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お腹を壊した。→異世界に召喚された。→何故か社長になった。  作者: ゴミ虫
1章 未来都市アルメトラーナ
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沈む校舎

僕は心を込めて学校の廊下の床を磨く。

気分は掃除のおばちゃん。やってる事も掃除のおばちゃん。あれ?つまり僕は掃除のおばちゃん?

いつの間に性転換して老けたのだろうか?

した記憶があるのは異世界転移だけだ。


「あー!うんこマンがゆかみがいてる!きったねー!」

「掃除してるんだよクソガキ!」

「うっせーバーカ!」

「バカって言った方がバカだ。バーカ!」


僕が床を磨いてる横から、ジャインがはやし立ててくる。

その後ろには取り巻きのクソガキ共がいて、視界の端に移る教室の中ではルーナちゃんがチョークの補充をしていた。

今は掃除の時間だ。ルーナちゃんを見習って掃除しろクソガキ共。

というか、床磨いてるのにむしろ汚くなる?ジャインのバカも、バカは休み休み言ってほしい。てか、誰だうんこマンって。ジャインの前ではうんこ漏らしてないだろ。


「いや、無理もないんじゃないか?」

「あ、ジモンゼル先生」


苦笑しながらやって来たのは、ジモンゼル先生だった。


「考えてもみろ。お前、この間から何回トイレ駆け込んだよ?」

「え、でもそれはジモンゼル先生が・・・」

「いや、あれは絶対ワシ悪くないだろ!」


ジモンゼル先生は酷いのだ。

まず、授業の内容がよく分からない。

基本的にジモンゼル先生が全ての科目を教えてくれるのだが、魔力の循環や精霊との交信、神への祈りの捧げ方から、魔物の生息分布の規則性に至るまで、ひたすら意味の分からない事を説明し続けた。

5歳児が着いていけるのに、今年で22になる僕が着いていけない事実にお腹が痛くなって何度かトイレに駆け込んだ。


それからある日を境に、何故か急に料理や洗濯、どっかの店のレジ打ちから得体の知れない工場まで、有りとあらゆる事を僕にやらせ始めた。


そして、僕はその全てに失敗した。

料理では包丁を握った為に緊張してトイレへ駆け込み、洗濯では洗剤の分量を間違え洗濯機から泡が吹き出し睨まれてトイレ。店のレジや工場など言わずもがなトイレ。


「改めて思い出した結果、やっぱり僕に難しい事をやらせようとしたジモンゼル先生が悪いですね」

「何でだよ!そんなに難しい事は何も無かっただろ!」


何を言っているのやら、難しい事しかなかったじゃないか。それが分からないとは、やれやれ。ジモンゼル先生には困ったものだ。


「おい、今すぐその顔やめろ。ぶん殴りたくなる」

「あ、すいません」


殴られてはたまらない。絶対勝てないし。

まあ、難しい仕事は出来なかったが、床磨きなら僕にでも出来る。たかが、床磨き。されど床磨き。

僕の手によって綺麗になった床を見た人たちは気分良く廊下を歩けるのだ。何て立派な仕事なのだろう。


「むだなことしてるよな〜うんこマンは。こうした方が早いじゃん。クリーン!」


ジャインの手から、何かキラキラした光が出てきた。

それは僕がまだ磨いていない床に降り注ぐ。

そして何かめっちゃピカピカになってた。


「まほうでやっほうが、はやいし、らくだし、きれいだよ」

「死ね!クソガキ!!!」


僕はジャインに飛びがかった。



綺麗になった床は、寝たら気持ち良かったとだけ言っておこう。

ジャインの野郎、トレーススーツ着てやがったな・・・。


「なんのやくにもたたないうんこは、つちにかえったほうがみんなのためだよ!」


汚いセリフを吐いてクソガキは僕を踏みつける。ジモンゼル先生、呆れてないで止めてくださいよ!

僕がジモンゼル先生に視線を向けると、


「いや、すまんな。このまま土に還ってくれた方が確かにみんなの為だろうと納得してしまってな」

「ひどっ!」

「だが、そうだな。まだ決めつけるには早いか・・・」


ジモンゼル先生は顎に手をやり、何やら考えた様子だ。


「よし、有痢。トレーススーツを着な。今から剣を教えてやろう」

「はえっ!?」


なんか変な声でた。


「む、無理ですよ!僕に剣が振れるわけないじゃないですか!」

「いや、ワシだってそう思うよ?だがな、おまえ色んなことが出来なさすぎて、もうこれくらいしか試してないことがないんだよ。おい、ルーナ。確かユーリのトレーススーツ教室にほっぽらかしたまんまになってただろ。あれ持ってきてくれ」

「はーい!」


すぐにルーナちゃんはトテトテとトレーススーツを抱えて持ってきた。

可愛いが、近づかないでもらいたい。


「ほら、剣の訓練にだってトレーススーツは必要なんだ。さっさと来てくれ」

「い、嫌だぁっ!」


僕は全力でその場から逃げ出した。

掃除が終われば後は放課後だ。

きっと夜遅くまで剣の訓練と称したイジメをしてくるのは目に見えてる。


「ったく、手間取らせるなよ。おいジャイン。有痢にトレーススーツを着せてここに連れて来い」

「くくっ、はーい!」


ジャインがルーナちゃんからトレーススーツを受け取り、ヤバい笑顔で走って来た。


「くっ、来るなクソガもががががっっ!!!」


僕は頭からトレーススーツを突っ込まれて、あっという間にジモンゼル先生の前まで連れてこられた。


「逃げるなよ」

「あんたは鬼か!」

「まあまあ、ワシが剣を教えるなんて、中々ないんだ・・・ん?有痢、おまえトレーススーツ逆に来てるぞ」


見ると、僕の着ているトレーススーツは生地が裏返っていて、よりダサい感じになっていた。


「あ、本当だ。ジャイン、間違えるなよ」

「くくっ、ユーリにはそのほうがにあってるよ」

「このクソガキわざとか!」



その時だった。

地面が大きく揺れたのは。

そこら中からけたたましくサイレンが鳴り響く。

さっきまでふざけていたみんなも一様に真剣な表情に変わった。


『放棄地区B-Aにて、13の内の一体、デッドリースライムを確認。戦闘員は至急現場へ急行せよ。繰り返す・・・』


「あ、あの〜。これ、何ですか?」

「・・・どうなってんだ。B-Aだと?近すぎるじゃないか。レーダーに引っかからなかったのか?」


ジモンゼル先生は普通に僕を無視。ちょっと傷付くね!


「ちっ、避難を開始する!生徒達は教室で机の下に潜れ!」

「いや、それ避難じゃ無くないですか?」


それは地震対策だ。よくわからないけど何か化け物がやってくる時の対応じゃないと思う。シェルターに入るとか、どっか遠くに避難するとかが正しい対応じゃないだろうか?


「ど、どけーうんこマン!じゃまをするな!おれのみちをふさぐな!」

「ゲフうっ!?」


ジャインの蹴りが僕のみぞおちに直撃。

僕は吹っ飛んだ。


「何してんだ有痢!さっさと避難しろ!校舎が沈むぞ!」


ジモンゼル先生が慌てたように僕に近づく。

僕は何とか立ち上がろうとするが、クソガキの蹴りは思ったよりも足にきていたらしい。

立ち上がったところでバランスが崩れ、よろけてしまった。


「あっ」

「ゲブファッ!?」


そして僕の顎に命中するジモンゼル先生のひざ蹴り。

僕は窓を突き破って外に吹っ飛んだ。


「う、うぅ?」


倒れた僕はそれでも何とか顔を校舎に向ける。

そして僕が見たのは、


ズゴゴゴゴゴッ


何か凄い音を響かせながら沈んでいく校舎だった。


「ゆ、ゆーりさーん!!」


ルーナちゃんの悲鳴が響いて来たが、それもすぐに聞こえなくなった。

校舎が沈んだ後の大穴が横からスライドして出てきた地面によって塞がれたからだ。


「・・・はい?」


僕は呆然としながら、校舎があった地面を見ていることしか出来なかった。

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