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僕らの青春(あおはる)  作者: 鰤金団
11/18

八話 前編

「二人とも、連絡が遅れてごめんなさい」

「も~、何かあったのかと思ったじゃない」

「少し、急ぎで頼まれごとをされてしまって……」

 頼子の居る教室に戻った青子と春夫。

 そこには、照光も戻って来ていた。

 青子は告白の答えをまだ告げていない。余りにも突然だったからという理由で待ってもらっている。

 遅れた理由を、先生に頼まれごとをされたからという理由にし、青子は息を切らせて合流した。

「頼むぜ、青子。今はまだ警戒する時なんだからよ」

「うん。ごめんね、照君」

 申し訳無さそうに照光に頭を下げる青子。その実、春夫からの告白で彼の顔を見れなくなっている事への誤魔化しでもあった。

「何事も無かったんだから、良いでしょ。さ、帰ろうよ」

 空気を変えようと、春夫が下校を促す。普段よりも明るく、声にも元気があった。

 この振舞いを青子が無事で、事件など無かったという開放感からくるものだと感じた頼子は言う。

「もう、春夫ったら。何も無かったからって緩み過ぎじゃない?」

「そ、そんなに緩んでないよ。寧ろ引き締まった感じかな。ん~っと、防災訓練を終えて、防災意識が高まった、みたいな」

 自分の発言を噛み砕いたつもりで説明を加える春夫。しかし、理解出来るようで理解し難い感じになっていた。

「まあ、もしもの時にはどうするかってのは、もっと考えなくちゃいけないかもな。よし、それを考えるためにも寄り道しようぜ。ファミレスで糖分補給だな」

「私はさんせー。ていうか、そうしたかったしね」

「考えるには甘いものが良いと言いますからね。私も行きたいです」

 皆が同意し、春夫達はファミレスへ向かった。



 その日の夜。

 照光から今から話がしたいというメッセが届く。

 なんだろうと思いつつも、良いよと送る春夫。すぐに照光から電話がかかってきて、春夫は電話に出た。

「いきなりで悪いな」

「ううん。それよりどうしたの? 宿題やり忘れたとか?」

「あ……。いや、それは今は置いといていいんだよ」

 不味いという反応の照光に、忘れてたのかと、思う春夫。

「それじゃあどうしたの?」

「ああ、いや、な」

 歯切れが悪い照光。こんな反応は珍しいと、春夫は更に不思議がった。

「あれこれ考えてもしょうがないな。ド直球に行くぜ」

 迷いが吹っ切れたようで、照光は話し始めた。

「春夫。俺は青子とお前の事を応援するぜ」

 突然の事に、春夫はスマホを落とした。

「て、てて、てるみつぅ!? なな、なにを言ってるのさ?」

 慌てて拾い上げ、急にどうしたと春夫。

「思いっきり声が上擦ってるぞ。いや、俺は気付いたんだよ。春夫が青子の事を好きなんだってな」

 体育倉庫での事は明かさず、照光は春夫に告げた。

「い、いきなり過ぎるって。僕は別に星田さんの事を……」

 照れから誤魔化そうとする春夫。

「好きじゃないのか? なら、他の奴に渡しても良いのか?」

「だ、駄目だよっ。あ、いや。星田さんは物じゃないんだよ。だから勝手に譲渡がどうのっていうのは違うでしょ」

「まあ、その通りだな。でもな、そんな当たり前な話じゃなくて、春夫自身の気持ちを確認してるんだよ。どれくらい強く好きなのかを知りたいんだよ」

 道徳とか、建前は今は必要無いと、照光は珍しく真面目な声で春夫に問い続けた。

 これは色々言って煙に巻こうとしても無理そうだと感じた春夫は、友達の真剣な問いかけに真っ向から向き合うと、覚悟を決めた。

「誰にも渡したくない。僕が青子ちゃんを幸せにしたい」

 春夫の言葉に、照光は数秒無言のままだった。

「……やっぱり俺は春夫を応援するぜ。青子とは幼馴染だからな。勝手な話だけれど、変な奴を近づけさせたくない。まあ、俺の我が儘だけどな」

 普段は邪険に扱っている事も多いが、照光の本心だった。

「いや、僕もその我が儘は分かるよ」

 長い付き合いだからこそ、悪い方向には行って欲しくない。春夫が頼子を心配する気持ちは、照光が青子に対して抱く変な相手に任せたくないという思いは同じだった。

「よーし。それじゃあ、青子の話を色々と聞かせてやろう。あいつの好みなら、大体分かるからな」

「さっすが幼馴染だね。心して聞くよ」

 これ以上に無い頼もしい助っ人だと、春夫は身を正して照光の話に耳を傾けた。


中編は本日12時から!!

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