料理上手の才能が欲しいな
クロさんはテキパキとお茶を入れ、自分の分と俺の分の2つをテーブルに置いた。
「お、おまたせしました」
「いえ、わざわざありがとうございます」
そう言いながら出されたお茶を一口飲む。
「このお茶、すごく美味しいです!」
「喜んでもらえてよかったです!」
一口飲んでそう伝えると、クロさんは少し恥ずかしそうにしながらも喜んでくれた。
でも本当に冗談抜きでクロさんが作るものってなんでも美味しい気がする。
まだ少ししか食べてないが、料理の腕が高いことは見て取れる。
しかもただ美味しいだけじゃなくて、この世にこれ以上美味しいものはないってレベルで美味しいんだよな。
なんの食材を使っているのかは少し気になったが、先に昨日の出来事についての話を聞くことにする。
「それで話っていうのは……」
「そ、それなんですけどね……」
クロさんはなんて話したらいいのか考えがまとまらないのか、小さく
「んー……」
とつぶやきながら、あごに手を当て考えるポーズのような姿勢をとっている。
「話しにくかったりする内容だったら後日でも大丈夫ですよ?」
「いえ、話しにくい内容ではないんですけど……」
そう言いながら目の前のお茶を飲み、また考えるポーズをとる。
こんなポーズでも絵になるのはクロさんが美人さんだからだろうな。
考え始めて10秒ほどたった後、クロさんは考えがまとまったのか俺の方を見ながらゆっくりと話し始める。