俺は絶対にお前を超えてやるから待っていろ
ここが領主様の城かぁー
普段足を踏み入れることのない大きな城に関心しながら魔法師団の試験受付の列に並んでいた。
列には顔なじみなのか仲良さそうに話す人や、辺りをキョロキョロ不安そうな人など様々な人が並んでいた。
「次の5人どーぞー」
人数の多さに辟易したように気怠そうに呼ぶ声が聞こえた。
受付段階で試験は始まっている。
魔王城から勇者が持ち帰った転移装置を改良したもので基礎魔力を測定される。
この門から転移できた人が次の試験に進める。
「それでは次の方門をくぐってください。」
どうやら前の人は基礎魔力不足だったらしい。門からそのまま出てきてしまった。
次はいよいよ俺だ。
師匠のお墨付きなので問題はないだろうが少しだけ緊張はする。
門をくぐると草原が広がっていた。
周りを見ると魔法師団所属の試験官が2人と受験者が5人俺の方を見ていた。
「おーい、今来た君ー。後で試験の説明するからその辺で休んでてくれ。」
言われるまま休もうとしていると受験者の一人が話しかけてきた。
「こんちゃっすー。俺は東雲村の劉と言うっす。よろしくっすー。」
「俺はムスタ村のリズだ。よろしくな。東雲ってことは東方賢人様の所か」
そうなんすよーというや、それからずっと村の話やここまでの道のり、試験の意気込みなんかをひたすら話し続けている。
初対面でなれなれしいとは思いつつも、笑顔で話す劉に嫌な気はしない。
劉の話が続く中門の向こうから試験官が入ってきた。
「今回の受験者は全員終わりました。次の試験初めてください。」
それだけ言うと帰っていった。
「それでは試験を始める!だがその前に門の中に入った人数とここにいる人数が合わないと気になっている者もいるだろうからその説明をしておこう。」
どうやら他の5人も気になっていたらしくおとなしく聞いている。
「この門は基礎魔力を測定するのは知っていると思うが、ここにいる5人は基礎魔力が最上位ランクの者たちだ。現段階でも魔法師団に入っても問題はないほどの魔力ではあるが、あくまでそれは基礎魔力!実際にどの程度使いこなせているかここで実際に魔法を使い私たちが見極める。」
どうやらここにいるのは皆ある程度の実力者のようだ。
なんとなく受験者を選別してるんじゃないかと思っていたが、劉も魔力が高いとは少し驚いた。
「まずは属性別の魔法を見せてもらう。まずは火属性から使用できる者は前に!」
いよいよ本格的な試験の開始だ。
そしてどうやら俺のほかに女の子と白髭を蓄えた色黒の中年だ。
「使用する魔法は基礎魔法のフレイムのみ!最大威力で放つこと!それでは開始!!!」
自分の掌に意識を集中し、燃え盛る炎を想像する。
初めは小さな火、そして段々と大きくなり真っ赤な炎となる。
さてと・・・これで普通のフレイムだけど最大威力だからなぁ・・・
ミルルからは全力を出すなって言われたけどこんだけ広い草原なら問題ないか。
女の子と中年はぞれぞれフレイムと叫び掌から炎を撃ちだした。
10メートルほど離れた地点に炎が到達するとそこから炎の柱が出来た。
周りの人たちの感嘆の声が聞こえるなか俺はまだ掌の炎に意識を集中していた。
炎が青色に変わり一回り小さくなった。頭上に持ち上げた手の上に青白い炎が揺れながらどんどん小さくなっていく。
「他の受験者は後ろに下がり魔法障壁を最大で展開しなさい!今魔法を放った二人は私たちの後ろに!」
試験官が気が付いてくれた。
これで心配することなく撃てる。
「撃ちます!」
頭上に持ち上げた手を思いっきり振り下げる
「フレイム!!!」
炎は30メートルほど離れた地点に到達するとそのまま地面に入り込んでいった。
他の受験者があっけにとられていること数秒。
ゴゴゴという低い地響きとともに天高く炎が上がった。