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くまかっ!

修正。主人公の名前を変更しています。ヒデオ→薄人はくと。たまにヒデオがいるかも?


ノリと勢いで書いています。


今回、想像力豊かな人はとても不快な?場面があります。

お気をつけてお読みくださいますようご案内申し上げます

 てくてくと歩いた先にあるのは先程確認した森?である。

 都会、というには閑静な住宅街ではあったが、そんなところで暮らす薄人にとって自然といえば近くの大きな公園や遊歩道などに植林されているものしか普段見ないため、森なのか林なのか基準が分からないので確信はない。


「うん、なんか近づくと分かるけど、すごく怪しげというか奥に行けば行くほど薄暗く、迷いそうだ」


 ものすごくいい天気で正に快晴!という感じの天候なのにもかかわらず、森の中は薄暗くじめっとしているようだ。

 

「そういえば太陽が真上にあるな・・・放課後だったからもうすぐ夕方のはずだけど・・・時差?ますます北海道の可能性が薄くなってくるな」


 いまだ北海道の可能性を捨てきれない薄人。

 食料になりそうなものを探すために近づいたが正直ろくなものがなさそうである。

 入り口付近の木々にも、果物といったものは見当たらず、森の奥を見つめる。

 しかし背に腹は代えられない為、非常時であるために、なけなしの勇気を振り絞り、森へと足を踏み入れる。


「うわぁ、なんかもうどろっとしてるよ地面が、絶対こんな装備で踏み入る領域じゃないだろ」


 そういう薄人の現在の装備は学ランにスニーカー、学校指定のカバンである。


「普通こういう最初の森はさぁ、森のくまさんの歌みたいなさわやか?な感じの・・・」


 どろっとした地面を何とか歩きながら、自分で言ってはっとなる。


「まさか、くまなんていないよ、な」


 そういいながら森の奥を見つめる薄人。

 念のため後ろを振り向くがまだ森の入り口は見えている。

 

「うん、あまり奥に行かないほうがいい気がするからここら辺になんかないか探そう、そうしよう」


 そうして薄人はあたりを見回すが木々には何も実っておらず、足もとの草もイチゴみたいなのがあればと思うがそんなものは見当たらず・・・。


「やばいな、うん、普通に怖くなってきた、いったん戻ろう」


 そして顔を上げてきた道を戻ろうとすると


 ガサッ!


「ふぁっ!!!?」


 少し離れたところから音が聞こえた。

 薄人は驚き早くなる鼓動に胸を押さえて音のしたほうを見る。

 そこは草が腰の位置を超え、今いるところよりもさらに森の奥である。

 ドッドッドッドと鼓動は早くなる一方で、しかし何故か確認せずにはいられない衝動に目が離せずに、音のしたところに目を凝らす。


 ガサ、ガサガサッ


「くまかっ!」


 と、腰の位置をちょっと超えるくらいの草むらからそんな動物が現れるはずもないが、頭がくまでいっぱいの薄人はくまが来ると思っていた。


「ぴゃっ!!!??」


 顔である。

 草むらから現れたのは、人間の顔であった。

 いや、人間というにはおかしなところが多かった

 まずは肌の色で、薄人の知る人間に少なくとも緑色はいなかった。

 そして頭部には毛髪がなく、代わりに申し訳程度の出っ張りらしいモノがありそれは円錐状であるように見える。おそらくは角、であろう。

 眉はなく、目つきは鋭く、眼球は黄色く濁り、黒目の部分は赤く染まっている。

 次いで現れた身体は、頭を入れてもヒデオの腰を少し超えた高さまででいやに細く、手足は骨に皮がついた程度のようで、あばらは浮き出ており、まるで餓死寸前の子供のような体であった。

 そして極めつけは股間である。

 体の大きさのわりに立派なものがついており、かつ、すでに臨戦態勢であるのだ。


「な、なんでおっきしてんのよぉ!?せめて腰巻くらいつけなさいよぉ!」

 

 恐怖と混乱のあまりなぜかオネェ言葉になる薄人。

 その声に反応したのか、ぎょろりと薄人に目を向ける生物。


「うわ、こっち見んな!」


 ググギギッと唸り声のような鳴き声のようなものが聞こえる。

 目を逸らせず、しっかりとその生き物の姿を認識する薄人。逸物はなるべく視界の外に、だが。


「これって、いわゆる、ゴブリンってやつか・・・? 北海道説消えたな!」


 いまだに捨てきれなかった可能性をとうとう捨て去ったヒデオ。

 そうこうしてるうちに、ガサガサっと、奥からさらに草むらをかき分けるような音がする。


「う、嘘だろ・・・まさか、もう一体来るのか」


 そしてもう一体、ほぼ同じ姿形をした生き物、ゴブリンがあらわれる。


「こ、こいつも臨戦態勢、だと!?」

 

 現れた二匹目のゴブリン、その逸物もそそり立っているのである。

 何とも言えない恐怖にじりじりと後ずさる薄人。

 しかし、目の前に現れたゴブリンはこちらを遠巻きに見るだけで特に行動を起こさない。

 薄人とゴブリン二匹の間の距離は約二十メートルほどか。


「今のうちに逃げるか?でも背中を見せたら襲い掛かってくるかも」


 薄人もあまり大きな動きができず、じりじりと後ずさるのみである。

 するとゴブリン達がとうとう行動を起こす。

 そそり立つ逸物をもう一匹のゴブリンに擦り付けあったのである。


「ふぁっ!!!???」


 目の前のゴブリン達の行動が理解できず変な声が出る薄人。

 しかしゴブリンたちは行動をやめず、それどころか何とも言えない顔をするのである。

 薄人は、ホラー系の恐怖はすっかり消え去ったが、別種の恐怖に襲われる。


「な、何なのよあんたたち!おホモだちなのぉ!?」


 またも混乱と恐怖からオネェ言葉になりながらも、じりじりと後ずさり、もはや我慢の限界で、後ろを振り向き森の入り口に向かって猛ダッシュする。


「いやあああああああああ!!!!!」


 叫びを上げつつ逃げ出す薄人。

 しかし後ろから、ギャギャギャギギャ、ギャギャギャギギャ、と声が追いかけてくる。

 薄人はその鳴き声が脳内で「ヤラナイカ」に自動変換され、より一層の恐怖に足を動かす。

 ぬかるむ地面に足をとられそうになるが、必死で足を上げ、走る、走る、走る。

 もし捕まったら・・・と想像するだけで恐ろしい目に合うに決まっている。

 ゴブリンといえば異種族の女性をさらって繁殖する、というのが定番である。しかし、だ。

 今目の前に現れたゴブリンの行動から薄人はおぞましい想像をしてしまう。


「絶対につかまるわけにいかない!」


 ちらっと首だけで後ろを振り向くと、一定の距離を保っているがついてきているのだ。

 いや、距離が縮まっている気がする。


「ぎゃああああああああああああ!!!!」


 森の入り口を抜け、草原に出るが、まだ追いかけてくるようだ。

 おそらく最初に落ちてきた場所をとうに超え、もう100mくらいは全力疾走しているはずだが、ここで捕まるわけにはいかないと、火事場の馬鹿力的なものが起きているのだろう、まだ走ることができている。

 そして、その火事場の馬鹿力も限界を迎えそうなとき、視界の端に動くものが見えた。

 そちらに視線をやると、どうやら馬車、のようである。

 少し道をそれるが薄人が今頼れるのはあの馬車だけである。

 もはや薄人に考える力は残っていなかった。

 あの馬車がもし戦う力のない商人等である場合、巻き添えにしてしまうかもしれない。

 だが、今の薄人はなりふり構ってはいられなかった。


「た、助けてえええええええ!」


 最後の力を振り絞り、助けを呼ぶ声を上げ、少しでも馬車に近づいた。

 すると馬車の中から大柄な人物が飛び出し、こちらに向かって駆けつけてくれている。

 あっという間にこちらまで駆け付けた人物は薄人とすれ違う瞬間背中に背負ってたとても大きな剣を振り上げ、おそらくは薄人のすぐ後ろに迫るゴブリンに向かって振り下ろした。

 その瞬間、薄人は限界を迎え、ぱったりと倒れた。


(異世界転移とかまじないわ、家に帰りたい・・・)


 意識を失う寸前、薄人はそう思った。

この表現は大丈夫かしら・・・?(´・ω・`)


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