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139 指導:ミリアとカーサ

 レザルト確認を終えた俺たちは早速、仕事に入っていく。

 ビスケはともかく、新入りの3人に仕事を教えていくのだ。

 そのうちルーミィはニーシャの受け持ち。

 しばらくの間は色々な商品の価格やら情報やらを叩き込まれる日々だろう。


「ビスケはいつもの調子でやっててくれればいいから」

「はいですぅ」

「ただ、急激にステータスアップしたから、今までと調子が違うはずだ。だから、まずは新しい身体に慣れるところからでいいからな」

「はいですぅ」


 ビスケはやる気に溢れている。

 早く神像を作りたくてウズウズしてる気持ちがこっちまで伝わってくる。


 やっぱ、レベルアップ後ってワクワクするよな。

 ビスケの気持ちは痛いほどに理解できた。


「じゃあ、こっちも始めようか」

「はいっ!」

「はいニャ!」


 こっちの二人もやる気は満々のようだ。


「ミリアとカーサにはポーション作成を受け持ってもらう」

「でも、私たちで大丈夫なんですか?」

「私もポーションなんて作ったことないニャ」

「大丈夫。今までの調合の知識に頼った作り方はしないから」

「それじゃあ……」

「ああ、俺たちがやろうとしているのは魔力操作を用いたポーション作りだ」

「それだったら……」

「ミリアにも出来るかニャ?」

「カーサは魔力操作で皿洗いしていただろ?」

「ええ、そうですが」

「だったら、やることはそれと一緒だよ」

「そうなんですか?」

「ニャ?」

「ああ」


 口で説明するよりは、一回やって見せた方がいいだろう。


 【虚空庫インベントリ】から大量のダイコーン草の山を取り出す。


「これが原材料のダイコーン草。知ってる?」

「あのハチミパウダーに入っていた……」

「ポーションの原材料ニャ」


 さすが魔出力不足であっても、諦めずに本をたくさん読み知識を吸収し続けたミリアだ。


「おお、ミリアはよく知ってるな。じゃあ、ダイコーン草から作れるポーションの種類は?」

「初級回復ポーションニャ」

「うん、正解だ…………ちょっと前までならな」

「え?」

「ニャ?」

「まあ、驚くのもしょうがない。これを知っているのはウチとファンドーラ商会の極一部の人間だけだからな」

「…………」

「…………」


 二人とも緊張した趣きでこちらに注目する。


「ダイコーン草から中級回復ポーションが作れることが分かったんだ」

「ホントですか?」

「それは大変ニャ」

「ああ、大変なことだ。革命とも言える。そして、すでに実用化されたものが市場に出回り始めている」

「それはすごい…………」

「すごいニャ…………」


 ようやく事態の大きさが伝わったようだ。


「でも、なんでそんな大切な製法をアルが知ってるんですか?」

「それはこの製法を開発したのが俺だからだ」

「なっ……」

「ニャ……」


 驚く二人をそのままに、俺は話を進める。


「まあ、見ててよ」


 大鍋にファング・ウルフの血液を流し込む。


「これはファング・ウルフの血液。これが新製法のキモだ」


 ムッとする匂いが立ち込めるが、吸気石に吸われ、すぐに掻き消える。


「【創造魔法水クリエイト・マナ・ウォーター】――」


 隣の大鍋にポーション一本分のマナ・ウォーターを満たしていく。


「準備はこれだけだ。後の手順も簡単だから、一回見て覚えてくれ」


「【飛翔フライ】――」


 ダイコーン草の山から一束を浮かせ、空中で揃える。


「【空斬エアカッター】――」


 ダイコーン草の根っこを切り落とす。


「【空圧エアプレス】――」


 ダイコーン草を圧縮し、切り口から魔素を抽出する。


「【水球ウォーター・ボール】――」


 抽出した魔素を球状に留める。


「【飛翔フライ】――」


 マナボールをファング・ウルフの血液で満たされた大鍋の上で、触れるか触れないかの位置で転がす。

 すると、マナボールから毒素だけが抜かれていく。


 最後に、毒素の抜かれたマナボールをマナ・ウォーターの入った大鍋に入れる。

 すると鍋の中は混ざり合い、綺麗な緑色を発している。

 これで完了だ。


「以上だ。なにか質問あるか?」

「これでポーションが完成なんですか?」

「ああ。使ってる魔法はどれも低出力。二人でも問題ないだろ?」

「たしかにどれも初等的な魔法ですし、私でも発動できます」

「私も出来るニャ」

「一番難しいのが、マナボールを転がすところだけど、皿洗いで慣れてるカーサなら簡単だろ?」

「ええ、それは自信あります」

「ミリアも練習すれば、すぐに出来るようになるだろう。なにせ、ミリアも魔力操作がAになってるんだからな」

「そうだったニャ」

「あの操作にはどういった意味があるんですか?」

「ダイコーン草から抽出した魔素には微量だけど、毒素が含まれているんだ。その毒素はファング・ウルフの血液と親和性が高い。だから、ぎりぎりのところで転がすことによって、毒素を血液に移してやるんだ」

「へえ〜、そういう意味だったんですね」

「ああ、これを閃いたから、この製法が可能になったんだ」

「なるほど。すごいです」

「スゴいニャ」

「ダイコーン草10本に対し、マナ・ウォーターは100cc。それで中級回復ポーションが1本できる」


 俺の説明に真剣に耳を傾ける二人。


「今は説明のために1本だけ作ったけど、もちろん、一気に大量に作ることも出来る」


 マナ・ウォーターを大鍋に2リットル注ぎ、【飛翔フライ】で200本のダイコーン草を浮かす。

 後は同じ要領で処置していく。


「こうすれば、一気に20本のポーションが完成だ」

「すごいっ!」

「ニャ!!」


 二人が目を丸くしている。


「どうだ、低出力魔法でも十分に役立つことが分かっただろう」


 コクコクと頷く二人。


「しばらくの間、カーサにはこのポーション作りに専念してもらう。ミリアには他にも頼みたいことがあるんだが、まずはこのポーション作りに慣れてもらってからだな」

「はい」

「ニャ」

「このやり方でのポーション作りはまだ始まったばかり、正解は存在しない。二人で意見を出し合いながら、どんどん効率化していってくれ」

「分かったニャ」

「頑張ります」

「【共有虚空庫シェアド・インベントリ】にマナポーションを千本ほど入れておいたから、魔力は気にせずガンガン挑戦してみてくれ」

「千本……」

「ニャ……」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] しかし、何でハーレムにするかねぇ。こんなような小説書く奴は皆、思考停止したように、しないと死ぬかのようにハーレム展開にして・・・この設定でハーレムにしても面白くは無いよ。ちゃんと考えて…
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