第25話 幼馴染
昨日までの雨が嘘だったかのように空は青く澄み渡り、暖かくて優しい日差しがこのヤムルに今日も朝が来たことを伝えている。
まるで自分たちを祝福してくれているようだ、とティナは思った。
今日は国立魔法学院の入学式。
「制服…似合ってるかなあ」
鏡の前でくるっと一回転してみる。
青磁色のスカートがふわっと膨らむ。
(褒めてもらえたら…いいな)
今日から同じ学院に通うことになる幼馴染のことを思い浮かべながら、そんなことを考える。
(アクセルと同じクラス…エヘヘ)
これから始まる学院生活を考えるだけでワクワクドキドキが止まらない。
何より嬉しさが抑えきれなくなる。
1週間前に学院から『合格通知書』と一緒にクラス分けが書かれた紙が届いた。
ティナの入試結果は7位で、主席のアクセルと同じ『グリーンクラス』だった。
アクセルとは合格発表の日に彼の家で行われた合格祝いパーティー以来会っていない。
ティナはアクセルがその日以降、毎日のように学院の方へと足を運んでいることに気づいていたが、彼がわざわざ何をしに行ってるのかとても気になるのをぐっと抑え、ついて行くのを我慢していた。
合格発表の日、アクセルがシリウスに1人連れて行かれたことと何か関係があるからだろうと思ったからだ。
(アクセル…大丈夫かな…)
得体の知れない能力にいきなり目覚めたり、学院に主席で合格したりと、アクセルが様々な問題にどんどん巻き込まれていくようで、この2週間、彼のことがずっと心配だった。
しかし自分が行ったところで邪魔になるのが分かっていたので、ティナは入学までの間、自分にできることをすることにした。
「足のバネを鍛えろ」
入学試験でシリウスにもらったアドバイス。
手も足も出なかった。
相手はS級冒険者なので当然の結果なのだが、とてつもない差を見せつけられ、いいように遊ばれる自分に対してとてつもなく腹が立った。
(絶対にもっと強くなってみせる…!)
両足にアンクレット型の魔道具をつける。
今から10キロランニングだ。
「いつにも増して気合いが入ってるようだネ?ガール・ティナ」
「私は…もっと強くならなきゃダメなんです…!」
いつのまにかどんどん強くなってどんどん遠くにいってしまう幼馴染を1人にしないために。
いつの日か初恋の人と肩を並べ、支え合えるように。
「…キミは絶対に強くなるヨ」
入学までの2週間、ティナは自分と向き合うため、アクセルの師でもあるA級冒険者『覇象』デルトイド・トラペジウスに頼み込み、本気で体づくりに取り込んだ。
(これから先あんたにどんなことが起こっても、あんたを支えるのはこの私、ティナ・ガルシアよ!!!)
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25話を読んでいただきありがとうございます!!
これから先書いていきたい展開が多すぎて、どう書いて行くか困っています笑笑
これからも頑張って投稿を続けていきますので、面白いと思っていただけたらブックマーク登録やいいねをお願いします!




