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ケイシーが貸してくれたマントの中で凪は目を覚ました。
所持金が足りなかった2人は野宿していたのだ。
「あ、ナギさん。起きましたか?朝ご飯、食べますか?」
「ん。おはよ、ケイシー。」
寝起きのナギはいつもより幼くなる。そして、覚醒するまでけっこう時間がかかる。2晩も一緒に野宿しているため、ナギのこともどんどん知ることができていた。
ナギとケイシーはお互いのことを始め、色んな話をしていた。ナギの話を聞いていて、ケイシーはにわかには信じ難い、国内で実しやかに囁かれている噂話を思い出していた。
その噂話とは、ごくごく稀にこの世界ではない世界から凄まじい力を持って突然現れる人がいるというものだ。
『転来人』
転来人とも天来人とも言われる人たちは揃って人間とは思えないほどの力を有しているとの噂だ。
ナギが転来人だとすると元パーティーリーダーの大男をあんな風にしたことにも納得がいく。『じゃあきぃ』という言葉もこの世界では聞いたことのないものだし。
考えれば考えるほど、ナギ=転来人の図式が確信めいたものになってくる。そうなってくるとナギにそのことを告げるかどうかがケイシーにとって究極の選択になる気がしていた。
ぶつぶつと考え込んでいるケイシーは歩く速度が落ちてきた。ケイシーが遅れをとっていることに気付いていない凪は数メートル先に進んでいた。ついにケイシーは足を止めて考え込んでしまったが、凪は気付いていない。
後方に置き去りにされているケイシーには気付かないのに、街道からそこそこ離れている森のほうに何か動くモノがいるのに気付いた。
凪はその動くモノが気になり、街道から外れて森へと向かう。ケイシーはまだ考え込んでいる。
近付いていった凪が確認した動くモノは、黒い子犬のようなモノであった。




