僕とが誘導して少将を爆殺、同時に彼女がとっておきを披露する。


……上手くやるしかない。


その日はとある少将の事故死と……食糧価格に関する不正が発覚し国内はそっちで大騒ぎになった。

不正には政権幹部まで関わっており、国民の怒りは暴動寸前まで行った…ので軍はそちらの対応で手一杯になり…というか軍内部でも国民に同調する動きも発生したりで少将の爆死にまで手が回らず。


数日後にはこの国からの食糧輸入により市場にでまわったので暴動は収まり。

政権は混乱し、軍は軍で人事異動が発生しゴタゴタして…。

1ヶ月後にはなあなあになっていた。


「まぁ食べ物って人間の生死に直結しますからねー。見知らぬ他人の事故死より明日の食糧です。うちは食糧輸出してますからすこしあちらに格安で融通することも可能だったのがよかったですねー。」

「……そうですね。あれを殺すには革命しか…と思ってましたがこういう手段もあったとは……。確かにあちらは食糧不足してますので私もそれを利用しようかと…。」ぎこちないが表情が動く彼女。

「足りないところへ融通して恩を売る。のがうちのやり方なんですよ。持てるものの余裕ってやつでしょうか。」持てる脂肪を蓄えた腹をさする諜報部の自称マニー

そして僕。


……施設のことは僕らが出国してから暴露することになっている。

数ヶ月したら僕は軍を退役し、彼女と共に第三国へ向かって、新しい身分を手に入れる。

それを条件に協力を申し入れた。

この数ヶ月で打ち解けた気がするマニーは「ばっちり用意してありますよ!」とニヤけた顔をしていた。


上官と同僚からは軍の退役を惜しまれたが彼女の身の安全を確保するためにやったことなので後悔はない。


感覚も感情もまだ上手く動かせない彼女が新しい土地ではただ笑えればいいと思う。

抱えた罪は大きいけど。

もうループはしなくていいはずだから。


数ヶ月後

新しい身分で、すでに彼女と結婚していたらしい僕は遠くでニヤニヤ笑っているはずのマニーへ向かって「……お前脂肪溜め込みすぎ!でもありがとう!」と良くわからない言葉を吐くことになった。


どこまで性的描写ってここでかけるのか手探り中です。

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