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第11話 『狂猫』のフローレス


「はじめまして、ティナ様。わたくしはアクセル君に武術を教えているフローレスと申します。今日はティナ様も一緒に、ということをお聞きしたのですが…

ティナ様は何か武術を心得ていらっしゃいますか?」


フローレスは『狂猫』の二つ名を持つ元A級女性冒険者で、父ジム、母マリーとは魔法学院時代からの付き合いだ。


詳しくは知らないが、5年ほど前に遠征した時、心に深い傷を負ってしまい、冒険者を続けることができなくなってしまったらしい。


その時ジムに、


「お前ほどの奴をただ腐らせてしまうのはもったいない。そこで頼む、家庭教師としてフリードに武術の稽古をつけてくれ!!」


と強く頼み込まれ、渋々ベーカー家で雇われることになったのだとか。


まぁちょっと前に


「週に何時間か稽古をつけるだけで、年収はそこらのB級冒険者と変わりませんから得した気分ですよ〜」


とか言ってたけど…


「はじめまして、フローレスさん。アクセルのお稽古なのに勝手に割り込んでしまって申し訳ありません。

えっと、基本的な格闘術と剣術、なら一応できると思います。あ、それと『様』はつけなくて大丈夫ですよ」


ペコリとお辞儀をしてフローレスに挨拶をするティナ。


いつの間にかワンピースから少し古い修練着に着替えている。

母さんが昔使っていたやつだろう。


「ふむ…それではティナさん、まずは実力を見せていただきましょうか。

とりあえずアクセル君と組み手してみてください。」


そう言ってフローレスは俺の方を見てにこっと笑う。


(『眼』を使ってみろってことだな…)




フローレスは、今のところ俺の家族以外で唯一、俺の目に得体の知れない『力』があると言うことを知っている。


眼の能力が覚醒した次の日、俺は武術の訓練で『魂の眼(ソウル・アイ)』を使ってみようとした。


いきなり眼が黄金に輝き出し、先ほどとは別人のような動きをする俺を見て、フローレスは驚き、目を見開く。


しかし10秒ほどで『眼』は解除され、制御しきれてない力を無理に使おうとしたせいか、激しい頭痛と疲労感が俺を襲った。


「アクセル君、いまのは一体なんですか!?」


俺が前日あった出来事をフローレスに話すと、


「私は実際見たことがないのでわかりませんが、君のその能力はもしかしたら『異能』と呼ばれるものの一つなのかも知れません…

得体の知れないものである以上、家族以外の方には、出来るだけその能力のことは秘密にしておくべきです。」


と神妙な顔つきで言われた。


その日から今日まで2週間、武術の稽古の時間に、フローレスの協力のもと『魂の眼(ソウル・アイ)』の制御の練習をしてきた。


そのおかげもあってか、能力の発動時間は10秒ほどで変化はなかったが、慣れもあってか頭の痛みはだいぶ抑え込むことができるようになった。




「2ヶ月ぶりくらいかしら?」


「そうだな」


俺とティナは、家が遠くないということもあって、2人で修行することも昔からよくある。

もちろん、組み手も何度もしてきたので、相手の力量はお互いある程度理解している。


「…じゃあ、やるか」


体のストレッチを終え、10メートルほどの距離を置いてティナと向かい合う。


「ええ、いくわよアクセル!」


そう言ってティナは腰を落とし、拳を握る。


冷たい風が修練場に流れ込んだ。 



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