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不老不死魔女の終活  作者: 神崎紗々
2/5

1.のんびり、ほのぼの

二つ目です。

だいぶゆったりしながら書いています。

 あたたかな日差しに、ソルテは目を覚ます。

 とてもすがすがしい朝だ。


「んーっ! おはよう私!」


 体を軽く伸ばし、ベッドから体を起こしたソルテは窓を勢いよく開き、さわやかな風を浴びる。


 なんてすがすがしい朝なのだろう。これも昨夜、不死殺しのポーションが見つかったおかげである。

 思わず小躍りしてしまいそうなほどうれしい。つい最近弟子から届けられた、王都のお高いケーキでも朝ごはんにしようかな。


 若菜色の髪を揺らし、警戒なステップを踏みながらキッチンへと向かう。


 ポットに水を入れ、火の魔法石が付いたコンロの上に置く。ソルテが魔法石に触れると、ポットの下が温かくなり、中に入った水が少しずつ温められていく。


 なんでも異世界人が来たときに伝えられたIHコンロなるものらしく、それをこちらの世界風にアレンジしたものらしい。


「えーっと、たしかここら辺にいい茶葉がーっと」


 コンロ横にある戸棚の引き出しをあさり、これまた少しお高めの茶葉を取り出す。

 スプーン一杯分を、お湯を沸かしているのとは別の小さめなポットに入れ、熱湯を中にそそぐ。

 あとは蓋をして蒸らす。

 いつもはめんどくさがって適当になっているが、今日は気分がいいので丁寧だ。


 蒸らしている間に冷蔵庫からケーキを取り出し、机の上に置く。

 この冷蔵庫も異世界人からの産物である。とはいっても、氷の魔法石を中に入れて放置するだけなので、長期保存にはあまり向いていないが、私は魔女なので、とてもお高い物には時間停止オートキープをかけて鮮度を保っている。


 そうこうしているうちに蒸らしが終わり、ソルテは戸棚からコップを出して中に紅茶を注ぐ。


「なんか、久しぶりに充実した朝を送っている気がする……」


 いつも多忙というわけではなく、何十年かに一度起こるか起こらないかの疫病以外は暇だったのだが、それでも今日は穏やかである。

 死に方を探していたとはいえ、半分あきらめており、スローライフを送っていたのだが、悩みがなくなるとこんなにも心が穏やかになるものなのか。

 ケーキも美味しいし。いや、これはケーキがただ単に高いから美味いのか。


「んー、どうしようかなー。もう今日は日向ぼっこだけで終わろうかなー」


 あたたかな陽気に誘われ、起きたばかりだがすでに眠い。

 まだ具体的な終活の内容も決まっていないし、百年もあるのだから、一日くらい無駄にしたっていい気がするが……。


「あ、待って。急に思い出した。今日は四風のダンジョンで、冒険者なりたての新人の研修のお手伝いをするんだった」


 スライムやゴブリン、はたまたドラゴンまで。人に脅威をなす魔物や、薬の材料となる薬草を採取する事で生活している冒険者。

 冒険者ギルドに行き、キルドカードを貰えば誰でも冒険者になれるのだが、何も分からずにダンジョンや魔物討伐に行くのは危険なため、研修がある。


 これは昔冒険者ギルドが魔物や薬草の買い取りを不当な値段で行っていたという詐欺防止の意味も含め、正しい知識を知ってもらおう、という意味合いも含まれている。

 四風のダンジョンで出てくるのはスライムだけで危険はなく、トラップもいくつかあるので研修場所にはぴったりの場所。

 本来なら約六百年も生きているソルテが行く事はないのだが、上級冒険者が不在のため、晩御飯をおごりという報酬の元引き受けている。


「うーん……まあ、ちょうどいいか。町の人にお別れの挨拶もしなきゃだしねー」


 ソルテは椅子から立ち上がり、いそいそと準備を始める。

 髪を整え、動きやすい服に着替え、胸元のリボンを緩く締める。


「今日も元気にいこーう!」


 冒険者ギルドに向かって、ソルテは丘を下り、村を目指して歩き始める。

たまに、無性に高い甘味類が食べたくなり、お高めのケーキを買うのですが、買うのに満足して、冷蔵庫に放置しがちです。

賞味期限に気をつけなくちゃ。

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