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夜の宿屋にて。マイコリーさんが取ってくれている宿は3人が1部屋で泊まれるところだ。商魂たくましいマイコリーさんは行く先々で営業をしているらしい。
夕食をご馳走になり、マイコリーと別れて泊まる部屋へと戻ってきた3人はガイディックについて話していた。
「隣国からの帰り、もしかしてガイさんも一緒に帰れたりするんすか?」
「どうでしょうね。ダークウルフの件が片付かないと帰れないんじゃないですかね?その件で呼ばれてるわけですし。」
「一緒に帰れたら良かったのにな。」
「マイコリーさんに頼まれた件もありますし、連絡は取ってみますよ!」
魔道具を操作するケイシーに凪が話しかける。
「そのダークウルフってのは討伐出来ないんだろう?どういう状態になれば片付いたと言えるんだ?」
「あーそれもそうですね。ダークウルフは何しに人里まで来たのかわかれば対策できるのかもしれませんね。」
「腹減ってたんじゃないすか?餌を求めて来たんすよ、きっと!」
「ダークウルフは魔力で生きているんです。森の中には自然の魔力が豊富なので、お腹が空いてなんて理由はあり得ないと思いますよ。」
「今回ばかりはガイディックさんの役には立てなさそうだな、俺たち。」
少ししょんぼりとした雰囲気になってしまった3人はそのまま会話が途切れていた。
そこにガイディックから魔道具に返事が来た。
「う〜ん、やっぱりダークウルフが片付かないと帰れないみたいですね。マイコリーさんのお店については大丈夫とのことです!向こうのギルドの人を紹介するって伝えてって書いてありますよ。」
「良かったっすね!マイコリーさんの話は解決っすね!」
「でも…僕たちにはギルドに絶対来ないようにって…。」
「それはガイディックさんの同僚だかって人がいるからか?」
「たぶんそうでしょうね。向こうに着いたら連絡して、ギルドの外で会いましょうって書いてあります。」
「会えるならどこでもいいっすね!」
「それもそうだな。久しぶりだしな。」
「書いてあることはそれで終わりっすか?」
「あとは…あ、国境付近では休憩を挟まずなるべく早く通り過ぎて、だそうですよ。」
「国境付近?何かあるのか?」
「うーん、国境に検問所がありますね。商人であるマイコリーさんと一緒ですから、何か問題があるとは思えませんが…。」
「ここから国境まであとどれくらいかかるんすか?」
「3日後ですね。3日後のお昼くらいに検問所を通過する予定ですよ。」
ガイディックの忠告に少しの不安はあるものの、まだまだ続く隣国への旅にワクワクしつつ眠りにつく3人であった。