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「懐かしいな。」
3人はナギとケイシーが出会った場所に来ていた。
「情報によるとこの辺だそうですよ。」
「盗賊が出てくるまで待つんすか?」
「探知魔法使ってみます?」
「その必要ねーよ!」
聞き覚えのある怒鳴り声が響く。
「オレ様は貴様らが来るのを待ってたんだよ!」
「僕たちが来なかったらどうしてたんですか?」
「来るまで待ってたさ。ここから全て始まったんだ。オレ様の転落人生が!お前らのせいなんだよ!」
「あの時までは順風満帆だったのか?」
「ぐっ!うるせぇ!おめーら!やっちまえッ!!」
10数人の盗賊たちが一斉に3人に飛びかかってきた。
獣相手じゃないから気をつけろとガイディックは言った。だが、凪と圭司にとったら人相手の喧嘩のほうが慣れているのだ。もちろん一対多の喧嘩にも慣れている。ケイシーを庇いながらでも何も問題ないほどに。
凪と圭司はこの世界に来てから1番喧嘩を楽しんでいたかもしれない。鷲河中の仲間たち、蛇山中の奴ら、喧嘩に明け暮れた日々、懐かしい。本当に懐かしい。
あっという間に残りは銀髪の大男だけとなった。大男はワナワナと震えていた。
「あとはお前だけっすよ!覚悟はいいっすか?」
「圭司、待て。ケイシー、言いたいことがあるなら今のうちだぞ。」
「………ぼ、僕。その、」
「役立たずがオレ様に言いたいことだと!?元はと言えばお前みたいな役立たずをパーティーに入れちまったのが間違いだったな!!」
大男はギャンギャンとケイシーに対して憎まれ口を捲し立てている。何度か圭司が殴りかかっていきそうなのを凪が抑え、ケイシーの言葉を待っていた。
「その節は本当にありがとうございました!!」
突然の礼に大男が黙る。圭司も唖然としてケイシーを見ている。凪だけはニヤリとしていた。
「適性チェックで低いランクが出て、とても冒険者としてやっていけそうもなかった僕を唯一拾ってくれたのはアナタでした。僕が役立たずなのは事実で、それでも荷物持ちとしてずっとパーティーに置いてくれて。実際キツかったですけど、ありがたいとも思ってました。」
キラキラとした笑顔で語るケイシーに対し、大男は顔を真っ赤にして複雑な気持ちでいた。
ケイシーをパーティーに入れた理由などない。適度に八つ当たり出来て、反抗しなさそうな奴なら誰でも良かった。自分が気分良く過ごすための道具というか、玩具のようにしか見ていなかった。
それが、こんな風に言われるなんて思ってもみなかった。恨まれていると、憎まれていると思っていたのに…。
ちょっぴりホンワカした気分になってしまった大男は何も言い返せずにいた。




