とりあえず危ないことはやめない?
校庭へ猛ダッシュで走りだしたクロさん(超絶可愛い天使様)を追いかけた俺は、息を切らしながらなんとか校庭にたどり着く。
そこには、
「な、なんであなたがここにいるんですか!」
そう叫びながらコスプレ少女に向かって黒い斬撃のようなものを飛ばしているクロさんと、
「あんたこそ何でここにいるんだよ!」
同じく叫びながら黒い斬撃を矢で相殺しているコスプレ少女がいた。
……いや、もうここまで来たら驚かないけどね?
ていうかクロさんもそっち側だったかー。
なんとなく、てか絶対同じ分類の人なんだろうなとは思ってたけど。
いざこうやって目にすると、なんていうか……うーん、言葉に詰まるな。
俺がそんなことを考えている間も、少女たちの戦いは激しくなっている。
矢が地面をえぐり、黒い斬撃が校舎の壁を粉々にし……
いや、激しすぎない!?
この調子だと明日の朝にはここら一帯更地になりそうなんだけど。
流石に入学したてで学校が無くなるのは困る、というより事件になりかねないので止めにかかろうと声をかける。
「おい、流石にそこまでにしてもらはないt」
「うるさい、お前には関係ないだろ!」
シュ、ズゴ!
唐突に少女から放たれた一本の矢が俺の足元の地面に刺さる。
いや、刺さるというかえぐってるんですけど……
なんかこれ以上バトルに水を差すと体が穴だらけになりそうなので、少し離れた場所で観戦することにしよう。
少女たちがドンパチやってるところから20メートルほど離れた場所で、腰を下ろす。
あぁ、朝見たときは綺麗だった桜の木が、今や切り株に……
なんともいえない感情でそれを眺めていると、となりでドサリと音がした。
隣を見てみると、そこにはさっきまでコスプレ少女とタイマンをしていた黒ヤギが!
慌てて立ち上がろうとしたが、ヤギの目を見て俺は気づいてしまった。
そうか、こいつもあのコスプレ少女に絡まれて大変な目に合ってたんだよな……
「おつかれさま……」
俺の右手は、無意識のうちにヤギの頭をなでていた。
「メェェ……」
頭をなでられたヤギは、特に嫌がりもせずなでられていた。
俺はヤギをなでながら、少女たちの激戦を見届けていた……