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世界なんて救えません!!  作者: クロキツネ
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賑やかな日常って好きですか?

 よく晴れた日曜日。


 どんな時期でも、12時を過ぎれば太陽たちが本気を出してくる。

 そうすると、いくらカーテンを閉めていようと日の光が入ってくるわけで。

 俺の休日は清々しい朝……もとい昼から始まった。


 陽の光によって目を覚ました俺は、ベッドから降りて大きく伸びをする。

 っくあぁ~~、最高の目覚めだ!

 なぜ起きた後の伸びは最高に気持ちいいのだろうか?

 この長年の謎に対して疑問を抱きつつ、それと同時にお昼は何を食べようか考える。

 基本的には俺は朝ごはんは食べないが、今の時刻は12時を回っている。流石にお腹がすいてきた。

 とりあえず冷蔵庫の中身と相談しながら決めるか。


 自室からスマホを持ち、助走をつけてリビングにあるソファにダイブする。

 ハロー、俺の愛すべき休日ちゃん!

 フカフカなソファに身を委ねてるとその場から動きたくなくなってくるが、いくらソファが優秀だからといっても空腹感は無くなるわけじゃない。

 うん。とりあえず冷蔵庫に何があるか確認しいくか。

 だらだらしたい気持ちを抑え、ソファから起き上がろうとして


「光輝、魂魔がでたぞ!!早く退治しないと!」


 タッタッタッタッタッタ‥‥‥

 

 すぐさまソファに座り直した。

 なんか嫌な足音が聞こえるな。

 この軽快な足音、さては階段を降りてるな?

 恐る恐る階段の近くにあるドアを見る。

 そこにはニコニコ笑顔の白い服を着た女の子が俺のところに走ってきていた。

 

 ‥‥嫌な予感がするな。

 これでも俺は、危機察知能力だけはいいほうなんだ。

 早くこの場から移動しよ‥‥ってソファくん、俺の手のひらをフカフカなもので優しく包み込まないで!

 座る部分に手のひらを置き、そこを起点に起きあがろうとした俺はソファのフカフカによってバランスを崩し、そのまま地面に転がり落ちた。

 転がった先は猛ダッシュしている女の子の射線上。

 くそ、ちゃんと手すりをもって起き上がるべきだった!

 後悔しても仕方がない。今は早急に移動をしなくては‥‥っておま、そんな勢いつけてこっちくるなっ


「とうっ!」


 グニュ!!!!

 

「いってぇ!!」


 白い服を着た女の子が、仰向けに寝っ転がっていた俺に思いっきりドロップキックをかましてくる。


 クルクル、、シュタ!


 こいつ、俺を踏み台にしてその場で2回転決めやがった!

 しかも着地地点で両腕を上げてVの字のポーズまで決めてやがる。

 体育の授業なら間違いなく100点をもらえただろうが、今日は休日だ。

 俺は飛び蹴りをしてきた女の子、ユキにすかさず文句を言う。

 

「ユキ!何度も言ってるが毎回やるそのドロップキックやめろよ!」

 

 その攻撃、時間がたってもじんじんするタイプの痛みなんだよ。


「でも早くしないと魂魔が凶暴化しちゃうよ!」 

「だからって人様にドロップキックしていいものか!」


 ズキズキ!!

 踏まれた横腹に顔が歪む。

 そんな俺を見てニヤニヤしてるこの悪魔のような悪ガキに一発、頭ぐりぐりしようかと考えていると今度は黒服の女の子が近寄ってくる。


「光輝さん、大丈夫ですか?」


 そう言いながら未だ痛む横腹を優しく撫でてくれる。

 ああ、なんて天使のような子なんだろうか。

 心なしか痛みも怒りも無くなっていくようだ。


「ありがとな、クロ!やっぱりお前は天使だよ!!」

「そんな、天使だなんて‥‥‥」


 ああ、もう可愛いな、コノヤロ!

 思いっきり抱きしめて、ぎゅー-ってしてやりたくなるが、そんなことをしたら嫌われるかもしれないので、心のうちにとどめておく。

 その代わり恥ずかしがっているクロを少しにやけた顔でみていると、


「大丈夫だぞ、クロ!こんな痛みどうっていうことない!」


 いまだ痛む横腹をツンツンとつつきながら、この痛みを負わせた張本人が言った。


「なんでこの痛みの原因であるお前が言うんだよ!」

「それよりも早く、魂魔が凶暴化しちゃう!」

 

 俺の言葉なんか全部スルーして、早く早くと急かしてくる。

 やっぱりこの悪ガキには一回お仕置きが必要だな……

 俺がどのようなお仕置きをしてやろうかと考えていると、


「早くー、魂魔を退治しに行こうよ!早くー」


 ああもうやかましいわ!

 このままではこいつがいつまでも騒ぎそうなので、仕方なく重い腰を上げる。

 グッパイ、俺の愛すべき休日ちゃん‥‥

 俺は、人生でおそらく最速であろう別れを休日ちゃんに告げる。


「あぁもう、わかったよ!早く行くぞ!」

「うん!早く行くぞ!!」

「あ、待ってくだっさい!私も行きます〜!」

 

 はあ、本当なんでこんな事になったんだか。

 全てはあの日からだった....

 


          

 

 

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