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第1話 アクセル


「じゃ、行ってくる!」


「本当に気をつけてね、最近このあたりまで大きな魔物が押し寄せてきているみたいだし…」


「大丈夫だよ、やばそうな奴がいたら何もせずに帰ってくるからさ!」



そう母に笑いかけながら、俺、アクセル・ディアスは扉に手をかける。


朝の空気が美味しい。


滑らかな曲線を描く弓と、矢が20本ほど入る矢筒を背負って家を出る。腰には短剣をさしている。


今から狩りに出るのだ。



ここシーズ村はアマンダ共和国の端にあり、森と接した場所にある。


俺は狩人として親父のあとを継いだ。


「今日もボアがいてくれたらいいけど…」


毎日の食料となるホーンラビットやワイルドボアなどの魔物を狩りつつ、珍しい植物などがあればそれも採取し、売れそうなものは街で売っている。


俺が15歳になった3年前、親父は俺に仕事を継がせ、農業を始めるようになった。


親父は左腕に大きな傷を負っていた。それこそ、元のようには動かせないほどの大きな傷だ。


魔物にやられたらしいということは聞いていたが、詳しいことは知らなかった。


それでも俺に狩人としてやっていけるだけの弓術や剣術、獲物を狙うときの山での歩き方や、採集の仕方などの数多くのことを教えてくれた。



「いただきまーす」


母が作ってくれたおにぎりを頬張りながら森の奥へと進んでいく。


母シーラはとても温厚な人だ。


物腰が柔らかく誰にでも平等で、とても優しく人望が厚い。


忙しい親父の代わりに村長としての仕事をすることも多く、村人たちが親父に、


「もうシーラさんが村長でいいんじゃねぇか?」


と冗談を飛ばすほどである。


そして2つ年の離れた妹のメル。

一言で表すとおてんば少女。


昔は一緒によく遊んだものだが、いつのまにか街に行って迷子になったりとよく母さんたちの肝を冷やしていた。


今は街に薬草や、母さんの編んだ網袋や防寒具、そして家の畑で作った果物などを売りに出ている。


そんな感じでいわゆる普通の幸せな生活を送れているわけだ。



「ちょっと歩きづらいな…」


家を出て30分ほどはたっただろうか。


昨日降った雨で地面がぬかるんでいる中、俺はいつも通りできるだけ気配を消しながら獲物を探していた。


「…あの木にしよう」


そう独り言を言いながら俺は木に登り始めた。

木の幹にあるヒダにうまくつま先をひっかけてスルスルと登っていく。


これも親父に教わった技術のうちの一つだ。


登りきって太い枝の上に立ち、岩肌を見てホーンラビットの巣を探す。


「あっつぅ…」


この日は前日の雨も嘘のように空が晴れ渡り、太陽が燦々と輝いていた。


木の上にいるアクセルに容赦なく熱線が降り注ぐ。


「んん?」


少し離れたところにあるひらけた場所で、何かが光っているのが見える。


初めはあまり気にしていなかった。が、突然その「光る物体」は動き出した。


俺は目を凝らしてその物体を観察した。


「あれは…」


額に汗が溜まっていくのがわかった。


その光る物体は黄金に輝く立派なツノを生やしたウサギだった。


「うそ…だろ……!?」


俺の心臓は飛び跳ねていた。


ゴールデンホーンラビット。普通のホーンラビットの500倍はくだらない値がつく普段はお目にかかれない珍しい魔物。


その角は黄金に輝き、とても丈夫で武器の素材としても一流であり、高級回復水薬(グレートポーション)の素材ともなる貴重なアイテムである。


角以外の肉の部分も、もし街で売られていたら、貴族が信じられない値段を払ってでも手に入れようとするというほど良質だという。


「ははっ、信じられないな…」


俺は何がなんでもゴールデンホーンラビットを捕まえようと、木を降り、来た道がわかるように木に跡を残して静かに獲物に向かって歩き出した。



___________________*____________________


皆様、この度は私の小説を読んでくださってありがとうございます。


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