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ナンシーとの仲がぎこちないまま、ケイシーたちには原因がわからないのでどうすることも出来ずにいた。
話しかけてもあからさまに無視されてしまうし、気付くと睨まれているし、ナギもケイジもお手上げだった。
そんなある日、ガイディックからまた呼び出しがかかった。ギンジも一緒に来て欲しいとのこと。
ギンジはその日の仕事の指示を部下たちに話すとケイシーたちと一緒に久しぶりのギルドへと向かう。自分が冒険者時代に評判が悪かったことは知っているので、自分のことを悪く言われるのは良いのだが、ケイシーたちと一緒にいることでケイシーたちの評判も下げてしまうのでは、と心配していた。
ギルドに着いてガイディックを呼び出してもらうといつもの個室に通された。ギンジは個室に入るのは初めてだったからちょっとキョロキョロと挙動不審だった。
すぐにガイディックが部屋に入ってきたと思ったらとても慌てた様子で用件を話し出した。
「お呼び立てして申し訳ありません。さっそくですが、ギンジさん、副リーダーのことは覚えていますよね?」
「あいつぁ、実家に帰ったんでしょう。」
「3日前、彼の実家で事件が起こりました。彼の兄が何者かに重傷を負わされ、それ以降彼が行方不明になっています。彼の部屋には日記帳のようなものがあり、彼の兄やケイシーくんに対する恨みが書き連ねてありました。」
「なんですって!?」
「そして、ギンジさんが盗賊をしている噂のことと、また貴方と行動を共にしたいということも書かれていたそうです。」
「てことはあいつぁあの場所へ行ったってことですかい!?」
「その可能性が高いかと。そして、あの時の盗賊の残りがまだあの場所にいるという情報もありまして。もし、ケイシーくんたちに討伐されたことなどを話してしまったとしたら…。」
「ケイシーのダンナにさらに恨みを持つってことですかい!?」
「おそらく。ケイシーくんの家を特定されるのも時間の問題でしょう。彼の実家のほうはもう彼と関わる気はないようで、ギルドで対応しようにも出来ない状況です。」
「あっしがあの場所に行って、あいつを探してみまさぁ!」
「僕も行きます!」
「ケイシーのダンナは危険ですぜ!あっしだけで大丈夫ですから!」
「いや、俺たちも行こう!ケイシーの家が特定されてしまったらみんなが危険にさらされる!」
「そっすね!おれらで解決するっすよ!」
「すいやせん。ダンナたち!」
ギルドに着いて1時間もたたないうちに凪たちはギルドを後にした。あの場所へ向かうために。