竹刀の剣士、異世界で無双する ハルミ編 その24
「竹刀の剣士、異世界で無双する」の第2部です。ヨウスケの娘のハルミとその周りの人たちの活躍をお楽しみください。
この小説は、毎週木曜日に更新する予定です。
24 夏休みの終わり
それから、1週間。あたし達は、夏休み最後の合宿を楽しんだ。あたしは中学生相手でも、ほとんど負けないようになった。ユカとナナもすごく強くなって、小学生の高学年の人たちとも稽古ができるようになった。ミオとサキも、中学年の子たちと互角に打ち合っている。
「いやはや、子どもの成長はすごいものじゃ。みるみる強くなっておる!」
じいちゃんが、しきりに感心してた。
8月27日の土曜日。クミさんの絵が仕上がった。せっかくなので、道場の稽古の後、みんなで絵を見せてもらうことにした。あたし達五人と、じいちゃん、母さん、そしてなぜかばあちゃんと先生までもが絵になっていた。おっきくてツルツルした紙にペンで描かれ、きれいな絵の具を塗られた絵は、とても迫力があった。あたしは、前の絵と違い、居合で逆袈裟を斬ったところになっていた。先生は居合の服装で、刀を差して立っているところ。ただ、立っているだけのに、すごい迫力が伝わって来る。ばあちゃんは、薙刀を振り下ろしたところになっていた。優しくてかっこいいばあちゃんの雰囲気が、よく出ていた。
「ほう・・。大したものじゃ。ここまで描けるとはな・・・。」
先生がとても感心していた。クミさんは赤い顔をしながらも、やり切ったいい笑顔だ。
「夏休みの作品として出します。
今、横田先生がインターネットで、作品を守ったり、変な書き込みがされないようなプログラムを作ってくださっています。そのプログラムができてから、インターネットに載せます。」
「「私たちの作品も、見てください!」」
良子さんと、美穂さんの作品も仕上がったようだ。
美穂さんの作品は、あたし達五人と、じいちゃん、ばあちゃん、母さん、剣持先生のマスコット人形。フェルト生地で作られ、みんな剣道の胴・垂れをつけて、竹刀を持っている。ばあちゃんの人形は、薙刀を持っている。あたしは、居合で斬ったポーズ。ユカは胴を打つポーズ。ナナは踏み込んで面を打つポーズ。ミオは切り返しをしているところ。サキは八相に構えている。じいちゃんは上段の構え。ばあちゃんは薙刀を構えている。母さんは居合抜き。剣持先生は、刀を差して腕を組んでいる。アニメのキャラクターのようにデフォルメされているけど、あたしたちの髪型や動きの特徴、表情がよくできている。細かいところまでこだわった作品だった。
「ほほほほっ。見事ですねえ。可愛らしくも凛々しい姿が、よくできています。細かいところまで、良く縫いましたねえ。」
ばあちゃんが人形を手に取って感心していた。
良子さんの作品は、原稿用紙に書かれていた。分厚い束になった原稿の始めには、「サムライ・ガールズ」と題がつけられていた。
「これは、わたしたちの物語ですか?」
ユカが聞く。
「すごい量じゃのう。何枚あるんじゃ?」
じいちゃんが、束の重さをはかるようにして持つ。
「はい、皆さんをモデルにしましたが、空想のお話です。このお話はフィクションですので、実在の人や団体とは関係ございません!」
って、言ってるけど、あたし達をモデルにしている時点で、フィクションじゃ無いんじゃ?
「あくまで、フィクションです!
モデルがいいせいか、はかどって、はかどって・・・。気が付いたら400枚を超えていました!
これは、サムライ・ガールズの第1部序章です。これからまだまだお話は続きますよ!」
良子さんが力を込めて「フンス!」ってなってる。
「これだけの文章を書ききるとは、すさまじいのう。読むのに、少し時間がかかりそうじゃ。」
じいちゃんが、少し引いている。
「ご安心ください。この原稿は、学校に出すものですが、皆さんお一人お一人のために、コピーをしてきました!どうぞ、ごゆっくりお読みください!」
良子さんは、カバンからみんなの分の原稿を出して配ってきた。
「ふむ。のう、良子さん。これだけ書けるのであれば、お主もインターネットで物語を投稿してはどうじゃ?確か、そんなサービスがあると聞いたことがある。」
先生が声をかけた。
「はい。「作家誕生!」というサイトですよね。私もよく読んでいます。でも、小学生の私が投稿してもよいのでしょうか?」
「ふむ、そうじゃな。詳しいことは久美子さんと一緒に、横田先生に聞いてみるとよいじゃろう。久美子さん、横田先生のところに行くときに、良子さんも連れて行きなさい。わしからも連絡をしておこう。」
「そうですね。
ヨッコ。私は明後日に横田先生と打ち合わせをするけど、一緒にどう?」
「先生、ありがとうございます。
クミ、ぜひ一緒に連れて行ってください。」
「さて、ちょうどよい機会じゃ。ダイスケグループのその後の話をしておこう。」
先生が真面目な声を出した。あたし達は緊張して、姿勢を正す。
「まず、中学生たちのことじゃ。
あいつらが元の道場やクラブに戻ってきたことは、みんな知っておるな。」
みんなが、うなずく。
「以前のことを詫びて、真面目に修行に励むようになったらしい。学校にも通うようになったそうじゃ。
しかし、それで今までの行いが帳消しにはならん。奴らはダイスケグループの小学生に、万引きや恐喝の仕方を教えて、けしかけておったということじゃ。ダイスケグループからお金を受け取っていたことも、本人たちがすべて認めた。
中学生グループの親さんたちも、ほとほと困っておったようじゃ。それで、学校の先生や、親さんたち、道場やクラブの指導者が集まって奴らのこれからについて相談したんじゃ。
結論は、警察には届けないが、罪滅ぼしのための奉仕活動をさせることにしたらしい。」
「奉仕活動って、どんなことですか?」
ユカが手を挙げた。
「中学校区にある、すべての公園や排水溝の掃除じゃ。」
「それは・・・、何というか・・、やりがいがありますね。」
ユカが少し引いている。
「そうじゃろう?良いアイデアじゃと、わしも思ったもんじゃ。」
先生が、ニヤッと笑った。
「次に、ダイスケグループの小学生たちじゃ。」
先生が続きを話す。
「中学生の話から、ダイスケグループの子たちのしたことが、おおよそ分かってきた。それで、中学校の先生から小学校に連絡が入り、小学校の先生がそれぞれの家に連絡して、家庭訪問が行われたようじゃ。
親さんたちはとても驚いておって、中には先生の話を信じない親さんもいたそうじゃ。しかし、万引きした品物が出てきたことと、自分の子どもが、武器を持って構えていた写真があったことで、親さんたちも子どものしたことを認めない訳には、行かなくなった。」
そこで、先生がクミさんにいたずらっぽく、ウインクをした。ああ、あの決闘の時のクミさんの撮った動画から、写真を切り取ったのだ。クミさんも、ニッコリとしている。
「それで、子どもたちは全員、親さんからきっちり叱られ、罰として反省文をたっぷりと書かされたようじゃ。何よりも、迷惑をかけたお店に親と一緒に行き、親が必死に謝る姿を見せられて、ショックを受けている子もいるそうじゃ。まあ、良い薬になったじゃろう。
中でも、ボスのダイスケの家は、厳しかったらしい。ダイスケの家は岩崎と言って、ほれ、あのショッピングセンター跡地の持ち主じゃ。他にもこの町でいくつかの事業をしておる資産家なんじゃ。そんな家の子が悪いことをしておったのじゃから、親はもちろん、親戚一同たいへん怒り出してのう。家庭教師と言う名の監視役までつけられたそうじゃ。」
「そうだわ、ダイスケくんの苗字は岩崎だった。だからあの跡地に入れたのね。」
美穂さんが思い出した。
「そう言うわけで、中学生のワルグループも、ダイスケグループも、もう悪いことはせんじゃろう。」
こうして、あたしたちの夏休みは終わった。
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