好奇心には勝てぬ生き物
コツ、コツ、コツ、コツ
ん?階段から足音が聞こえるな。
頬を床にこすることに夢中になっていた俺は、体はゆかにつけたまま顔をだけを上げ足音のする階段の方を見る。
コツ、コツ、コツ、コツ
「うわ、あんたなにやってんだ‥‥」
「見てわからないのか?頬ずりだよ、頬ずり」
階段から降りてきたのは、ついさっき会ったコスプレ少女だった。
「あたしが聞いてんのはなんでゴキブリの真似なんかしてんのかってことだよ!」
「してないわ!」
深夜の学校で一人ゴキブリの真似をしてる奴なんかいてたまるか。
何が悲しくて一人ゴキブリの真似なんかしてるか。
‥‥あれ、客観的に見たら今の俺って深夜でゴキブリの真似してる変人?
「それより早くどっか行けよな!ここにいられると邪魔だ!」
「相変わらず当たり強くない!?」
なんか強く言われてもなんとも思わなくなってきたわ。
俺は再度床につけてた顔を上げ、改めてコスプレ少女を見る。
‥‥やっぱ服の癖が強いな、、
視界に強烈な違和感を覚えつつ、俺の鍵に心当たりがないか少女に聞いてみる。
「なあ、ここら辺に家の鍵落としたと思うんだけど見てないか?」
「はあ!?そんなのあたしに聞いてくんなよな!」
「聞くことも怒られんのかよ!」
さっきの言葉を取り消そう。
俺のガラスの心じゃこの子の相手は務まりそうにないな。
‥‥今も帰れ帰れ言われてるし、一度この場から離れるのが無難だな。
とりあえず一度体育館方面に行ってみるか。
「なあ、あとで鍵みたいの落ちてたら拾っとい──」
ミェエエエエエーーーーー!!
‥‥なんの音!?
コスプレ少女に鍵のこと伝えようとしたら、遠くから泣き声のようなものが聞こえてきた。
「あぁ!ゴキブリ馬鹿のせいで先越されただろ!」
え?何で暴言はかれてるの?
あまりの理不尽さに文句を言おうとするが、少女は猛ダッシュで体育館の方向へ走って行ってしまった。
‥‥って速すぎないあの子!?
あれは多分50メートル6秒台出るのでは‥‥
そんなことを考えつつ、音のした方向、体育館に行こうか悩む。
時刻は23時少し前。
23時に帰ることをあきらめて、体育館の方に行くか悩む。
‥‥うん、気になるし行ってみよう!!
人類は好奇心に勝つことはできない生き物、俺もまたその一人だ。
面倒ごとに巻き込まれたら、その時はその時の俺が何とかしてくれるだろう。
どっちにしろ体育館にはいこうと思てたし、ヤバそうだったらすぐ来た道を戻ればいいし、行くだけ行ってみるか!
俺は湧き上がる好奇心に負け、体育館に向かった。