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ずぶ濡れになった圭司が呆然と突っ立っている訓練所。凪が耐えきれず吹き出してしまった。
「濡れたってことは失敗だな。圭司。プククッ…。」
「凪さん、ヒドイっす!笑わなくてもいいじゃないっすか!」
そういうケイジも笑っている。ケイシーは失敗したのに楽しそうにしている2人が面白くて一緒になって笑い出してしまう。
「ケイジくん、今の失敗はただ魔玉を壊しただけだからですよ。」
「どういうことっすか?」
「私の推測によると女神の一撃スキルの発動が条件だと思われます。なので、魔玉をスキル発動させるくらいの全力で潰さないと失敗になってしまいます。」
「そうか!あの狂熊の時も僕の魔法を全力で防御しようとして受けたからスキルが発動したということだったんですね!」
「体に魔法を纏うだなんて、今まで聞いたことありませんからね。ケイジくん特有のスキルが関係しているのだろうとしか考えられませんよ。」
「なるほどっす!女神を呼び出すんすね!もう1回お願いします!」
ガイディックが2個目の青色の玉をケイジに渡した。
青色の玉を受け取ったケイジは数度、深呼吸をして思いっきり力を込めて玉を手の中で砕いた。
「すごい!」
ガイディックが鼻血を噴いた。そこには水が蛇のように腕に纏われたケイジの姿があった。
「うお!すげーっす!これ!もう濡れてるからわかんないかもしんないっすけど、おれの腕に水があるのに水に触れてる感覚はないっす!」
「ケイシーくん、この松明に炎魔法をお願いします。」
「あ、わかりました。はい!」
ガイディックの鼻血を気にしながらケイシーは松明の先に炎を点した。ガイディックは火のついた松明を地面に置くとケイジに向かって言う。
「ケイジくん、この火を殴ってみて下さい。」
「了解っす!鼻血出てるっすよ!おらっ!…熱くないっす!火も消えたっす!おれ、すげー!」
「す、素晴らしい…ッ!!!」
ガイディックは自分の仮説が正しかったことと、3人の更なる可能性に興奮しきりで、久しぶりに出た鼻血を拭うこともせず感動に震えていた。
「今ガイさん殴ったら水魔法で鼻血洗えるっすかね?」
「洗えるかもしれないけれど、やめておこう?」
ケイシーがやんわりとケイジがガイディックを殴ろうとしているのを止めた。




