竹刀の剣士、異世界で無双する ハルミ編 その75
皆さま、お久しぶりです。前回の投稿の後、大けがをして入院という目にあいましたので、新しい投稿ができませんでした。今後も投稿は不定期になりますが、温かく見守ってください。
75 ここが修羅場? 2 ダイスケside
4月になり、5年生となった。しかし、俺の環境は変わらない。むしろ、息苦しさが増していた。柳沢家の監視が強くなり、友達(ダイスケの認識では「友達」)が俺の周りからいなくなってしまったのだ。昔の友達の顔を見ることはあるけど、みんな、俺の顔を見ると気まずそうに目をそらし、そそくさと行ってしまう。なので、俺は学校では、ひどく寂しい思いをしていた。想像できるだろうか?つまらない授業をぼんやりとやり過ごし、友達と話すこともできずに、つまらない休み時間を何とかやり過ごす。俺にとっては針の筵のような毎日だ。唯一俺のなぐさめになっているのは、ハルミたちへの復讐計画だ。俺は、授業中はノートを取る振りをして、休み時間は宿題をやる振りをして、ノートに復讐計画のアイデアを書き綴っていった。
5年生のクラス替えがあり、今までの友達が一人も同じクラスにならなかった。ただ一人、監視役の望月小夜子だけが同じクラスになった。こいつは別クラスがよかったのにと思ったが、クラス替え自体が柳沢グループの意向を汲んでいるかもしれないと思った。担任の先生は、去年まで生徒指導を受けもっていた厳しい先生になった。この先生も柳沢グループの意向で担任になったのかもしれない。この先生は体罰はしないが、規律に従わない子どもには厳しく接するベテランの先生だ。そのおかげで、一部の保護者には嫌われているらしいが、多数の保護者に歓迎されているらしい。俺の両親も担任の先生の名前を聞いて、「あの先生なら、安心だ。」とつぶやいていた。
俺の両親は、相変わらず忙しそうにしていて、家にはほとんどいない。去年の夏の事件のせいで柳沢グループからの支援金が無くなったため、資金繰りに奔走しているらしい。でも家に帰ってきた時に、赤い顔をして酒臭い息をはいているのを見ると、本当に資金が厳しいのかなあと疑ってしまう。
おまけに、また俺の小遣いが減らされた。去年の夏までは月に三万円だった小遣いが9月からは2万円になり、今年の正月には1万円になり、この4月から5千円に減らされた。じいやが言うには「これでも、普通の家庭の子どもに比べれば高いほうでございます。」と言うことらしい。「そんなこと、知るもんか。月に5千円で、どうやって友達と付き合うんだ?」と思ったが、よく考えてみれば、その友達付き合いさえもなくなっていたのだ。せっかくの小遣いも使うところがないじゃないか?と、思ったが、俺は考え直して、自分の目的のために小遣いをため込むことにしていた。目的とは、言わずとも分かるだろう?そう、ハルミたちへの復讐だ。銀行通帳にためると、金額が両親やじいやに分かってしまうので、机の引き出しの奥に封筒に入れてため込むことにした。その金額も4月で11万5千円になった。5月の小遣いがもらえれば12万円になる。なんとか、目標に届きそうだ。
さあ、ここからが反撃の時だ。親やじいややばあやがどう思おうと、もう関係ない。ハルミたち5人を懲らしめて、俺の足元に土下座をさせれば満足だ。
友達との付き合いを禁止され、もし俺が友達と話せば、どんな話をしたかを小夜子たちから柳沢グループに報告されているので、友達に相談することはできない。俺は、だれにも頼らずに、自分で計画を立てて実行することにした。
まずは、ハルミたちをおびき出す必要がある。そのうえで、あいつらを叩き潰さなければならない。ハルミたちの強さは去年の夏で分かっている。あの時は、中学生ならばハルミたちに勝てると思ったが、ダメだった。ならば、今度はそれ以上の戦力が必要だ。中学生以上の戦力だと、考えられるのは高校生の不良たちだ。しかし、俺には高校生の不良たちへの伝手がない。また、高校生と言ってもしょせんは親のすねをかじっている子どもに過ぎないから、「いざ」と言うときに戦えるとは限らない。夏のカズキグループのように「途中でやめた」となりかねない。それなら、始めから暴力を専門とする暴力団がいいだろう。ハルミたちがどれだけ強くても、おとなの暴力団にはかなわないだろう。
ハルミたちをおびき出すには、人質を取るのがいいだろう。人質はあのうっとおしい小夜子にしよう。何とか言って小夜子をおびき出せば、あとは暴力団が上手く捕まえてくれるはずだ。
そうして、小夜子を人質に取りハルミたちを脅かせば、きっとハルミたちも謝って来るだろう。そこで、俺が寛大な振りをしてハルミたちを許す。あとは、ハルミたちを使って俺が学校のボスになればいい。
暴力団を雇うには金がかかるが、12万円もあれば十分だろう。足りない分は「岩崎家」の名前を出せばいい。何しろ、「岩崎」の名前で言うことをきかない奴はいないのだから。
そんなことを考えながらダイスケは計画を練った。はたから見ると、穴だらけの計画に見えるが、ダイスケは「完璧」だと思っていた。
そして、4月。俺は「文海興業」に電話を入れていた。「文海興業」は、岩崎家が仕切る繁華街で、おしぼりの提供や、酔漢の処理などを細々と営んでいるヤ〇ザの組織だ。暴力団としては弱小勢力だが、このくらいがちょうどいい。何と言っても、小学2年生の相手なのだ。12万円もの大金をだせば話に乗って来るだろう。
「わたしは、岩崎商店の時期当主です。社長さんと話したいのですが・・?」
初めは胡散臭そうだった電話の対応が「岩崎商店の時期当主」と言ったところから、急に丁寧になった。
「はっ!しばらくお待ちください。社長とつなぎます。」
電話の向こうから、最敬礼が伝わって来そうな雰囲気だ。ふむふむ、岩崎家の名前は使えるようだ。
しばらくして、
「わたしが、文海興業社長の文勝海則だ。岩崎商店の御曹司が一体何の御用事で?」
微妙に敬語を使い慣れていないところが、新興の暴力団らしい。
さあ、どうやって動かしてやろうか?俺の天才的な能力の発揮のしどころだ!
今回はダイスケの方から見たお話でした。
人間ってダークな面もありますよね。お話なのでダイスケにダーク面を担当していただきましたが、うまくいかないときに、誰かのせいにしたいという気持ちは、私にもあります。なので、わたしはダイスケを大切に思っています。




