19
ギルドで適性チェックをする際にランクというものが付けられる。最初に付けられたランクは下がることも上がることもない。
ケイシーのランクはEだった。下から2番目のランクである。Eランクでは受けられるクエストがほぼ無いに等しい。
困ったケイシーはクエスト依頼ではなく、パーティー募集のほうに望みを託した。ランクは低く、オールラウンダーとは言え弱魔法しか使えないが、叩き込んだ知識を活かすことのできるパーティーが組めたら、のし上がれるかもしれない。
そうして出会ったのが、銀髪の大男率いるパーティーだった。
最初の頃は良かった。オールラウンダーとして弱魔法だったが、攻撃魔法は獣の注意を逸らすために使い、回復魔法はほんの少しの疲労回復に使い、支援魔法では5㎝ほど高く飛べるようになる程度の身体強化に使い、ケイシーなりにパーティーに貢献していたつもりだった。
だが、銀髪の大男とは相性が悪かったのだろう。彼は大斧使いとしてランクはB。彼の振り回す大斧には、ケイシーの支援魔法では物足りず、ゴリゴリの力押しでクエストを進める戦法では、注意を逸らすだけの攻撃魔法もケイシーの持っている知識も銀髪の大男には邪魔でしかなかった。
それ故にケイシーは荷物持ちとしての役割りしか出来ることはなかったのだ。それでも雇ってもらえたケイシーはそれに縋り付くしかなかったのである。
ナギと出会うまでの自分の過去を一通り凪に説明したケイシー。もちろん『パーティー』の説明もちゃんと話し、ナギの反応を伺ってナギからの言葉を待っていた。
ナギは腕を組み、目を閉じて、眉間にシワを寄せていた。難しそうな顔をしているナギを見て、ケイシーはナギとの関わりもここまでかなと悲観していた。
「お前の話は難しいな。俺にはわからんし、どうでもいい。とりあえず、アイツの誕生日じゃなかったんだな。」
これだけ説明したのにまだ誕生日っていう単語が出てくるのか…と脱力したケイシーであった。