第22話 語られる真実
「単刀直入に聞く。お前は『異能持ち』だな?」
正面に座っているシリウスが口を開く。
その眼光はまるで俺の全てを見透かしているのではないかと思えるほど鋭く、心臓を手で握られているかのようだ。
「…これが校長のおっしゃる異能というものなのかは分かりませんが、確かに特殊な能力は持っています。」
「やはりな。それは生まれつき持っているのか?それとも後天的なものか?」
俺は『魂の眼』のことをどこまで話すべきか迷ったが、目の前にいるS級冒険者・『疾風』に嘘は通用しないだろうことは明白だったので、自分が未来からの転生者だということ以外の全てを正直に話した。
「『魂の眼』…『運命の選択』………」
シリウスは俺の話を聞き、何かを深く考え始めた様子だった。
額は僅かに汗で滲んでいるようだ。
「この話は今まで誰かにしたことは?」
「詳しくはありません。俺がなにか特殊な力を持っているということなら両親と師匠、あとティナは知っていますが」
「その師匠は?」
「フローレスさんとトラペジウスさんです。」
「なんだ、あいつらか…なら大丈夫だろう。
いいか、今のお前の話とこれから俺が言う話は今後一切他の誰にも喋るな。」
「…?」
「今から話すのはこの世界の隠された真実についてだ。」
シリウスがわずかに魔力を込め、指を鳴らす。
「この部屋に結界を張った。これで誰かに聞かれる心配はない。」
俺は不安と少しの期待を感じていた。
この人は俺が探していた何か重要な『真実』を知っているのかもしれない。
そう、なぜ俺が1000年前のこの世界に転生することになったのかという真実の…
「お前はこの世界の地図を見たことがあるか?」
「はい。」
2年前に転生前の記憶を思い出してから、俺はこの世界について自分で調べられることは調べてきた。
この世界には、俺たちがいるヤムル王国、ミリアス王国、ギース帝国、マルガ海洋帝国の四つの大国があり、俺の前世の故郷『シーズ村』は現在のミリアス王国のあたりであることが分かっている。
「じゃあ地図の外側には何があると思う。」
「…?」
シリウスの顔が一気に険しくなる。
「魔族領だ」
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第22話を読んでくださってありがとうございます!
皆様いかがお過ごしでしょうか?
最近一気に暑くなってきましたね!
体調を崩さないようにお気をつけください(^^)
私も小説投稿頑張ってまいります!




