何事もあきらめが肝心
体育館についた俺が目にしたのは、体から黒い靄のようなものを出しているヤギ?のような動物だった。
反対側にはさっきまで話していたコスプレ少女もいる。
──手にキューピットの弓矢の様なものを持って。
あー、とうとう弓矢まで持ってしまったか。
おそらく弓矢までがコスプレの付属品なんだろうな。
弓矢を装備して、初めて天使のコスプレ完成といえるんだろうな‥‥
とりあえずヤギとにらみ合ってるコスプレ少女に声をかける。
「おーい、これ今なにやってんだー?」
「は?あんたなんでここにいんだよ!」
コスプレ少女が驚いたようにこちらを見る。
その瞬間、
「メェェェェェェェェ!!」
コスプレ少女の視線から外れたヤギは、この瞬間を逃すかといわんばかりの勢いでコスプレ少女にタックルを仕掛ける!
「メェェェェェェ!!」
「うわ!」
そのタックルをぎりぎりかわすコスプレ少女!
てかさっきから思ってたけど運動神経良すぎない?
今完璧に不意打ちだったよね?
ドガッシャーーン!!
タックルを躱されたヤギはそのまま壁をぶち破り、外へ走り去ってしまった。
あのヤギのタックルを食らったら、間違いなく全身の骨が粉末状になるんだろうな‥‥
とりあえずさっきの生物が何だったのか、コスプレ少女に聞こうとする。
「なぁ、さっきの‥‥」
「どうしてくれんだよ、あんたのせいで逃げられただろ!!」
あら、とても怒ってらっしゃいますね‥‥
毎度のごとく俺の質問がかき消されていく。
だけど今回は俺も説明してもらわないと困るし、まず先ほどのヤギの説明を‥‥
「あんたのせいでまた探し直さなきゃいけなくなったし‥‥この馬鹿!おたんこなす!」
そう文句を言いながら、コスプレ少女がヤギの出て行ったあとを追いかけるように走り去っていってしまった。
ていうか馬鹿は関係ないだろ!
静まった体育館には俺と壊された壁‥‥あれ、この壊れた壁って俺のせいになるの??
いよいよアル〇ックやポリスメンと戦うことになるの?
そうなると家に入れないどころか数年帰ることができなくなるのでは‥‥
背中にいやな汗が流れる。
‥‥とりあえず今日は野宿でいいかな。
何事もあきらめは肝心だし、また明日探すか!
俺がポリスメンのお世話になってなければの話だけど。
とりあえず俺はそっとこの場を立ち去った。