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「通り道だから家に寄って注意するように言っておこう。」
「あっしの部下に門番するように言っときやしょう!」
「そっすね!柵もほとんど出来てるし、門番いたら諦めるかもっすね!」
「急ぎましょう!」
いつもの癖でナギアップバージョンの支援魔法を4人に施すとギンジが大声をあげ驚いた。
「な!なんすか!?これは!?こんなことが!?」
ケイシーはしまったと思いつつも今は説明している暇はないと思い直し、先を急ぐ。
「今はそれどころじゃないですよ!急ぎましょう!」
「は!へぇ、へい!」
あっという間に家まで到着する。何やら騒がしい。嫌な予感がした4人は顔を見合わせ、騒がしいほうへと慌てて向かった。
叫び声が聞こえる。悲鳴が聞こえる。怒鳴り声が聞こえる。騒がしいほうへと向かいながら、4人の嫌な予感は増していく一方だった。
そこにはナンシーの首に腕を巻きつけ、周囲を怒鳴りつけながらナイフを振り回す、茶髪の元副リーダーがいた。
「ナンシー!!」
ケイシーが叫ぶ。副リーダーがケイシーのほうを見てケイシーとギンジの姿を確認すると禍々しい笑みを浮かべた。
「あぁ。リーダー。やっと見つけた。なぁ、またオレと組みましょうよ。アンタと一緒にいた頃は本当に楽しかったんだ。なぁ、アンタも楽しかっただろう?」
「あっしは今が幸せなんだ!あの頃は意味もなく毎日イライラしていたが、今は毎日が充実している!ケイシーのダンナやここにいる皆さんのおかげで…」
「ふざけんな!!!アンタ、何腑抜けてんだよ?ギラギラしていたアンタはどこに行ったんだよ?何が充実だ!!つまんねー人間に成り下がりやがって!!」
「お、おい!やめろ!とにかくその子を離せ!あっしに恨みがあるなら、その子は関係ないだろう!」
「恨み?オレはアンタを恨んじゃいねーよ。オレが恨んでるのはそこの役立たずだよ。なぁ、役立たず!お前、役立たずのくせに何調子に乗ってんだよ?役立たずは役立たずらしく地面に這いつくばってりゃいいんだよ!」
「なにそれ。それケイシーのこと言ってんじゃないわよね?」
それは低い低いドスの効いた声で、その声が聞こえた者は皆背筋が凍るほどの恐怖を抱いた。