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竹刀の剣士、異世界で無双する ハルミ編 その6

「竹刀の剣士、異世界で無双する」の第2部です。ヨウスケの娘のハルミとその周りの人たちの活躍をお楽しみください。

 この小説は、毎週木曜日に更新する予定です。

6  ふたつな その壱


 あれから、二か月たった。あたしは5月に級審査を受けて、1級になった。安和市では5月の段級審査会はないので、隣の松尾市の段級審査を受けに行った。小学1年生で、1級受検は前例がないそうで、審査会場では混乱していたけど、何とか受検できた。でも、級までは県の剣道連盟が許可をするから、受検できるけど、初段以上は全国剣道連盟の許可がいるので、中学生までは受検できないって言われた。


 学校生活は順調で、あたし達はアサガオの水やりをしたり、ご本をおっきな声で読んだり、数の勉強をしたりした。ダイスケグループの悪さは学校では聞かなくなった。本当におとなしくなったのか、ちょっと不気味だけど。


アスレチックは、あたしは高学年用を制覇した。6年生の女子たちがびっくりしていた。そりゃそうだよね。身長100㎝に足りないちっちゃな子が、身長150㎝の6年生用のロープ橋を伝ったり、垂直な壁を登ったり、うんていを越えたり、丸太渡りをピョンピョン跳んでいくんだからね。もう、どこの忍者だよ?って感じ。ついたあだ名が、「猿飛ハルミ」。それで、あたしの白いランドセルが珍しいのか、「白の猿飛」「ホワイト・モンキー」なんてあだ名もついたみたい。

 ユカちゃんとナナちゃんも中学年用のアスレチックを制覇した。この二人も運動能力は高かったんだよね。あと、あたしのトラブルに付き合っていたせいか、度胸がついたみたいで、少々のことでは怖がりません。それでついたあだ名が、ユカちゃんは「赤影ユカリ」。仮面は着けてないよ。ランドセルが赤いのと、赤が好きなので、いつもどこかに赤いのを身につけているからだよ。ナナちゃんは、「服部ナナミ」。ランドセルが青いので、アニメの忍者〇ットリくんからついたんだって。ほら、ハッ〇リくんは青い忍者服を着てるから。


 そして、剣道を習い始めたサキちゃんとミオちゃんとも、無事に?仲良くなれました。あたしが3年のタカシをやっつけたって聞いたら、ミオちゃんにはものすごく感謝された。そりゃもう、涙をウルウルさせてあたしの手を両手で握って、「ありがとう!なのです!」って言うんだもん。めちゃくちゃ可愛かった。


 サキちゃんとミオちゃんも低学年アスレチックを制覇した。1年生の6月で制覇するのは、珍しいんだって。サキちゃんはおとなしい感じの子だけど、実は小さいころからバレエを習っていたらしい。剣道を始めるために、バレエは辞めたんだって。サキちゃんのお母さんは、とても残念がっていたらしい。けど、今までバレエでは舞台に出たことがなかったんだって。サキちゃんの話では、練習ではちゃんと踊れるけど、舞台に出ると怖くて動けなくなっちゃうんだって。なので、剣道を始めて、あたしたちと遊ぶようになって、明るく元気になってくれたことがうれしいんだって。これは母さんからの話。

 ミオちゃんも小さいころからテニスをしていたんだって。ちっちゃな子がおっきなラケット持って走り回るの、かわいいよねえ。ミオちゃんのお母さんは、テニスの〇阪ナオ〇選手のファンで、ミオちゃんをテニスの選手にしたかったらしいけど、剣道で熱心に稽古するのを見て、これもいいかって思ったんだって。これも母さんからの話。ちっちゃい子がおっきな声を出して、竹刀を振るのもかわいいよねえ。

 そんなわけで、サキちゃんとミオちゃんも身体能力は結構高かった。道場でも、素振りを卒業して、基本打ちができるようになってきたもんね。それで、やっぱりあだ名がつきました。あたしの友達枠ってこともあるんだけど、サキちゃんはピンクのランドセルにあやかって「桃地サキ」。「桃地」って字が違うよね。「百地」だよね。みんな分かってるのかな?ミオちゃんは、黄色のランドセルだから「なるとミオ」。そういえば、ナルトって黄色い髪の毛だったっけ?

 なんか、訳がわかんないんだけど、あたしたち五人に無事に?あだ名がつきました。「白」「赤」「青」「桃」「黄」。もう、これ、戦隊ヒーローだよね。戦隊ニンジャガールズってか?そういえば、昔、忍者戦隊〇クレ〇ジャーってのがあったらしい。いや、あたし達、別に隠れてないし、そもそも忍者じゃないし、やってるのは剣道だし、そこんとこどうなのよ?


「ねえ、なんかあたしたちに、へんなあだながついてるみたいなんだけど?」

あたしは、みんなに聞いてみた。今は昼休み。今日は雨なので、教室でまったり過ごします。

「あだなじゃないよ。あれは、ふたつなっていうんだよ。」

ユカちゃんが答えた。みんなもうんうんって言ってる。えっ?みんな知ってたの?

「あたりまえよ~。ふたつなは~めいよなんだから~。」

ナナちゃんが胸を張る。

「めいよって、どういうこと?」

「おかあさんに、きいたのです。ふたつなは、すごくゆうめいなひとに、みんながつけるなまえなのです。」

ミオちゃんが説明してくれた。

「・・・ん、・・めいよ・・・」

サキちゃんも、胸を張っている。

「ええ~?じゃあ、みんなはおかあさんにはなしたの?」

「・・ん。・・あだなはいや、・・でも、・・・ふたつなは・・うれしい・・・。」

サキちゃんの「桃地」って、確かに「百地三太夫」は有名な忍者だけど、それでいいのかな?

「わたしも、じぶんのなまえ、きにいってるのです。なるとって、アニメのナ〇トのことなのです?かっこいいのです!」

ミオちゃんが嬉しそうに話す。うん、かっこいいのは認める。

「・・ハルちゃんも、・・・かっこいい・・。」

サキちゃん、ありがとうございます。


「でもあたしたち、そんなにすごいこと、してないよね。なのにふたつながつくって、なんかはずかしいよ。」

「なにをいってるんだい。わたしはともかく、ハルちゃんはすごいんだよ。」

ユカちゃんが勢い込む。なんか怖い。

「そうよね~。1ねんせいで~、けんどう1きゅう~。にゅうがくして~すぐに~ダイスケグループを~やっつけた~。6がつには~、アスレチックの~こうがくねんを~クリア~。

 こんなこ~、みたことない~って、せんせいたちも~いってたらしいよ~。」

ナナちゃん、丁寧な情報、ありがとうございます。

「でも、それって、ふたつなをもらうようなことかなあ。とくにダイスケグループのことは、みんなしらないんだし。」

あたしは、何とか抵抗してみる。

「・・・ん、・・・みんな・・たぶん・・・しってる・・。」

サキちゃんから、爆弾発言。あたしがびっくりしてると、ユカちゃんが続けた。

「2ねんのソウスケとケンカしたことは、もうみんなもしってることだよ。あれから、ダイスケグループがおとなしいからね。みんなは、ハルちゃんが、なんかしたっておもってるよ。」

「あたしも、なんかしたのってきかれたのです?なんのことです~?って、とぼけたのです。」

ミオちゃんまで。

「なんか~、はるちゃんは~、がっこうの~ボスに~なってる~みたいだよ~?」

「ナナちゃん、それほんと?」

「うん~。おねえちゃんは~5ねんせいだけど~、クラスの~らんぼうな~だんしたちが~、ハルちゃんには~てをだすな~って~、いってた~らしいよ~。」

うわ~?!何?それ?あたしは、ボスなんて嫌なんだけど?それと、ナナちゃんの情報はお姉さんからなの?

「そんな、ボスはいらないよ。」

「そんなわけで、ハルちゃんのおかげで、わたしたちもゆうめいになって、うれしいよ。

 ごにんで、5つのいろだから、せんたいヒーローだね。」

ユカちゃんが前向きすぎる。

「ふたつなを~もらうようなこと~してないなら~、これから~すればいいよ~。」

ナナちゃんが悪い顔をしている。

「ハルちゃんの~おかげで~、しずかだったけど~、また~、あいつら~やらかすわよ~。」

「・・・ん、・・・たぶん・・・」

サキちゃんが、うなずいている。

「おねえちゃんの~はなしでは~、ダイスケたちが~、こそこそしてるんだって~。こうえんで~ちゅうがくせいと~はなしてるのを~みたって~。」

ナナちゃんのお姉さん、どこかの情報部員ですか?マジで忍者っぽいんですけど。

「おねえちゃんたちは~、ハルちゃんの~ファンクラブを~つくるんだって~。」

情報部員じゃなかった?追っかけだった?

「すごいのです!ハルちゃん。ファンクラブまで、できちゃうのです!」

ミオちゃんが、キラキラしてた。

 あたしは、どっと疲れて、帰宅した。


 

 お読みいただき、ありがとうございます。

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