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照れ臭い気分




翌日、目が覚めてから一番最初にサヤの額に触れると熱は下がり平熱に戻っていた。

安堵によりホッと胸を撫で下ろす。


明け方近くまで額のタオルを交換し続けた甲斐があったのかもしれない。



朝食を作り始めてから味噌汁の香りが部屋に充満していたせいか、彼女は目を覚ました。




「寝坊しました!」




サヤは元気な声でそう言ってガバっと身体を起こした。

昨日は銭湯に行っていないせいか、髪の毛は寝癖がひどい。

でも、昨日と比べるとスッキリしたように見えて安心した。




「病人なんだからゆっくりしてて。もうすぐでご飯出来るから」


「はい……」




サヤはスススと鼻まで布団を被り、申し訳なさそうにそう言う。





数時間後、コンビニバイトを終えて帰宅してからサヤと銭湯へ向かう途中、気になっていた事が自然と口から溢れていた。




「昨日なにかあったの? 帰宅してからずっと様子がおかしかったから」


「……何でもないです」




沙耶香は小さな声で返事をしながら、昨日の悪夢のような記憶を追い払う。

だが、颯斗は沙耶香の行動が気になって仕方がない。




「じゃあ、何処に行ってたの? それだけ教えて」




そう聞いた瞬間、彼女の足がピタリと止まった。

背後に振り返るとそこには穏やかな表情。

だから、少し驚いた。




「……そんなに気になるんですか」


「えっ! ……ま、まぁ」



「颯斗さんがサヤの事を考えてくれてたなんて嬉しい」




サヤはそう言うと、小走りで追いついて俺のTシャツの裾を掴んだ。

まるで小さな妹の世話をしているかのような気分になったけど、少し照れくさく感じるのは何故だろう……。


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