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112 結果報告:転移カード

 3人揃っての夕食。

 その最中に、ニーシャが切り出してきた。

 ちなみに、今日はチャハーンに、チャオーズ、チウカスープだ。


「なんか、二人とも目が赤いけどどうしたの?」

「いや、別に」

「べっ、別に、なんともないですぅ」

「ふーん」


 疑わしげにこちらを見やるが、追求してくる気はなさそうだ。


「まあ、いいわ。」


 そう言って、お茶を啜る。


「それで、今日の成果はどうだったのよ」

「ああ、いろいろすごかったんだけど、まずは目玉のコレだ」


 俺はネームドモンスターの巨人グウォーがドロップした金属プレートをテーブルに置く。


「はっ!? こんなの反則じゃないの!!!!」


 ニーシャが驚きの声をあげる。


「なに? 一体どんな機能なんだ? 多分、転移系だとは思うけど」

「ちょっと待って、効果を書き出すから」


 紙切れにスラスラと書き込み、それを俺に見せる。


――――――――――――――――――


 名前:転移カード(パレトのダンジョン限定)


 使用法:表面に指で触れる。


 効果:ダンジョン内で使用すると、使用者の登録済みの転移ゲートまで転移する。ダンジョン外では使用不能。

 5人までの随伴者とともに転移が可能。

 随伴者が転移先のゲートに登録している必要なし。


――――――――――――――――――


 俺が思っていた転移系というのはアタリだったけど、その効果がすご過ぎた。

 通常、転移ゲートは全員が登録を済ませていないと使用できない。


 しかし、このプレートを使用すれば、俺がニーシャやビスケを連れて、いきなり50階層のボスでパワーレベリングが出来たりするわけだ。

 ビスケを連れてもう一度マラソンしなきゃいけないと思っていたところなので、これほどありがたい一品はない。


 それにしても物凄い遺物アーティファクトだ。

 これさえあれば運び屋やるだけで、一生食っていける。


「さすがにこれは出品できないよな」

「ええ、これは出品するより、私たちで有効活用すべきよ」

「だな。明日王都で新しい人材も入る予定だし、明後日あたりみんなでレベリング行くか?」

「ええ、そうね。明日は奴隷も購入するつもりだし」

「奴隷?」

「ええ。信頼できる店番が欲しくてね。奴隷なら間違いないでしょう?」

「ああ、確かにな」

「それに私の眼もあるからね、きっと良い人材をゲットできるわ」

「じゃあ、明後日は新入りみんなとレベリングか」

「ええ、そうしましょ」

「あの〜」


 俺たちの会話が一段落すると、ビスケが口を挟んできた。


「なんだい?」

「今の会話で、いくつか理解しがたい点があったのですが……」

「なに?」

「まず、明日王都でなんちゃらって言ってましたよね?」

「ああ、そうだが」

「明日、王都に行くんですか?」

「ああ、そうだよ」

「…………王都まで馬車で3日かかるのですが」

「うん。だから、【転移トランスポーズ】で行くんだよ。これなら、一瞬だ」

「へあ?」


 ビスケから間抜けな声が漏れる。


「誰が使うんですか? もしかして、師匠が?」

「ああ、俺が使える」

「師匠の魔法は色々とおかしいですよ。普段から無詠唱だし、並列魔法も出来ちゃうし……」

「修行だ、修行。修行すれば大抵のことは出来るようになる」

「修行ですか、頑張りますぅ」


 胸の前で小さくガッツポーズ。

 先ほどのやり取りで、修行に対するネガティブなイメージは大分薄れたようだ。良かった良かった。


「ビスケもついて来るか?」

「ちょっと気持ちは惹かれるのですが、今は修行の方が楽しいですぅ」

「そうか、頑張れよ。楽しんでやるのが一番だ」

「はいですっ」


 頑張ろうとしているビスケの可愛い姿につい、手が伸びて髪の毛をワシャワシャとしてやる。

 それをビスケは上目遣いで「師匠ぅ〜」と甘えてくる。


「ずいぶんと仲良くなったのね、あなた達」


 ニーシャがジト目で眺めてくるが、その通り。さっきの一件で俺とビスケの距離はかなり縮まった。

 実際、食事の席も昨夜まではニーシャの隣に座って「ニーシャ姉さま」と懐いていたのだが、今回から急に「やはり、弟子は師匠の近くでないと」と言い出し、俺の隣に座り出した。


 そして、やたらと俺に甘えたがるようになった。

 前の師匠のトラウマがあるから、余計に俺に甘えたがるんだろう。今は害もないし、好きにさせている。


「それとレベリング云々っておっしゃってましたが?」

「ああ、ビスケにも参加してもらう」

「あの、わたし、戦闘魔法はからっきしですよ」

「知っている」


 ビスケは魔法出力が著しく低いから、高威力の魔法は使えない。

 だから、魔法学院卒業後の進路も魔法系は門前払いだったのだ。


「足手まといにしかならないですよぉ」

「大丈夫よ、ビスケちゃん」

「ニーシャ姉さまぁ」

「ただの商人の私だって40階層のボスを千体以上たおせたんだもの」

「40階層!? 千体!?!?!?!?」

「だから、大丈夫。なんとかなるようにアルがしてくれるから」

「師匠がですか?」

「ああ、ビスケは飛び道具でトドメを刺すだけの簡単な仕事だ」

「わかりましたっ。師匠がおっしゃるなら安心ですぅ」


 ビスケの疑問が解消したところで、ニーシャが問いかけてきた。


「それで後はなにを入手したのよ」


 実物はかさばり過ぎるので、口で説明する。


「今回は生活用の遺物アーティファクトが大部分だった。50階層のボスが美味しくてさあ、ついつい1時間くらい粘っちゃった。戦果は大型コンロ16台、小型コンロ31台、冷凍冷蔵庫1台だったよ」

「凄いじゃない。冷凍冷蔵庫は普通サイズよね?」

「いや、家庭用じゃない大きいやつだ。後で【共有虚空庫シェアド・インベントリ】に移しておくわ。つーか、最初からそっちに入れておけば良かったな。つい、癖でドロップ品は【虚空庫インベントリ】に仕舞ってたわ。今度から、ドロップ品は【共有虚空庫シェアド・インベントリ】に入れておくから、管理よろしく」

「分かったわ。中に『未判別品』ってフォルダを今作ったから、そこに入れておいて」

「おう、分かった」


 【虚空庫インベントリ】と【共有虚空庫シェアド・インベントリ】の間のアイテム移動は、いちいち出したりする必要はなく、頭の中でイメージするだけなので簡単だ。

 俺は、コンロを数台とその他、必要そうな物を残して、これまでダンジョンで入手したものすべてを【共有虚空庫シェアド・インベントリ】に移動させた。


「冒険者カードも結構あるのね。これどうしようかしら?」

「俺も使い途分からないから、とりあえず持って来ただけ」


 モンスターを倒したら、結構な確率でドロップしたので、気づけば百枚程度の冒険者カードが集まっていたのだ。


「売るわけにもいかないしねえ。ファンドーラ商会を通せば売れるでしょうけど、大した金額にもならないし、わざわざ彼らの手を煩わせるのもねえ」

「とりあえず保留か」

「ええ、そうね」


 こうやってタンスの肥やしならぬ【虚空庫インベントリ】の肥やしが生まれるのだ。


「他にも色々入手したから、暇な時に確認してくれ。遺物アーティファクト屋としての体裁は保てるだけのラインナップは確保したつもりだ」

「おっけー」

「師匠凄いですぅ」


 ワイワイとドロップ遺物アーティファクトについて話しながら、楽しい食事の時間は進んで行った――。

 まさキチです。


 お読み頂きありがとうございました。

 今回で第7章は終わりです。

 

 ブクマ・評価いただきありがとうございました。

 非常に励みにさせていただいております。

 まだでしたら、画面下部よりブクマ・評価して頂けますと、まさキチのやる気がブーストされますので、お手数とは思いますが、是非ともブクマ・評価よろしくお願いいたします。


 それでは、今後ともお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

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