109
みんなにお土産を配る。みんなでお揃いのマグカップだ。ジルレンシーたちの分もあるとわかるとヴィアンナがケイシーたちに抱きついてお礼を言う。
照れた3人は3人で見つめ合ってはにかんで笑った。
それを窓から覗いているナンシーに誰も気付かずに。
ジルレンシーとヴィアンナは団欒の終わったリビングから出て、ギンジに作ってもらった新しい家へと帰ってきた。ナンシーももう帰っているだろうと思っていた。
予想通りナンシーは自分用に与えられた部屋で布団にくるまっていた。ヴィアンナは扉越しに声をかける。
「ナンシー?いるんでしょ?さっきの態度は何?明日になったらケイシーくんたちに謝りなさいよ。」
ヴィアンナの言葉にナンシーは返事をしなかった。
「なによ!なによ!!あんなヤツ!あんなヤツら!」
朝が来た。いつも通りの朝で、ケイシーとケイジが先に起きている。
「今日はギルドに回収の魔道具を持って行かなきゃいけないので、畑の手伝いは午後からですね。」
「あ!ガイさんのお土産買ってくるの忘れちゃったっす!」
「買ってありますよ!貝を模したペンのインク容器です!素敵だったのでつい買っちゃいました!」
「良かった!ありがとうっす!ケイシー!」
朝ごはんの準備の手伝いに向かうケイジとケイシー。リビングに入るとシーティルとヴィアンナがいた。
「「おはようございます!」」
「おはよう、ケイシー、ケイジくん。よく眠れたかしら?」
「おはようございます。お2人起きるの早いんですねぇ。」
「いっぱい寝れたっす!」
「僕たちはいつもこれくらいに起きますよ。ナギさんだけは朝が弱いんです。」
和やかな雰囲気で4人は朝食の準備をしている。人数が増えて作る量も多くなって作る側は大変そうだ。配膳を手伝うケイシーとケイジもパタパタと何往復もして食卓の上に並べていく。
ケイシーはミルクの入ったケイシーたちがお土産で買ってきたマグカップが並んで、より華やかな食卓になっている気がして、くすぐったくも嬉しかった。
「じゃあ、ナギさん起こしてくるっす!」
「私もジルとナンシーを起こしてくるわ。」