95
謝罪が受け入れられてから数日後、元商店店主がケイシーの実家を訪れていた。ガイディックの口利きで店はギルドのある街に構えることになり、ガイディックが元商店店主とのやり取りを担ってくれていた。
今日、元商店店主がケイシーの実家を訪れてきたのは、野菜の塩漬け酢漬けにする加工場所をどこでするかの相談だそうだ。
「初めまして、ウチはマイコリーと申します。」
「ボクはケイロンです。よろしくお願いします。」
ケイシーたちは商談とも言える場にいなくても良いだろうとのことでいつも通り畑仕事をしている。ギンジもいつも通りの作業をしていた。
しばらくそれぞれの作業をしているとケイロンがギンジを呼びに来た。ケイシーたちはギンジが呼ばれたことを不安に思ったが、ケイロンがにこやかな表情だったので不穏なことは起こらないだろうと思っていた。
「作業場を、ですか?」
「そうなんだ。新鮮なうちに野菜を加工したいとマイコリーさんがおっしゃるんで、だったらいっそのこと敷地内に作業場を設けてしまおうかと思ってね。」
「作業場が出来たらウチから加工作業員をこちらに通わせるから、早めにお願いしたい。商品がなくちゃ商売はできないからね。」
「へ、へぇ、そりゃ全力でやらしてもらいまさぁ。」
「じゃあ、建てる場所とかはまた相談しよう。」
元商店店主、改めマイコリーの顔にはもうギンジに対する忌避感はなく、ギンジが戸惑ってしまうほどだった。
作業場を建てる場所も決まり、柵の作成を一旦中断して最優先で作業場の建設に取り掛かることになった。大工の次男坊も張り切って仕事して、作業場は順調に出来ていった。
凪たちはその間2度ギルドの依頼でクエストをこなしており、それで留守にする日もあったが楽しく日々を過ごしていた。




